
KICK OFF |
5:00
小さな森の家フィールド


SHIBUYA CITY FC

横浜猛蹴
3
1
2025シーズン 関東サッカーリーグ2部
2025年4月19日
GAME RESULT
GAME REPORT
GAME PREVIEW - 試合前情報 -
ここで変えろ。勝利以外、選択肢はない。
若さと勢いに呑まれた90分。主導権を失い痛恨の逆転負け
開幕戦で得た勝ち点1。それはまずまずではなく、物足りなさを残す結果だった。次こそ勝ち点3に変えるため挑んだ第2節・東京国際大学戦。しかし待っていたのは、勝ち点の上積みどころか、シーズン初黒星という厳しい現実だった。
前半はまさに渋谷の狙い通りの展開だった。球際で上回り、プレーエリアの管理、相手が嫌がるところを突き続ける意識、どれもが噛み合ってた。政森の2ゴールはいずれも、相手の隙を逃さず仕留めたもの。特に2点目のアウトサイドでのフィニッシュは、彼の技術と判断力、そして点を取る責任を存分に示すものだった。また山出の空中戦での強さと、前線への配球は攻撃の起点となった。さらに、キャプテン・土田の怪我明けとは思えない広いカバー範囲と冷静なコーチングは、全体に安定感をもたらしていた。
だが後半、空気は一変する。東京国際の前線からのプレッシングと、切り替えの速さで主導権を奪われ始めていく。渋谷は中盤でのセカンドボール争いに後れを取り始め、じわじわとリズムを狂わされる。プレッシャーを受け続ける中で最終ラインは押し込まれ、攻撃は徐々に推進力を失っていった。
選手交代で流れを変えようと試みるも、若さと勢いに乗る相手の波を止めるには至らなかった。小沼と佐藤の交代は推進力という点では効果を見せたが、フィニッシュの精度と判断の質においては課題を残した。またアンカーの楠美も自由を奪われ、プレースペースが狭くなったことでテンポを生み出せなくなった。志村の寄せもわずかな遅れや迷いが目立ち、もう一段階高い強度が求められる。
偶発的なものではなく、流れの中で必然的に生まれた3失点。意図と勢いのある相手に、完全に試合の主導権を奪われた形だ。
だが、収穫がなかったわけではない。前半のようにプラン通りに試合をコントロールできれば、関東の舞台でも十分戦える。その片鱗を示せたことは決して小さな成果ではない。一方で、90分間を通しての強度と集中力を保ち、劣勢時にどう立て直すか、そしてリードを奪ったあとの試合の締め方という部分で課題を残す結果となった。
突きつけられた現実。問われる立ち位置
次なる相手は横浜猛蹴。2002年に横浜市立東高校のOBらが中心となり結成されたチームだ。週に2〜3日の活動日数で、個の能力を武器に戦うチームである。中でもGK若田和樹は「ジャイアントカズキ」という名でYouTube活動をしており、ピッチ内外で存在感を放つ。開幕から2連敗中で、試合の入りから失点する場面が続いているため、前半で先制点を奪うことができれば大きく流れを引き寄せることができるだろう。だが、油断は禁物。勝利に飢え、反発力を持ってこの試合に臨んでくるのは確実であり、むしろこうした相手に対して自分たちの現在地と向き合う姿勢が問われるだろう。
前節では自分たちの立ち位置を再確認させられた渋谷。関東2部という舞台において、まだその環境や求められるレベルを捉えきれていない選手も多い。たとえ上のカテゴリーでプレーしていた経験があろうとも、今置かれている立場はチャレンジャーであることを忘れてはいけない。"戦えるつもり"でいたという気持ちがいかに甘かったか、存分に味わったことだろう。
前半の躍動も、後半の失速も、どちらも紛れもない"今"の渋谷だ。あの敗戦をただの黒星として片付けるのか、それとも勝つための分岐点にするのか。第3節はそれを証明する場だ。
ここで変える。ここで取り戻す。立ち止まる理由は、もうどこにもない。

