
KICK OFF |
5:00
小さな森の家フィールド


SHIBUYA CITY FC

tonan前橋
2
1
2025シーズン 関東サッカーリーグ2部
2025年5月17日
GAME RESULT
GAME REPORT
GAME PREVIEW - 試合前情報 -
ここから、浮上せよ
勝利への飢え
2年前のリベンジを誓ったはずが、本来の渋谷の姿とは言い難かった前節のCOEDO KAWAGOE F.C戦。
前半は出足の鋭い相手のプレッシャーに加え、決して良い状態とは言えない天然芝のグランドに苦労し思うようなボール運びができなかった。それどころか、何度か受けていた相手のショートカウンター主体の攻撃に対応できないまま1失点。
ハーフタイムを迎え、不在の増嶋監督に代わり指揮を執った三原コーチの思惑や、選手たち自身がピッチ上で感じた課題がチーム全体に共有され、後半開始と同時に流れが渋谷に傾きはじめる。特に、ハーフタイム明けに投入された岩沼俊介とこの日が渋谷での公式戦デビューとなった大越寛人の2人がボールを扱う技術の高さを見せ、ボール保持の局面でチームに落ち着きをもたらした。後半19分、植松亮との連携から河波櫻士がゴール前に抜け出すと思い切りの良いシュートで同点弾。その後はセットプレーなどでチャンスをいくつかつくったものの逆転とまではいかないまま試合終了。4節までで1勝2分1敗と、開幕前に思い描いていた結果には程遠く、関東リーグの厳しさに直面している。
ハーフタイムでの修正や、交代選手の活躍など収穫も少なからずあった試合。それでも、「勝たなければいけない試合だった」と選手たちは口々に語った。2年前のリベンジは8月に持ち越しとなり、単なるリーグ戦以上の価値を持つ特別な試合に懸ける想いと勝利への飢えが彼らの表情に滲み出る結果となった。
揺るぎない「自信」を「確信」に
tonan前橋、EDO ALL UNITEDと5月の終わりはリーグ上位との連戦となる。シーズン序盤の重要な2試合に向けて、チームはこれまで以上の準備を進めている。5月11日にはJリーグのFC東京と練習試合が組まれ、レベルの高い相手に手応えを掴むことのできた実りある時間となった。Jクラブのプレースピード、球際の強度、一発でゴールを仕留めきる力ーー「渋谷からJリーグを目指す」と掲げているクラブを代表する選手たちはピッチ内の至る所で感じ取るものがあったはず。その全ては、今シーズンの関東1部への昇格のために昇華されなくてはならない。
今節の相手はtonan前橋。リーグ戦ここまで3勝1分と無敗を誇る強敵だ。昨シーズンも2位との勝ち点差はあったもののリーグ3位で昇格を逃したクラブがその実力を示している。ボールを握る展開では両翼の攻撃参加や質の高い対角のクロス、個人の打開でゴールを狙う。今シーズン4試合で2失点の数字が示す通り、守備では強固なブロックを敷いてくる相手だ。
対する渋谷も、前節とFC東京との練習試合を受けて、何人かの先発入れ替えが予想される。前節印象的なプレーを見せた大越と町田ゼルビアから期限付き移籍中の高崎天史郎の起用方法や今シーズンまだ無失点の試合がない守備陣の並びなど、増嶋監督のプランにも注目だ。
今、渋谷にできることはひたすらに勝利を積み重ね上位との差を縮めていくこと。前節以降のトレーニングの雰囲気やチーム戦術の擦り合わせの様子をみてもチームの結束力と個々人の意識は日に日に高まっている。
「SHIBUYA CITY FCの実力はこんなものではない」
選手自身、スタッフ自身、サポーター自身、皆が思っているこの揺るぎない自信を確信に変えるのは勝利という結果のみ。またクラブが一つとなって昇格への歩みを進めよう。
現在リーグ6位ーーここから、浮上せよ。

PLAYER'S COMMENTS - 試合前 選手コメント -
20 岩沼 俊介 / DF
ーー前節を引き分けて、現在1勝2分1敗。チーム状況をどのように感じているか
全て勝つつもりで戦っているが、そんなに甘いリーグだとも思っていなかった。まだまだこれから次第。DFとしても失点する試合が続いているので、それぞれでポジション争いもある中で前線の選手中心にチームで点は取れているので、守備陣はゼロで抑えていこうという話をしている。ポジション争いのところは、特に意識はせずいつも通り試合に出た時はプレーすることを心掛けている。
ーー5/11のFC東京戦について
久々のJクラブとの試合は、やはり個人のレベルが高くてやりがいがあった。チームとして良い試合と経験ができたと思う。個人的には、Jクラブとやる方が戦い慣れているところがあったかもしれない。DFとしてレベルの高い相手に「やられて楽しい」というわけではないが、「強いな」「うまいな」と色々感じるものがあった。ピッチ上で知っている選手がいれば話すこともある。サッカーに関係ない話がほとんど。
ーーtonan前橋戦に向けて
リーグ戦とFC東京戦のような練習試合は全く別物なので、思ったような展開にはならないはず。それでも難しさのある試合で自分たちの持ち味を出せれば勝利に近づくと思う。
ーー地元群馬のクラブとの試合
tonan前橋のキャプテンの乾選手は小中学校の時の1個下の後輩なので対戦が楽しみ。久しぶりに会うけど、敬語で話しかけてきてほしい。

19 高崎 天史郎 / MF
ーーチームに加入して1ヶ月弱。渋谷に対しての印象は
正直、関東リーグ2部というカテゴリーに最初は戸惑いがあった。それでも、渋谷の選手たちは環境を言い訳にせず一生懸命にサッカーに取り組んでいる姿をみてすごく良いチームだなと思った。
ーー前節は交代出場でデビュー
引き分けの状態で出場したので、攻撃の選手としてドリブルで相手の選手を剥がしたりチャンスをつくったり、得点を取らなあかんというのは意識していた。
ーーチームとしてはここまで思うような結果が出ていない中で何を意識しているか
渋谷に移籍してきて、公式戦での得点と初勝利をしたいなと思っている。チームとしても今週は相手のことを分析して、まず勝ちに行くということをやっている。
ーー町田ゼルビアのサポーターも試合に応援に来てくれていた
わざわざ遠いところ(前節の会場は埼玉県熊谷市)まで応援に駆けつけていただいているのは本当にありがたいと思っている。そのために、自分は結果を出すというか、恩返しができればと思っているので、引き続き応援されるような選手を目指したい。

BOSS'S COMMENTS - 試合前 監督コメント -
増嶋 竜也 / 監督
ーー前節は引き分け。Proライセンスの講習で不在の中、チームをどう見たか
少し不思議な心境だった。映像で見るチームと実際に現地で見るチームは違うと思っているので評価もなかなか難しい。それでも選手が一生懸命にプレーしていることは伝わってきた。引き分けという結果については、監督として試合に向けてもっとやれることがあったのではないかと。もっと戦術を落とし込むとか、何か起きた時の解決策を作っておくとか。でもチームが負けなかったということは良かったと捉えている。
ーーFC東京との練習試合を経て、今週準備してきたこと
FC東京戦は、チームとしてポジティブな要素がたくさんある試合だった。やはり渋谷が目指すサッカーはこれだよね、それをもう一度再構築しよう、というのが再認識できた。(今週もProライセンスのため不在だったが)攻撃と守備それぞれでもう一度チームのやるべきことを整理した。
ーーこれから上位との連戦となる
上位に行くためには上位を倒さなきゃいけないというわかりやすい状況。優勝するために絶対倒す。内容より結果にこだわっていきたい。

GAME REVIEW - 試合記録 -
降りしきる雨と強い横風で万全のピッチコンディションとは言えない環境の中キックオフされたSHIBUYA CITY FCとtonan前橋と一戦。昇格を目指すクラブとしてこれ以上勝ち点を落とすと状況が厳しくなる渋谷と下位との差を突き放したい前橋、両者気迫のこもったプレーが随所にみられる戦いとなった。

増嶋監督は、渡邉千真、小関陽星、岩沼俊介、木村壮宏の4選手を前節と入れ替え先発させた。そのほかにも、3バックの並びや植松亮を2トップの一角から一列後ろのポジションでスタートさせるなど、配置にも変化があった。
試合は前半開始とともに、水溜りもあるピッチの影響から互いにゴール前を目掛けてロングボールを蹴り込む展開が続く。渋谷は渡邉千真がタイミングの良いヘディングや足元に収める技術の高さを見せ、前橋のDF陣を苦しめる。
前半5分には、スローインの流れから楠美圭史のロングボールに渡邉千真、小関が絡み、最後は河波櫻士が左足でシュートを放つも僅かにゴール左に外れる。7分にも鈴木のクリアボールに反応した渡邉千真が抜け出し飛び出していたGKの位置を確認してロングシュートを狙うが枠を捉えきれない。開始早々の2本のシュートで渋谷にペースは傾く。
守っては、小関や植松がしっかりと相手にプレッシャーをかけ、良い状態でロングボールを入れさせない。渋谷陣地にボールが送られてきても、鈴木友也、志村滉、岩沼の3選手が高い集中力で、しっかりとボールを弾き返し、チャンスを作らせない。中盤では、キャプテンの土田、楠美、植松の3人がセカンドボールにいち早く反応しマイボールに収める作業を遂行させる。

前半20分には渋谷の左サイドから前橋が侵入し鋭いクロスをあげるも、GKの木村がしっかりとキャッチし、決定機を作らせない。前半半ば以降は、FKやCKから小関が質の高いボールを供給するも、あと一歩のところで合わせきれず、ゴールには至らない。39分には楠美のシュート性のボールに反応した植松がトラップし左足でゴールを狙うも僅かに左に外れる。
42分には前半最大の決定機が訪れる。50-50のボールに反応した土田が渡邉千真にボールを送るとペナルティエリアの外からドリブルで仕掛け、中央に走り込んだ植松にパス。植松が水溜りで減速したボールを絶妙な浮き玉でペナルティエリア内に落とすと、走り込んだ土田が合わせようとする。しかし、こちらも水溜りの影響でボールのバウンドが変化しシュートに持ち込めない。バウンドさえ合っていれば1点もののビッグチャンスだった。
雨の中の戦い方、守備の気迫と渋谷が常にペースを握った展開だったが得点を奪えず0-0で前半を折り返す。
ハーフタイムに渡邉千真に代わり政森宗治が投入され後半がキックオフ。前半の良い流れをそのままに、渋谷のペースで試合は進む。それでもここまで4試合で2失点の強化な守備を誇る前橋も集中力を切らさない。後半の立ち上がりはお互いになかなかシュートまで持ち込めず、中盤での激しい球際での攻防が続く。
54分、木村のロングパスに河波が反応すると政森との連携から左サイドを抜け出す。ワンタッチでクロスをあげるが、中に走り込む選手が間に合わずシュートを打てない。しかし、流れたボールを拾い、右サイドで二次攻撃を組み立てると志村のクロスが河波に渡り、DFの中間ポジションをうまく取っていた小関に丁寧なパス。すぐさまターンしゴールを向いた小関がDFを揺さぶり左足を振り抜くとボールはサイドネットに突き刺さり、渋谷が55分に待望の先制点を挙げる。

その後も手を緩めない渋谷。59分、土田のラストパスに反応した政森と飛び出したGKが交錯、そのボールに反応した植松が柔らかいボールをゴール前に送るが最後は前橋がかき出しCKに逃れた。後半は、土田が相手DFの左右の裏にボールを送り込み、抜け出した政森や河波、佐藤が起点となる攻撃が機能。相手の体力も徐々に削られていく。
66分、渋谷陣内でFKを獲得した前橋はGKとDFの間に良いボールを送るも、ボールの軌道を冷静に見極めた木村が冷静にキャッチする。68分には佐藤に変わり大越寛人、楠美に変わり本田憲弥が交代でピッチイン。リードした状態での試合運びを託される。
迎えた72分、渋谷が大きな追加点を決める。この日初めてゴールキックからビルドアップを試みた前橋のDFラインに猛プレッシャーをかけると、そのまま相手のミスを誘い、飛び出していたGKの頭上を越す華麗なループシュートを政森が放つ。ボールはネットに転がり込み貴重な2点目となった。直後の74分には河波に変わり青木竣を入れ、サイドの活性化を図る。80分にはその青木竣からゴール前に鋭いクロスが入るも最後が合わせきれない。81分には前橋が渋谷の左サイドを攻め込みクロスを挙げるが、植松がしっかりとペナルティエリア内までプレスバックしクリア。攻守に渡りチームを助ける走力とポジショニングが光るプレーをみせた。さらに82分にも前橋のミドルシュートが枠に飛ぶがここは木村がコーナーに逃れるセーブ。雨の日にも関わらず、木村は前橋のクロス、セットプレー、シュートに冷静に対応し、チームを救った。

83分には最後の交代枠として殊勲の小関に変わり水野が入り、試合をクロージングさせる時間帯へと突入する。しかし88分、中盤での球際の争いに隙を見せ、ペナルティエリア内に侵入されると前橋のシュートがゴールに突き刺さりスコアが2-1となる。またしても失点を喫し、シーズン初のクリーンシートはお預けとなった。アディショナルタイムを含めて5分あまりの戦い、勝ちを手繰り寄せるためには絶対に失点が許されない状況となる。
「何がなんでも勝利する」「内容より結果」選手や監督が口にしていたこの言葉を、渋谷はこの5分間で見事に体現する。ハイボールの競り合い、前線からの守備、鬼気迫る球際、最後は追加点を取りに行くというよりも1点を死守し勝ち切るチームとしてのプレーに徹し、アディショナルタイム4分をしのぎ切って今シーズン2勝目を手にした。
これでリーグ5試合を戦い2勝2分1敗で勝ち点8。
次節は、因縁の相手EDO ALL UNITED。今までリーグでの戦いでは勝ったことのない相手との重要な一戦となる。今後昇格争いに食い込むためにも、勝ち点3が是が非でも必要になるタイミングに不足のない相手との試合は激戦必須。
今日のような高い集中力と組織としての戦い、個人の特徴を出す試合を展開できれば自ずと良い結果がついてくるはず。注目の第6節は5月31日に開催される。

GAME HIGHLIGHTS - 試合ハイライト -
PLAYER'S INTERVIEWS - 試合後 選手インタビュー -
77 小関 陽星/ MF
ーー心がけていたことは
楽しもうという思いと、ピッチに立ったら誰にも負けたくないという想いは常にある。この試合に強い想いを持っていたというより、いつも通り、目の前の相手に負けたくないという想いでプレーした。
ーー得点シーンを振り返って
常に一緒にいる相棒の櫻士(河波)からいいパスが来たので、これをアシストにしないとだめだと思い、ドリブルしてシュート打ったら入った。
ーー今後の意気込み
これまで思い描いた通りにいかず、もどかしい日々を送っていたが、色々な人の支えや先輩方のおかげで今は良い状態でプレーできている。ここからは自分の力でチームを昇格に導けるように、良い準備をしていきたい。
8 植松 亮/ MF
ーーどのような気持ちで試合に臨んだのか
やるのはピッチの選手。チームスタッフが色々提案をするが、最後の決断は選手自身でやらなければいけないというのは前節で感じた。今日は難しい状況で、より選手たちが集中しなければいけない中で、全員がしっかり自分自身で決断できたと思う。
ーー意識していたことは
難しいのは分かっていたし、蹴り合いの中でどこかで落ち着かせる場面が必要だった。自分の上手さはこういう雨の中で出ると思っている。試合前にスタッフが水かきをしてくれて良いピッチになったので、あとは自分の技術を出すだけだった。
ーー次節の意気込み
(相手は)昇格組のEDOだが、僕たちにとって目の前の一試合であることに変わりはない。次もホーム。(今日も)これだけ多くのサポーターが来てくれて、色々なサポートがある。勝ち点3を届けるのは選手たちがやらなければいけないので、それに向けてまた良い準備をしたい。
BOSS'S INTERVIEWS - 試合後 監督インタビュー -
増嶋 竜也 / 監督
ーー意識していたことは
始まる前に水たまりが全体的にあったのでいつもの戦い方はできない、割り切った中でチャンスをものにしようという話をミーティングでしていた。選手はいつもの形ではない中でも力強く最後までやってくれたので、本当に勝ててよかった。
ーーハーフタイムの交代の意図は
前半に千真(渡邉)が一生懸命、最初のボールに対してアタックしてくれていた。後半もう少し動きが欲しいという中で、全体的なプッシュアップとサポートの質、前の推進力を上げることを図った。トキ(政森)は僕らの期待以上に流れを良くしてくれた。代わって入った選手が頑張ってくれた。
ーー次節に向けて
我々は勝ち続けなければいけないチームだし、勝って自信をつけていくと思う。今までなかなか勝てない試合が続いたが、今日みたいな試合ができれば間違いなく選手ももっとできると思うので、この勢いを無駄にしないように、2週間かけて次の試合に向けやっていきたい。
GAME PREVIEW - 試合前情報 -
ここから、浮上せよ
勝利への飢え
2年前のリベンジを誓ったはずが、本来の渋谷の姿とは言い難かった前節のCOEDO KAWAGOE F.C戦。
前半は出足の鋭い相手のプレッシャーに加え、決して良い状態とは言えない天然芝のグランドに苦労し思うようなボール運びができなかった。それどころか、何度か受けていた相手のショートカウンター主体の攻撃に対応できないまま1失点。
ハーフタイムを迎え、不在の増嶋監督に代わり指揮を執った三原コーチの思惑や、選手たち自身がピッチ上で感じた課題がチーム全体に共有され、後半開始と同時に流れが渋谷に傾きはじめる。特に、ハーフタイム明けに投入された岩沼俊介とこの日が渋谷での公式戦デビューとなった大越寛人の2人がボールを扱う技術の高さを見せ、ボール保持の局面でチームに落ち着きをもたらした。後半19分、植松亮との連携から河波櫻士がゴール前に抜け出すと思い切りの良いシュートで同点弾。その後はセットプレーなどでチャンスをいくつかつくったものの逆転とまではいかないまま試合終了。4節までで1勝2分1敗と、開幕前に思い描いていた結果には程遠く、関東リーグの厳しさに直面している。
ハーフタイムでの修正や、交代選手の活躍など収穫も少なからずあった試合。それでも、「勝たなければいけない試合だった」と選手たちは口々に語った。2年前のリベンジは8月に持ち越しとなり、単なるリーグ戦以上の価値を持つ特別な試合に懸ける想いと勝利への飢えが彼らの表情に滲み出る結果となった。
揺るぎない「自信」を「確信」に
tonan前橋、EDO ALL UNITEDと5月の終わりはリーグ上位との連戦となる。シーズン序盤の重要な2試合に向けて、チームはこれまで以上の準備を進めている。5月11日にはJリーグのFC東京と練習試合が組まれ、レベルの高い相手に手応えを掴むことのできた実りある時間となった。Jクラブのプレースピード、球際の強度、一発でゴールを仕留めきる力ーー「渋谷からJリーグを目指す」と掲げているクラブを代表する選手たちはピッチ内の至る所で感じ取るものがあったはず。その全ては、今シーズンの関東1部への昇格のために昇華されなくてはならない。
今節の相手はtonan前橋。リーグ戦ここまで3勝1分と無敗を誇る強敵だ。昨シーズンも2位との勝ち点差はあったもののリーグ3位で昇格を逃したクラブがその実力を示している。ボールを握る展開では両翼の攻撃参加や質の高い対角のクロス、個人の打開でゴールを狙う。今シーズン4試合で2失点の数字が示す通り、守備では強固なブロックを敷いてくる相手だ。
対する渋谷も、前節とFC東京との練習試合を受けて、何人かの先発入れ替えが予想される。前節印象的なプレーを見せた大越と町田ゼルビアから期限付き移籍中の高崎天史郎の起用方法や今シーズンまだ無失点の試合がない守備陣の並びなど、増嶋監督のプランにも注目だ。
今、渋谷にできることはひたすらに勝利を積み重ね上位との差を縮めていくこと。前節以降のトレーニングの雰囲気やチーム戦術の擦り合わせの様子をみてもチームの結束力と個々人の意識は日に日に高まっている。
「SHIBUYA CITY FCの実力はこんなものではない」
選手自身、スタッフ自身、サポーター自身、皆が思っているこの揺るぎない自信を確信に変えるのは勝利という結果のみ。またクラブが一つとなって昇格への歩みを進めよう。
現在リーグ6位ーーここから、浮上せよ。

PLAYER'S COMMENTS - 試合前 選手コメント -
20 岩沼 俊介 / DF
ーー前節を引き分けて、現在1勝2分1敗。チーム状況をどのように感じているか
全て勝つつもりで戦っているが、そんなに甘いリーグだとも思っていなかった。まだまだこれから次第。DFとしても失点する試合が続いているので、それぞれでポジション争いもある中で前線の選手中心にチームで点は取れているので、守備陣はゼロで抑えていこうという話をしている。ポジション争いのところは、特に意識はせずいつも通り試合に出た時はプレーすることを心掛けている。
ーー5/11のFC東京戦について
久々のJクラブとの試合は、やはり個人のレベルが高くてやりがいがあった。チームとして良い試合と経験ができたと思う。個人的には、Jクラブとやる方が戦い慣れているところがあったかもしれない。DFとしてレベルの高い相手に「やられて楽しい」というわけではないが、「強いな」「うまいな」と色々感じるものがあった。ピッチ上で知っている選手がいれば話すこともある。サッカーに関係ない話がほとんど。
ーーtonan前橋戦に向けて
リーグ戦とFC東京戦のような練習試合は全く別物なので、思ったような展開にはならないはず。それでも難しさのある試合で自分たちの持ち味を出せれば勝利に近づくと思う。
ーー地元群馬のクラブとの試合
tonan前橋のキャプテンの乾選手は小中学校の時の1個下の後輩なので対戦が楽しみ。久しぶりに会うけど、敬語で話しかけてきてほしい。

19 高崎 天史郎 / MF
ーーチームに加入して1ヶ月弱。渋谷に対しての印象は
正直、関東リーグ2部というカテゴリーに最初は戸惑いがあった。それでも、渋谷の選手たちは環境を言い訳にせず一生懸命にサッカーに取り組んでいる姿をみてすごく良いチームだなと思った。
ーー前節は交代出場でデビュー
引き分けの状態で出場したので、攻撃の選手としてドリブルで相手の選手を剥がしたりチャンスをつくったり、得点を取らなあかんというのは意識していた。
ーーチームとしてはここまで思うような結果が出ていない中で何を意識しているか
渋谷に移籍してきて、公式戦での得点と初勝利をしたいなと思っている。チームとしても今週は相手のことを分析して、まず勝ちに行くということをやっている。
ーー町田ゼルビアのサポーターも試合に応援に来てくれていた
わざわざ遠いところ(前節の会場は埼玉県熊谷市)まで応援に駆けつけていただいているのは本当にありがたいと思っている。そのために、自分は結果を出すというか、恩返しができればと思っているので、引き続き応援されるような選手を目指したい。

BOSS'S COMMENTS - 試合前 監督コメント -
増嶋 竜也 / 監督
ーー前節は引き分け。Proライセンスの講習で不在の中、チームをどう見たか
少し不思議な心境だった。映像で見るチームと実際に現地で見るチームは違うと思っているので評価もなかなか難しい。それでも選手が一生懸命にプレーしていることは伝わってきた。引き分けという結果については、監督として試合に向けてもっとやれることがあったのではないかと。もっと戦術を落とし込むとか、何か起きた時の解決策を作っておくとか。でもチームが負けなかったということは良かったと捉えている。
ーーFC東京との練習試合を経て、今週準備してきたこと
FC東京戦は、チームとしてポジティブな要素がたくさんある試合だった。やはり渋谷が目指すサッカーはこれだよね、それをもう一度再構築しよう、というのが再認識できた。(今週もProライセンスのため不在だったが)攻撃と守備それぞれでもう一度チームのやるべきことを整理した。
ーーこれから上位との連戦となる
上位に行くためには上位を倒さなきