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阿部翔平 選手兼任監督 FIRST INTERVIEW

2021年12月1日

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2021年12月1日、自身の誕生日に選手兼任監督として契約を更新した阿部翔平の最速インタビューが到着。監督就任への想いや、これからのチームづくりについて聞きました。


――選手兼監督就任おめでとうございます。まずは監督になるにあたっての思いを聞かせてください。 「今までは選手兼監督をやるイメージはなかったんですけど、CITYでプレーするのに加えて、他のクラブで指導することは考えていました。そんな中、CITYから『監督をやってください』という話をもらって、プレーするだけではなく教える、みんなに上手くなってほしいという思いをこのクラブに注げることがうれしかったですね。 監督は様々なチームの事情を理解してバランスも取っていかなければいけないというのはわかるけれども、それを100%できるかといったら、絶対できない。なので、みんなで協力して、1人ひとりが自立したチームになっていきたいと選手たちには伝えました。監督としては初心者なので、上から目線になるのではなく、選手のみんなと一緒に成長していけたらと思っています」 ――おっしゃるように監督には複雑な難しさがあります。結果に対する責任を常に問われ、就任した瞬間に終わりが始まっている職業です。選手兼監督となればなおさらで、自分の起用をどうするかのバランスが難しく、時にはピッチ上から采配を振わなければいけないかもしれません。選手としてプレーしながら、試合中も監督として冷静にゲームプランを描いていくイメージは湧いていますか? 「始まってみないとわからない部分は当然あります。現時点では、自分の分身に近い人間がもう1人は必要なのかなと思っています。もちろん頼るわけではなく、僕がピッチに立っている時は外からの視点で見てもらえるし、対話しながらチームを作っていくこともできますからね。 プレーしながら監督としても振る舞うイメージも湧きつつあります。とはいえ、例えば選手交代で『え!? ここでその選手使うの? しかも、その選手が活躍した!』と思われるようなことを常にできる監督は多くないかなとは思っていて、常勝チームだとある程度パターン化された戦い方があるんです。 CITYでも『こういう状況になったらこういう選手が出て、こういうことをするよね』というのをチーム全体に理解していてほしいですし、監督だけではなく選手がそこまで判断できたらいいと思っています。選手としては、自分がピッチに立たなくてもいいくらいみんなが頼もしくなってくれることが理想ではあるかなと。ただの理想ですけどね(笑)」


――新シーズンからチームを指揮するにあたって、今シーズンと同じ失敗を繰り返さないことも求められます。改めて2021シーズンの戦いをどう振り返りますか? 「結局どこにストロングポイントを作るのかが、いまいちわからないままになっていました。ボールを大切にする意識もありつつ、大きく蹴ってもいいみたいな、攻撃にも守備にもふわふわしている感じはありましたね。序盤戦で少し負けが込んだ時に、攻守のバランスを整理して、そこからは勝ち方がある程度固まってきましたけど、今度は対策されてきた。 最終的に大学生などが相手だと、それを超えられる強さがなかったですし、1人ひとりの対応力が乏しかったと感じます。今年に限らずですけど、個人の力で状況をどう変えていくかをイメージできていない選手が多い。厳しい言い方をすると、指示待ちの選手がすごく多いです。監督に就任したら、そこは変えていきたいと強く思っています」 ――2022シーズンは、自立した「個」の集団を作ることがテーマの1つになりそうですね。 「そうですね。1人ひとりがピッチ内外で自分で考えて行動できるようになり、自分で判断してプレーしてほしい。たくさん実験して、たくさんトライして、一番上手くいった方法や自分のプレースタイルに合う方法は1人ひとり違うので、選手たちにはそれを見つけてほしいと思います。 戦術的にもまず守備の部分をなるべく効率よく整理して、攻撃のために力を取っておけるような形にまとめていきたいと思っています。必要な時に力をしっかり使えるサッカーが、『勝てるサッカー』だと考えているので。今年はいたずらに守備で体力を消費して、いざシュートシーンでガス欠になり力が残っていないことが多かった。その課題は解決しなければいけないと思っています」 ――なかなか結果は出ませんでしたが、2021シーズンのチームや選手たちのポテンシャルはどう感じていましたか? 「東京都1部リーグの中ではトップクラスだと思います。ただ、組織の中での役割と個人のプレースタイルがマッチしていないのをすごく感じていました。わかりやすく言えばスピードのない選手に1対1で勝負させるような状況になっていましたね。もしかしたら選手たちは与えられた役割に自分のプレーを合わせようとしすぎていたのかもしれません。 来シーズンはまず常に自分の強みを発揮して戦ってほしいと思っています。自分のやりたいことがある一方、苦手なのにやらなければならないことに縛られると選手たちも気持ちよくプレーできないと思うので。 ただ、のびのびプレーする中でも、選手たちには自分の長所と短所を、自分の言葉で表現できるようにしてほしいです。そして、周りもチームメイトの長所と短所、特徴を完全に理解してほしい。『この選手ならドリブルを始めたら右にいくから、自分は左にいこうかな』といった細かいところまでわかっていなければならないし、僕はそれが普通だと思ってやってきたんですよね。なので、思っていることがあれば積極的に選手たちそれぞれに伝えたいとは思っています」


――阿部選手は名古屋グランパスでJリーグ優勝を経験していて、プロキャリア通して「勝てる監督」や「勝てるチーム」がどんなものかを見てこられたと思います。それを踏まえて理想の勝てるチームや監督としての理想像を教えてください。 「変な言葉ですけど『手のかからないチーム』が理想ですかね。監督が口を出さなくても、キャプテンやプレーで引っ張る選手がいて、そこである程度問題を解決してくれて、道を外れそうな重大な場面で監督が軌道修正するくらいが一番いいチームなのではないかと思います。 チーム内の問題点や自分たちの戦い方を完全に理解している。ということは弱点や、こうなったら負けるという傾向もわかっているはずです。そこで問題が起きた時に選手が正しい判断を下せるチームこそ、結果的に優勝できるチームなんだと思います。 監督としての理想像は、今まで一緒に仕事をしてきた指導者たちのいいところ取りですね。特定の誰か1人、憧れる監督というのはいないです。例えばピクシー(ドラガン・ストイコビッチ現セルビア代表監督)だったらチームをファミリーのような雰囲気にして仲間を支え合う雰囲気を作り、選手たちに自由に楽しくプレーさせるところ。 ヴァンフォーレ甲府では守備のやり方が徹底されていて、どう守れば失点を極力抑えられるかを学びました。ジェフユナイテッド千葉時代は新加入選手がたくさんいる中で、それを組織として機能させる難しさを学びました。そういった経験は自分が指導者になった時に活かせるものだと思います。 あとは『運』も大事なんですよね。様々な監督と仕事をしてきましたけど、『この人は持っているな』という監督はいましたし、その逆も然りで。そういう意味でピクシーはすごく『持っている』監督だったと感じます。新シーズンは自分に『運』があるかどうかを図る1年になるかもしれないですね」 ――CITYは経営体制が変わり、新たなスタートを切ります。そこで選手兼監督という立場でチームを任され、関東リーグ昇格という目標に向けて今年よりもプレッシャーがかかる状況です。その中で阿部選手はシティとして目指さなければいけない姿をどんな形で提示していきたいですか? 「もちろん今年の戦い方のようにチームとしてのベースを作っていきますけど、それは他のクラブに移籍しても大きく変わらないものになると思います。サッカーの原理・原則は徹底的に仕込んでいきたいですね。 CITYでずっとプレーを続ける選手もいるだろうし、ゆくゆくは他クラブへ移籍していく選手たちも出てきます。だからこそベースの部分でCITYでしか通用しないものを作るつもりはないし、どこへ行っても選手たちが持っている力を発揮できるような影響を与えていきたいと思っています。1人ひとりに合った形でサッカー選手としての成長を促せるのが『いい監督』であり、そういう環境が『いいチーム』でもあると思うんです。 そして、『SHIBUYA CITY FCらしさ』も出していかなければいけないと思っています。2021年のチームはよくも悪くも、現存しているJリーグのチームと同じようなことをやろうとしていたと思うんですね。 でも、CITYらしさというのはそうじゃなくて、もっと余白があって、遊び心を持って戦っていこうという姿勢を見せていきたいです。そうでなければ面白くないですし、CITYの周りに集まってくれている人たちは『らしさ』がピッチ上にも表れることを望んでいると思うので、基礎を作ったうえで遊び心のあるサッカーを体現したいです。応援してくださる皆さんには、CITYらしいサッカーで盛り上がって欲しいと思っています」


――では最後に、ぜひこの場で選手たちへ新シーズンの始動までに求めたいことを伝えてください。 「新シーズンが始まる時は、真っ白な状態で練習にきてほしいですね」 ――今年のことは一旦忘れてフレッシュな状態で新たなスタートを切ろう、と。 「そうですね。そして、もう1つ要求するなら、自分の身体のことをもっとよく理解してきてほしいと思います。若い選手たちはずっと身体を鍛えているし、ちゃんと筋肉もついてきているので、今はサッカーで効率よくエネルギーを出せるように質を変えていくフェーズに入っています。彼らの取り組みは1月の新シーズン始動の頃に、さらに力強くなった形でプレーに表れてくるはずです。 新しく入ってくる選手たちも一段とパワーアップしてもらえるように、若い選手たちには自分のトレーニングが間違っていないということをプレーで証明して見せてほしいと思っています。もちろん闇雲に筋力トレーニングをするのではなく、自分の特性をしっかり理解して、身体作りをしなければなりません。 筋力トレーニングをやる必要のある選手もいれば、やらなくてもいい選手もいる。今年のオフシーズンは各々が自分の身体と向き合って、自分をよく知って、自分なりのコンディション調整の方法や、必要なトレーニングが何かを考える時間に充ててほしいと思います。

そして、フレッシュな気持ちで始動日に元気な姿を見せてくれるのを楽しみにしています」


■SHIBUYA CITY FC 「渋谷から世界で最もワクワクするフットボールクラブをつくる」というコンセプトの都市型フットボールクラブ。 「Football for good ~ワクワクし続ける渋谷をフットボールで~」というビジョンを掲げ、渋谷の街全体をスタジアムと見立て、365日、フットボールを軸に渋谷に関わる人々や企業・組織と共創したコンテンツが楽しめる姿を目指している。 2014年に発足したTOKYO CITY F.C.が前身となり、2021シーズンよりクラブ名称を「SHIBUYA CITY FC」に変更。

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