PLAYER'S COMMENTS - 試合前 選手コメント -
39 渡邉千真 / FW
ーシーズン初黒星となった前節を振り返って
前半は2-0で折り返して自分たちの流れだったのにも関わらず、そこから(後半は)失点して逆転を許してしまったので、非常にもったいない試合をした印象。
ー自身は今シーズン公式戦初出場だったが、改めて関東リーグの舞台の雰囲気をどう感じたか
やっぱり東京都1部よりはレベルも上がったし、より強度は高くなったという印象。
ー後半チームが追い込まれる状況での途中出場だったが、自分が持ち込もうとした変化は
自分もそうだし、チームとしても点を取ることは求められたのでそこを意識した。負けている状況での出場だったので、なんとしてでも流れを変えて同点に追いつくことを意識して入った。
ー明日の試合に向けて、今週一週間のチームの雰囲気はどうだったか
まだ2試合しかやっていないが1勝もできていない状況で、チーム全体も下を向きそうなところではあったが、今週は切り替えてしっかりトレーニングを積んできた。明日の試合のピッチでも結果を出すだけだと思う。
ー第3節に向けて、ファン・サポーターにメッセージを
たくさんの方に現地まで応援に来ていただいたり、配信でも応援してくれる人はいると思うので、そういった人たちのためにもしっかり勝って、みんなで喜べるようにプレーしていきたい。

25 楠美圭史 / MF
ー前節はスタートからの出場だったが、どんな意識で試合に臨んだか
プレシーズンから自分たちがやっていることをしっかり出そうと思っていた。開幕戦はみんなの堅さがある中で、なかなか自分たちの時間が多くなかったので、そこをしっかり自分がコントロールできるようにプレーしていた。
ー前半の立ち上がりを振り返って
相手のロングボールが来る中で跳ね返しきれていないところがあったと思うが、徐々に自分たちがボールを持てるようになり良い形で先制点が取れた。前半は素晴らしいゲームができたと思っている。
ーその一方で後半は思うようにテンポが掴めない状況が続いたが、どんな課題を感じたか
あのような展開が続くなかで、セカンドボールが拾えず、自分たちの時間を作れなかったので、そこをどうしていくかが今回の課題として出た。あとはチームとして、1対1の強度が足りないという話にもなった。個人的には、それよりも自分たちがボールを持ったときに簡単に蹴ってしまったり、キーパーが持ったときにポジションを取れなかったことの方が問題だと思ったので、そこをもっとゲームの中で修正できるようにしたい。
ー今週のトレーニングやミーティングの中で、チーム全体や個人に変化はあったか
逆転負けをしたのでみんなが危機感を持ったと思う。監督からも、とにかく1対1のところをもう一度意識しようという話があったのでそこをみんなで取り組んだ。今は勝利することが自分たちにとっての良い薬だと思うので、勝利を目指してやっていきたい。
ー第3節に向けて
自分たちがしっかりゲームコントロールをして、ボールを持ちながら攻撃をしていくことが強みだと思う。そこは中盤の選手として一番大事なので、たくさんボールに関わってゲームコントロールをしたい。何よりどんな形でもいいので、勝利するところにこだわりたい。

