歯科の技術をより多くの人に。急成長を遂げる千賀デンタルクリニックとSHIBUYA CITY FCが見据える未来
2023年10月30日
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SHIBUYA CITY FCは、現在200社を超えるパートナー/スポンサーの皆さまに支えられながら活動しています。
本企画「SCRAMBLE TALK」では、どのような想いでパートナー各社がSHIBUYA CITY FC(以下、CITY)のチャレンジに参画したのか、実際にどんな取り組みを行なっているのかをお伝えしていきます。
今回は、千賀デンタルクリニックから千賀誓人様(理事長)、齋藤博愛様(副理事長)をお招きし、CITYから田中裕介(執行役員)、居城弘直(インターンシップ)を聞き手に対談を実施しました。
同社は、「思いやりのある一人一人にあった良質な医療を提供する」を理念に首都圏や大阪、名古屋に15医院を展開しています。最高水準の医療の提供だけでなく、スタッフがやりがいをもって働ける医院になるようにとの思いから、医師や現場スタッフの教育にも力を入れています。
記事では急速な成長を見せる同社の組織マネジメントや、CITYと共に取り組むマウスピース事業まで取り上げます。
急成長の要因
居城
千賀デンタルクリニックさんはとにかく急速に成長・分院されている印象なのですがご自身の中で予想以上に早く目標を達成することができた要因などはありますか?
千賀
要因の1つはマーケティングだと思います。資本がなくお金を借りた状態からスタートしたのですが、その中でマーケティングにうまく成功して、患者さんを集めることができたので安定して売り上げを出すことができました。
あとは、同時に組織のマネジメントもしっかりと並行してやっていたことによって、 働いてくれる人を集めることに成功したことも要因だと思います。人が集まったことでスピード感を持って展開することができているのだと思います。
居城
マーケティングというと具体的にどのような戦略を立てられていたのでしょうか。
千賀
歯医者を決めるときにウェブで検索することは当然あると思うので、ホームページの作りだったり、口コミなども要素の一つになると思います。
あとは、立地ですね。僕らの院は基本的に商業施設に出店しているので、日常使いに溶け込むことができているのではないかと思います。日頃から行く場所で目にしてもらうことで「歯医者どこにあったっけ」となった時に思い浮かべてもらえるんじゃないかと。また、安心感を持ってもらえるというのも一つのメリットですね。
田中
立地以外の手段として、例えば今後SNSなどに取り組んでいくという考えはありますか。
千賀
そうですね。ただ僕の中では歯医者というのは、日常で起こったことに対してすぐ行く場所というイメージなので、例えば、美容のように特別な目的があって行くというよりも、生活の中にあって通う回数が比較的多いのかなと思っています。
なのでターゲットの絞りづらさという点でSNSとの相性はあまり良くないと思っていて、効果としては比較的弱くなってしまうんです。ただ、今はクリニックが増えてきていて、ターゲットに届きやすくなっているかなと思うところはあるので、SNSを使っていくことも良いかなと考えています。
居城
歯科業界でこれだけ急成長を見せているクリニックも少ないのではないかと思うのですが、そもそも業界としてはどういった特徴があるのでしょうか。
千賀
実はすごく恵まれた業態で、医療法人と言うのがあるのですが、資本を持っている外部の人たちが参入しづらい業態になっているんですね。
あとは、特に歯科医師などの人のマネジメントって実は難しくて。やはりプライドもありますし、どうしても歯科医師ではない人に指示をされても、現場のことわかんないでしょという風に受け取られてしまうんですね。なので、過去にそういった医師ではない人が経営側に回るというケースもないことはないのですが、やはり難しさが多くて、それもあって外部から入ってくることが難しいという点があります。
この歯科医師業界というのはすごくレッドオーシャンに見えるんですが、守られている上に外から入ることも難しく、その上経営に関して目を向けていたりノウハウを持っている人が少ないので、ビジネスという点でも非常に魅力的な業界だと思いますね。
田中
そうだったんですね、それは初めて知りました。
人に頼らない組織作り
居城
これだけの規模になると組織を管理するという点でも難しさがあるのではないかと思うのですが、そもそも今組織としてどれくらいの人数がいるのでしょうか。
千賀
現在は15の院があって、1クリニックあたり30人ずつくらいいるので450人ほどですかね。一年に平均で6つほど開院しているので毎年200人ほど増えているかと思います。
ただ、どこのクリニックもしっかり結果を出せるような仕組みが整っているのでそこまで難しさは感じないですね。現在15の院があるのですが、全て外れることなく100%当たっています。
居城
450人はすごいですね。どんどん展開していきながら機能していく仕組みというのはどのように作っているのでしょうか?
千賀
僕は自分がいなくても回る組織を作りたいと思っていて、組織としてオートメーション化するためにシステム化とか単純化をしていって、 あんまり人に頼らない組織経営をしていきたいというのを目標としてずっと続けています。
なので、例えば、彼(齋藤)が2番目で、色々なことを回してくれている中で、また彼も同じように2番目を作っていく。そうすると彼が離れて自由になっても全然大丈夫だし、そうやって組織を作っていくことで、ずっと頑張って苦しみながら仕事をするというのが正解ではなくて、できる人を増やして、効率をよくして、特定の誰かがいなくても仕事が回る、他の人がやってもできるという風にすることがとにかく大事だと思っています。
院長もそうで、院長が辞めた時に別の院長で大丈夫という枠組みを作っていくのが大事だと思っていて、それを管理サイド側でも同じようにやっていきたいと考えています。
田中
組織としてのピラミッドで言うと、どういう構造になっているんでしょうか。
千賀
まず僕(理事長)とその次に齋藤がいて、そこから下に中枢のエリアマネージャーが何人かいます。そこからは各クリニックを持っている事務方の管理部があって、20人ほどなのですが、それぞれの役割は異なっていて、またさらに院長もいるという形で、権力が分散しているのが特徴だと思います。各方面から中枢に情報が送られてくるので、風通しをよくして、さまざまなモノをチェックしています。
居城
組織としてどんどん大きくなっていく中で変化を感じたタイミングはありましたか?
千賀
特に無かったと思います。でも規模が小さい時の方が僕の気持ちだったり思い入れの部分が強かったので、距離感が近いとダメージが来るというか、(院のスタッフが)「辞めるんだ」みたいな(笑)
今はどちらかというと数字で見てしまうというか、仕組みを計算するイメージです。「 足りないから、ここを埋めよう」という感じです。
居城
ちなみに田中さんも今年から役員という立場で組織をマネジメントする側にいると思いますが、意識されていることはありますか?
田中
全体をみるということは意識しています。一歩引いた立場からみんなの手が届かないところを言うみたいな、すごくシンプルだけどこれに尽きるかもしれません。
居城
先ほどの千賀さんの話で歯科医じゃないと現場も納得してくれないという点はサッカー選手にも共通するものがありそうですよね。元選手だからこそ言えることがあるというか。
田中
そうですね、そういう目線を持つようにはしています。自分が元々選手としてやっていたからこそ選手たちも聞いてくれるのかなというのも何となくですが伝わりますし。
ただ言い方とか、どこまで言うかというのも試行錯誤していて、全部言いたくなってしまうけど7割ほどに抑えて、残りの3割は選手たちにも考えてもらう余白を残すように意識しています。
スポーツクラブをサポートするきっかけ
居城
SHIBUYA CITY FCと繋がったきっかけはどのようなものだったのでしょうか?
田中
自分が月に1回開いているワイン会があるんですが、そこに知り合いが千賀さんを連れてきてくれて、出会ったのがきっかけです。さっきの話にも出てきたんですが、サッカー業界の方だけを集めて飲み会のようなものを開くこともありますが、それだけにはならないように、幅広い方とお会いする機会を自ら作った結果、このような形で新たな繋がりを作る事ができました。
居城
顔を合わせてからスポンサー契約に辿り着くまではどういったプロセスだったんでしょうか?
千賀
齋藤が元々サッカーやっていて、聞いてみたら是非やりたいですとのことだったので、じゃあやるかという感じですね(笑)
齋藤
「サッカーのスポンサーどう?」って言われたので、どんなチームでも良いからやりたいと答えました(笑)
そこから田中さんと3人でお会いして、直接CITYの良さについて教えてもらって、是非やりましょうという流れになりました。
居城
そうだったんですね。スポンサーをやる上での決め手みたいなものはあったのでしょうか。
千賀
まずもちろん田中さんの人柄もそうですし、先ほど言ったことにも近いですが、基本的に縁を広げていきたいと思っているので、積極的にこういう機会はつかんでいきたいと思っています。
居城
CITYに限らず前々からBリーグの渋谷サンロッカーズさんなどもサポートされているということですが、スポーツチームとの協力は積極的に行われているのでしょうか。
千賀
きっかけとしては、僕がバスケをずっと大学までやっていて、バスケが好きだったので、 何かやってみようと思っていました。そのタイミングでたまたま、中学校の時に試合をしていた子が(サンロッカーズに)入っていたので、では是非ということでした。
それでスポンサーになると、チームへの思い入れが増して、観戦がすごく面白くなったんですよね。そのまま応援を続けていたら、縁が増えていって、会いたい選手にも会えたりとか、距離がすごく近くなっていって、正直僕らの業界だとあくまでスポンサーをやることによる実利的なメリットは多くないのですが、そういった縁の広がりという部分がすごく楽しくて、どんどん広げている形です。
田中
縁を広げていくという部分もそうですし、強くなっていくことで応援する楽しさみたいなものをスポンサーの皆様には感じていただきたいですよね。まだ自分達は上から数えて7番目のカテゴリーですけど、この時から応援してたんだと胸を張ってもらえるようになっていきたいです。
SHIBUYA CITY FCとのこれから
居城
今後SHIBUYA CITY FCと共に取り組んでいく施策の一つとしてマウスピースの提供があるという風に聞いたんですが、詳細を教えていただけますか。
千賀
そうですね、サッカーでいうと三笘薫選手や、ラグビーでもリーチマイケル選手などがつけていた特許を取得しているマウスピースを僕たちでリブランディングし、【POWER BITE】というスポーツマウスピースを作り、それをスポンサーをさせて頂いているチームに提供させてもらっています。
田中
それを CITY の選手たちにもということで、今話を進めている段階ですね。
千賀
それこそNBAの選手とかだとカッコよくつけている選手もいるんですが、日本だとあまりまだ浸透していないこともあって、パフォーマンスの向上もそうですし、歯を守るというところでスポーツ界にもっと普及させていきたいという想いはあります。
ただ現状だと例えばスポーツ用のマウスピースを検索しても、家の近くの小さな歯医者さんしかヒットしなくて、プロ選手だとしても正直あまり質が良くないものを使うというケースも多いんです。なので、しっかりとした質のモノを作ることでこれは業界内でシェアが取れるなという確信がありました。先駆けとしてこういったスポンサー事業から普及させて、徐々に中高生とか学生にも広げていって、スポーツマウスピースといったらここだよね、と言われるように目指しています。
居城
1人1人に合わせて型をとられるんですよね?結構大変そうな気がするのですが。
千賀
そうです。ただ、型はスキャンしてバーっと取れるので別にクリニックじゃなくてもスキャナさえあれば良いんです。例えばこの前はBリーグ選手のものを徳島の合宿に作りに行きました。
居城
自分は作るときにシリコンのようなモノを嵌めて、型をとって1週間待ってとり直してみたいに正直手間がかかっちゃっていたので、そうやって取れるのはすごく楽ですね。
ちなみにマウスピースをつけることでパフォーマンスが向上するのはなぜなのでしょうか?
千賀
グッと力を入れる時に歯を傷つけたり折ってしまうことがなく、しっかりと食いしばることができるというところですね。メカニズムってなると難しいですが、有意差はあるという感じです。
居城
そうすると、接触があるスポーツとかの方が相性は良いのでしょうか。
千賀
それだけではなく、例えばジムとかで重い器具を使うときに力を入れて歯が折れてしまう人とかもいるんですね。なので、そういったシーンでも歯を守りながら力を出すことができるので、必ずしもコンタクトスポーツに限った訳ではないと思います。
ただやはり接触から直接歯を守るという点も含めると、コンタクトスポーツの方が相性は良いかもしれませんね。
田中
アスリートに限らず、例えばCITYのスポンサーさんにも横展開していけたら良いですよね。スポーツをやらない人にもマウスピースが良いというエビデンスが出ればそれは魅力的ですし、それこそ普段(クラブが)開催しているフットサルとかに参加するくらい運動が好きな人もいるので、そういった方にも届けられると良いですね。
千賀
そうですね。例えばチームカラーと同じ色にして、選手と同じやつをつけられるってなるとさらに広まりやすいんじゃないかなとも思います。
居城
そういえば渋谷にクリニックを出すということはなかったのでしょうか?
千賀
渋谷も何回か縁があって出すか迷ったんですが、たまたまタイミングがうまく行かなかったのと市場を考えた上でその際はやめました。ただSHIBUYA CITY FCさんや渋谷サンロッカーズさんとの繋がりもあるので、いつか出せればとは思っています。
田中
CITYのスポンサー様は渋谷を中心に様々な企業がいらっしゃるので、例えばですがその横の繋がりを使って新たな院の候補地を紹介するみたいなことができればすごく良いかなと思いますね。
居城
確かに、そういう繋がりを使って色々と展開していけたら、クラブとスポンサーさんの関係値がより深まりすごく理想的ですよね。
最後に、それにも関連するかと思うのですが、今後に向けてクラブに期待することや一緒にやっていきたいことを教えてください。
千賀
そうですね、一緒にやっていきたいことは、マウスピースを筆頭に、どのような形であれ歯科業界とのコラボができればと思っています。例えばホワイトニングとかでもいいんですけど、何かしら提供して、チームの力にもなっていきながら、うちの認知につながることがあればやっていきたいなと思っています。
期待してることで言うと、どんどん強くなって、ここから応援していたんだよって言えるようになってほしいですね。
田中
それが一番ですね。強くなっていくことで、有名な選手も来てくれますし、もっと多くの方に知ってもらえて、そうすることで例えばマウスピースの認知も広がっていくと思いますし、強くなることは第一条件というか一番大事になると思いますね。
その上で、今後Jリーグに上がっていくにはアカデミーというかスクールをやっていかないといけないんですね。なのでその際に子供たちにアプローチしていくことはできると思っています。歯医者に行くのがあまり好きじゃない子がきっと多い中で、サッカー×デンタル業界という切り口から、例えば試合会場でクリニックができるとかでイメージを変えていくことができれば双方にとってメリットがある関係を築けるのではないかと思っています。何より子供たちにとっても小さい時から歯のことを気にかけることは絶対プラスだとも思います。
千賀
確かに、子供たちからしたら歯医者よりも選手から言われた方がその気になるかもしれないですね(笑)
田中
そうですね(笑)選手たちが歯を大事にした方がサッカー上手くなるよってことを伝えたり、何人か渋谷区内の少年チームに選手を指導者として派遣しているんですが、そういう場でも子供たちに伝えられるんじゃないかなと思いますし、いろいろな場に展開していきたいですね。