増嶋竜也 / 監督
ーー前節は3失点の逆転負けで終わったが、試合を通しての評価は
良さもたくさんあったが、まだまだ未熟なところも出たという両極面が結果として出てしまった印象。
ーー前半をリードし、ハーフタイムで伝えたことと後半ピッチで反映されなかった要因
前半はパーフェクトな形で選手たちを褒めた中で、後半は相手は何かを仕掛けてくるので、ここを受けて立つと流れは変わってしまうと伝えた。後半、相手が少しフォーメーションを変えたり、少し割り切って積極的にがむしゃらに来た中で、自分たちが大事な1対1のところで負けるといった戦術以前のところで先手を取られたことによって、流れが向こうにいってしまった。
ーー週明けのトレーニングでは選手たちにどんな声掛けをして、テーマを掲げたか
まず自分たちの何が出来なかったのか、良かったところも含めて話をした。でもリーグ戦は続く中で、良いところを伸ばしながら、ミーティングでは見たくない自分たちの失点シーンをしっかり見て、少しづつ悪いところを修正した中で、1週間しっかり準備はできているので、それが明日の試合で結果として出ればいいのかなと思う。
ーー次節の相手の横浜猛蹴についての印象
みんなで戦うといったシンプルなチーム。でも勢いを上げたら、このカテゴリーはどのチームも力はあるので、どの相手にも隙のないようなサッカーをしてまずは1勝をしたい。
ーー第3節への意気込み
良いサッカーをできていたり、惜しいところまでいきながら勝てていない試合が続いているので、結果としてみんなで喜べればそれが大きな自信につながると思う。まずはどんな形でもいいから勝って終われるように、みんなで頑張っていきたい。

GAME REVIEW - 試合記録 -
初夏を思わせる陽気の中、ピッチ上では今季初白星を渇望する両者が、意地と意地をぶつけ合う白熱した攻防を繰り広げた、第3節の渋谷対横浜猛蹴戦。
前節の3失点を受け、3バックの構成を大胆に変更。中央にはロングフィードを得意とする渡邉尚樹を、左には新加入の宮坂拓海を配置。そして左のウイングにはスピードスター河波櫻士が先発として名を連ねた。
前半序盤は、互いがロングボールを送り込み、一気に相手陣地へと攻め込む展開。駆け引きと圧力が交差する中で、均衡を破ったのは左サイドの河波の突破力だった。前半10分、土田が相手DFの背後にボールを送り、河波がタイミングよく抜け出すと、ゴール前に低く鋭いクロス。最後は志村が飛び込み今季初ゴールの先制点。

その後も勢いは衰えず、14分には再び土田が左サイドを突破した河波にパスを渡し政森へと折り返すが、シュートは惜しくもキーパーの正面を突く。志村や山出が空中戦で優位に立ち、渋谷が主導権を握りながら試合を進め、良い流れで攻勢を強めていった。21分には水野がファウルを受けフリーキックを獲得。自らキッカーを務めた水野が精度の高いボールを送り、政森が左足で合わせるも惜しくもクロスバーの上を通過した。
そして迎えた29分、相手の前線からのプレスを山出、水野、楠美が華麗にかわし、土田に縦パスが入る。土田は前方のスペースを見逃さず、スルーパス。これに反応した植松が相手の裏を完璧に突き、抜け出すと最後は冷静に右足で流し込み、見事な連携から追加点が生まれる。

その後は相手の反撃も目立ち始め、セットプレーでのチャンスを得られた場面もあったが、集中力の高い守備陣がこれを跳ね返す。41分には右サイドでパスを受けた志村が逆サイドにいた河波へ大きく展開。河波がダイレクトで合わせるも、相手キーパーに弾かれ、追加点には結びつかなかった。それでも攻守にわたって狙い通りの形を演出し、堂々たる2点リードで前半を終える。
前節と同様、前半を2-0とリードして折り返した渋谷。あの悔しすぎる逆転負けが頭をよぎる中、後半から球際の強さ、セカンドボールの回収に神経を研ぎ澄ましていた。関東リーグの雰囲気にも順応しはじめた渋谷は、宮坂のヘディングの強さや、土田の落ち着いたボール回しでリズムをつくっていた。しかし52分、相手の左サイドから中央へと運ばれたボールはシュートにつながり、渋谷が跳ね返すもクリアしきれず、こぼれ球を押し込まれる。1点を返され、前節の悪夢が思い出されるような展開となった。それでも渋谷は慌てず、落ち着いて後方から組み立て直す。59分、再び自陣からリズムを作り、左サイドの河波にロングボールを送る。これを受けた河波がマイナス方向に送ったボールを、最後水野が左足一閃。勝利を手繰り寄せる3点目で相手を突き放した。

直後の61分には、幾度もの突破とクロスで躍動した河波に代わって佐藤を投入し、スピードと推進力で相手を揺さぶる。佐藤は持ち味のドリブル突破からクロスを供給する場面を作り出す。74分には水野に代わって小関、志村に代わって今季初出場となった青木が投入される。77分、相手が右サイドからロングボールで決定機を演出。左サイドから放たれた鋭いシュートは積田がブロック。集中力を切らさず、ピンチを凌ぎ切る。終盤には宮坂に代わり鈴木、楠美に代わり坪川と経験豊富な選手たちが出場。その後も小関や政森が果敢にゴールを狙い続け、89分には青木が低い鋭いクロスを放つも、惜しくもゴール前の味方に合わなかった。それでも最後まで守備と強度を緩めることなく、試合はそのまま3-1で終了。リードを守りきれなかった前節の悔しさを、待望の勝利という結果で晴らした渋谷。価値ある今季初白星を掴み取った。前節とは打って変わり、立ち上がりから終盤まで一貫して高い強度を保ち、球際への鋭い寄せや、あらゆる声掛けといった意思疎通がチーム全体に浸透していた。
次戦は2週間後。相手は一昨年、苦渋を舐めさせられた因縁の相手COEDO KAWAGOE F.Cだ。あの日のリベンジを果たすため、積み上げてきたものを昇華させる戦いが、再び始まろうとしている。

GAME HIGHLIGHTS - 試合ハイライト -
PLAYER'S INTERVIEWS - 試合後 選手インタビュー -
26 志村滉 / DF
ーー率直な感想は
1節・2節はチームとしても、個人としても苦しい時間を過ごした。この3節目で勝つかどうかで今シーズンが決まると思っていたので、勝ててよかった。
ーーWB間での連携について
WBから逆のWBというのは練習の中で繰り返しやっていること。櫻士(#27 河波)とは、見なくてもお互いにボールを送り込もうという話をしていた。練習通りになった。
ーー2試合の反省点をチームでどう活かしたか
特に2節目に関しては失点した後に、チームとしてどう戦うかというところを統一できていなかった。今日は逆に点を取られても慌てずに、意思統一をして3点目を取れたので、1個成長かなと思う。
2 宮坂拓海 / DF
ーー初出場の感想は
2試合メンバー外で、何か変えないとなという危機感を持っていた。ここに来てチャンスが巡ってきたので、今日は死ぬ気でやらないとという気持ちで戦った。
ーー意識していたことは
1点目のシーンは相手の10番の守備のポジショニングを確認して、サイドに落ちて相手を拾い、縦3を作るということを指示されていたので、意識して見ていた。ロングボールに関しては、何かしら結果を残さないといけない、印象を与えないといけないという気持ちがあったので、自分の特徴を活かしてプレーした。
ーー今後の意気込み
まだ課題が残るので、日々努力して、これから試合に出続けられるように頑張りたい。
BOSS'S INTERVIEWS - 試合後 監督インタビュー -
増嶋竜也 / 監督
ーー率直な感想は
まずは勝って終われてほっとしている。
ーーDFラインを前節から2枚変えたが、その意図は
前節で守備の強度に物足りなさを感じていた。ミヤ(#2 宮坂)とナベ(#3 渡邉)は練習から素晴らしいパフォーマンスを見せてくれていたし、いつでも行ける準備はしてくれていたので、迷うことなくその2人を選んだ。
ーー狙い通りの攻撃はできたか
中盤の作りから、ワイドに入った時、サイドに入った時のスピードアップは今年ずっとやってきたところ。ワイドからワイドというところでのゴールで、良い勢いをもたらしてくれた1点目・2点目だったので、本当によかったと思う。
ーー次節への意気込み
この一勝と、なかなか勝てなかったこと、色々なことを経験した。この3試合で何が正解だったのか、もっとやらなければいけなかったのかをもう一度見直す2週間にして、次の試合に向け良い準備をしていきたい。
GAME PREVIEW - 試合前情報 -
ここで変えろ。勝利以外、選択肢はない。
若さと勢いに呑まれた90分。主導権を失い痛恨の逆転負け
開幕戦で得た勝ち点1。それはまずまずではなく、物足りなさを残す結果だった。次こそ勝ち点3に変えるため挑んだ第2節・東京国際大学戦。しかし待っていたのは、勝ち点の上積みどころか、シーズン初黒星という厳しい現実だった。
前半はまさに渋谷の狙い通りの展開だった。球際で上回り、プレーエリアの管理、相手が嫌がるところを突き続ける意識、どれもが噛み合ってた。政森の2ゴールはいずれも、相手の隙を逃さず仕留めたもの。特に2点目のアウトサイドでのフィニッシュは、彼の技術と判断力、そして点を取る責任を存分に示すものだった。また山出の空中戦での強さと、前線への配球は攻撃の起点となった。さらに、キャプテン・土田の怪我明けとは思えない広いカバー範囲と冷静なコーチングは、全体に安定感をもたらしていた。
だが後半、空気は一変する。東京国際の前線からのプレッシングと、切り替えの速さで主導権を奪われ始めていく。渋谷は中盤でのセカンドボール争いに後れを取り始め、じわじわとリズムを狂わされる。プレッシャーを受け続ける中で最終ラインは押し込まれ、攻撃は徐々に推進力を失っていった。
選手交代で流れを変えようと試みるも、若さと勢いに乗る相手の波を止めるには至らなかった。小沼と佐藤の交代は推進力という点では効果を見せたが、フィニッシュの精度と判断の質においては課題を残した。またアンカーの楠美も自由を奪われ、プレースペースが狭くなったことでテンポを生み出せなくなった。志村の寄せもわずかな遅れや迷いが目立ち、もう一段階高い強度が求められる。
偶発的なものではなく、流れの中で必然的に生まれた3失点。意図と勢いのある相手に、完全に試合の主導権を奪われた形だ。
だが、収穫がなかったわけではない。前半のようにプラン通りに試合をコントロールできれば、関東の舞台でも十分戦える。その片鱗を示せたことは決して小さな成果ではない。一方で、90分間を通しての強度と集中力を保ち、劣勢時にどう立て直すか、そしてリードを奪ったあとの試合の締め方という部分で課題を残す結果となった。
突きつけられた現実。問われる立ち位置
次なる相手は横浜猛蹴。2002年に横浜市立東高校のOBらが中心となり結成されたチームだ。週に2〜3日の活動日数で、個の能力を武器に戦うチームである。中でもGK若田和樹は「ジャイアントカズキ」という名でYouTube活動をしており、ピッチ内外で存在感を放つ。開幕から2連敗中で、試合の入りから失点する場面が続いているため、前半で先制点を奪うことができれば大きく流れを引き寄せることができるだろう。だが、油断は禁物。勝利に飢え、反発力を持ってこの試合に臨んでくるのは確実であり、むしろこうした相手に対して自分たちの現在地と向き合う姿勢が問われるだろう。
前節では自分たちの立ち位置を再確認させられた渋谷。関東2部という舞台において、まだその環境や求められるレベルを捉えきれていない選手も多い。たとえ上のカテゴリーでプレーしていた経験があろうとも、今置かれている立場はチャレンジャーであることを忘れてはいけない。"戦えるつもり"でいたという気持ちがいかに甘かったか、存分に味わったことだろう。
前半の躍動も、後半の失速も、どちらも紛れもない"今"の渋谷だ。あの敗戦をただの黒星として片付けるのか、それとも勝つための分岐点にするのか。第3節はそれを証明する場だ。
ここで変える。ここで取り戻す。立ち止まる理由は、もうどこにもない。

PLAYER'S COMMENTS - 試合前 選手コメント -
39 渡邉千真 / FW
ーシーズン初黒星となった前節を振り返って
前半は2-0で折り返して自分たちの流れだったのにも関わらず、そこから(後半は)失点して逆転を許してしまったので、非常にもったいない試合をした印象。
ー自身は今シーズン公式戦初出場だったが、改めて関東リーグの舞台の雰囲気をどう感じたか
やっぱり東京都1部よりはレベルも上がったし、より強度は高くなったという印象。
ー後半チームが追い込まれる状況での途中出場だったが、自分が持ち込もうとした変化は
自分もそうだし、チームとしても点を取ることは求められたのでそこを意識した。負けている状況での出場だったので、なんとしてでも流れを変えて同点に追いつくことを意識して入った。
ー明日の試合に向けて、今週一週間のチームの雰囲気はどうだったか
まだ2試合しかやっていないが1勝もできていない状況で、チーム全体も下を向きそうなところではあったが、今週は切り替えてしっかりトレーニングを積んできた。明日の試合のピッチでも結果を出すだけだと思う。
ー第3節に向けて、ファン・サポーターにメッセージを
たくさんの方に現地まで応援に来ていただいたり、配信でも応援してくれる人はいると思うので、そういった人たちのためにもしっかり勝って、みんなで喜べるようにプレーしていきたい。

25 楠美圭史 / MF
ー前節はスタートからの出場だったが、どんな意識で試合に臨んだか
プレシーズンから自分たちがやっていることをしっかり出そうと思っていた。開幕戦はみんなの堅さがある中で、なかなか自分たちの時間が多くなかったので、そこをしっかり自分がコントロールできるようにプレーしていた。
ー前半の立ち上がりを振り返って
相手のロングボールが来る中で跳ね返しきれていないところがあったと思うが、徐々に自分たちがボールを持てるようになり良い形で先制点が取れた。前半は素晴らしいゲームができたと思っている。
ーその一方で後半は思うようにテンポが掴めない状況が続いたが、どんな課題を感じたか
あのような展開が続くなかで、セカンドボールが拾えず、自分たちの時間を作れなかったので、そこをどうしていくかが今回の課題として出た。あとはチームとして、1対1の強度が足りないという話にもなった。個人的には、それよりも自分たちがボールを持ったときに簡単に蹴ってしまったり、キーパーが持ったときにポジションを取れなかったことの方が問題だと思ったので、そこをもっとゲームの中で修正できるようにしたい。
ー今週のトレーニングやミーティングの中で、チーム全体や個人に変化はあったか
逆転負けをしたのでみんなが危機感を持ったと思う。監督からも、とにかく1対1のところをもう一度意識しようという話があったのでそこをみんなで取り組んだ。今は勝利することが自分たちにとっての良い薬だと思うので、勝利を目指してやっていきたい。
ー第3節に向けて
自分たちがしっかりゲームコントロールをして、ボールを持ちながら攻撃をしていくことが強みだと思う。そこは中盤の選手として一番大事なので、たくさんボールに関わってゲームコントロールをしたい。何よりどんな形でもいいので、勝利するところにこだわりたい。

増嶋竜也 / 監督
ーー前節は3失点の逆転負けで終わったが、試合を通しての評価は
良さもたくさんあったが、まだまだ未熟なところも出たという両極面が結果として出てしまった印象。
ーー前半をリードし、ハーフタイムで伝えたことと後半ピッチで反映されなかった要因
前半はパーフェクトな形で選手たちを褒めた中で、後半は相手は何かを仕掛けてくるので、ここを受けて立つと流れは変わってしまうと伝えた。後半、相手が少しフォーメーションを変えたり、少し割り切って積極的にがむしゃらに来た中で、自分たちが大事な1対1のところで負けるといった戦術以前のところで先手を取られたことによって、流れが向こうにいってしまった。
ーー週明けのトレーニングでは選手たちにどんな声掛けをして、テーマを掲げたか
まず自分たちの何が出来なかったのか、良かったところも含めて話をした。でもリーグ戦は続く中で、良いところを伸ばしながら、ミーティングでは見たくない自分たちの失点シーンをしっかり見て、少しづつ悪いところを修正した中で、1週間しっかり準備はできているので、それが明日の試合で結果として出ればいいのかなと思う。
ーー次節の相手の横浜猛蹴についての印象
みんなで戦うといったシンプルなチーム。でも勢いを上げたら、このカテゴリーはどのチームも力はあるので、どの相手にも隙のないようなサッカーをしてまずは1勝をしたい。
ーー第3節への意気込み
良いサッカーをできていたり、惜しいところまでいきながら勝てていない試合が続いているので、結果としてみんなで喜べればそれが大きな自信につながると思う。まずはどんな形でもいいから勝って終われるように、みんなで頑張っていきたい。

GAME REVIEW - 試合記録 -
初夏を思わせる陽気の中、ピッチ上では今季初白星を渇望する両者が、意地と意地をぶつけ合う白熱した攻防を繰り広げた、第3節の渋谷対横浜猛蹴戦。
前節の3失点を受け、3バックの構成を大胆に変更。中央にはロングフィードを得意とする渡邉尚樹を、左には新加入の宮坂拓海を配置。そして左のウイングにはスピードスター河波櫻士が先発として名を連ねた。
前半序盤は、互いがロングボールを送り込み、一気に相手陣地へと攻め込む展開。駆け引きと圧力が交差する中で、均衡を破ったのは左サイドの河波の突破力だった。前半10分、土田が相手DFの背後にボールを送り、河波がタイミングよく抜け出すと、ゴール前に低く鋭いクロス。最後は志村が飛び込み今季初ゴールの先制点。

その後も勢いは衰えず、14分には再び土田が左サイドを突破した河波にパスを渡し政森へと折り返すが、シュートは惜しくもキーパーの正面を突く。志村や山出が空中戦で優位に立ち、渋谷が主導権を握りながら試合を進め、良い流れで攻勢を強めていった。21分には水野がファウルを受けフリーキックを獲得。自らキッカーを務めた水野が精度の高いボールを送り、政森が左足で合わせるも惜しくもクロスバーの上を通過した。
そして迎えた29分、相手の前線からのプレスを山出、水野、楠美が華麗にかわし、土田に縦パスが入る。土田は前方のスペースを見逃さず、スルーパス。これに反応した植松が相手の裏を完璧に突き、抜け出すと最後は冷静に右足で流し込み、見事な連携から追加点が生まれる。

その後は相手の反撃も目立ち始め、セットプレーでのチャンスを得られた場面もあったが、集中力の高い守備陣がこれを跳ね返す。41分には右サイドでパスを受けた志村が逆サイドにいた河波へ大きく展開。河波がダイレクトで合わせるも、相手キーパーに弾かれ、追加点には結びつかなかった。それでも攻守にわたって狙い通りの形を演出し、堂々たる2点リードで前半を終える。
前節と同様、前半を2-0とリードして折り返した渋谷。あの悔しすぎる逆転負けが頭をよぎる中、後半から球際の強さ、セカンドボールの回収に神経を研ぎ澄ましていた。関東リーグの雰囲気にも順応しはじめた渋谷は、宮坂のヘディングの強さや、土田の落ち着いたボール回しでリズムをつくっていた。しかし52分、相手の左サイドから中央へと運ばれたボールはシュートにつながり、渋谷が跳ね返すもクリアしきれず、こぼれ球を押し込まれる。1点を返され、前節の悪夢が思い出されるような展開となった。それでも渋谷は慌てず、落ち着いて後方から組み立て直す。59分、再び自陣からリズムを作り、左サイドの河波にロングボールを送る。これを受けた河波がマイナス方向に送ったボールを、最後水野が左足一閃。勝利を手繰り寄せる3点目で相手を突き放した。

直後の61分には、幾度もの突破とクロスで躍動した河波に代わって佐藤を投入し、スピードと推進力で相手を揺さぶる。佐藤は持ち味のドリブル突破からクロスを供給する場面を作り出す。74分には水野に代わって小関、志村に代わって今季初出場となった青木が投入される。77分、相手が右サイドからロングボールで決定機を演出。左サイドから放たれた鋭いシュートは積田がブロック。集中力を切らさず、ピンチを凌ぎ切る。終盤には宮坂に代わり鈴木、楠美に代わり坪川と経験豊富な選手たちが出場。その後も小関や政森が果敢にゴールを狙い続け、89分には青木が低い鋭いクロスを放つも、惜しくもゴール前の味方に合わなかった。それでも最後まで守備と強度を緩めることなく、試合はそのまま3-1で終了。リードを守りきれなかった前節の悔しさを、待望の勝利という結果で晴らした渋谷。価値ある今季初白星を掴み取った。前節とは打って変わり、立ち上がりから終盤まで一貫して高い強度を保ち、球際への鋭い寄せや、あらゆる声掛けといった意思疎通がチーム全体に浸透していた。
次戦は2週間後。相手は一昨年、苦渋を舐めさせられた因縁の相手COEDO KAWAGOE F.Cだ。あの日のリベンジを果たすため、積み上げてきたものを昇華させる戦いが、再び始まろうとしている。

GAME HIGHLIGHTS - 試合ハイライト -
PLAYER'S INTERVIEWS - 試合後 選手インタビュー -
26 志村滉 / DF
ーー率直な感想は
1節・2節はチームとしても、個人としても苦しい時間を過ごした。この3節目で勝つかどうかで今シーズンが決まると思っていたので、勝ててよかった。
ーーWB間での連携について
WBから逆のWBというのは練習の中で繰り返しやっていること。櫻士(#27 河波)とは、見なくてもお互いにボールを送り込もうという話をしていた。練習通りになった。
ーー2試合の反省点をチームでどう活かしたか
特に2節目に関しては失点した後に、チームとしてどう戦うかというところを統一できていなかった。今日は逆に点を取られても慌てずに、意思統一をして3点目を取れたので、1個成長かなと思う。
2 宮坂拓海 / DF
ーー初出場の感想は
2試合メンバー外で、何か変えないとなという危機感を持っていた。ここに来てチャンスが巡ってきたので、今日は死ぬ気でやらないとという気持ちで戦った。
ーー意識していたことは
1点目のシーンは相手の10番の守備のポジショニングを確認して、サイドに落ちて相手を拾い、縦3を作るということを指示されていたので、意識して見ていた。ロングボールに関しては、何かしら結果を残さないといけない、印象を与えないといけないという気持ちがあったので、自分の特徴を活かしてプレーした。
ーー今後の意気込み
まだ課題が残るので、日々努力して、これから試合に出続けられるように頑張りたい。
BOSS'S INTERVIEWS - 試合後 監督インタビュー -
増嶋竜也 / 監督
ーー率直な感想は
まずは勝って終われてほっとしている。
ーーDFラインを前節から2枚変えたが、その意図は
前節で守備の強度に物足りなさを感じていた。ミヤ(#2 宮坂)とナベ(#3 渡邉)は練習から素晴らしいパフォーマンスを見せてくれていたし、いつでも行ける準備はしてくれていたので、迷うことなくその2人を選んだ。
ーー狙い通りの攻撃はできたか
中盤の作りから、ワイドに入った時、サイドに入った時のスピードアップは今年ずっとやってきたところ。ワイドからワイドというところでのゴールで、良い勢いをもたらしてくれた1点目・2点目だったので、本当によかったと思う。
ーー次節への意気込み
この一勝と、なかなか勝てなかったこと、色々なことを経験した。この3試合で何が正解だったのか、もっとやらなければいけなかったのかをもう一度見直す2週間にして、次の試合に向け良い準備をしていきたい。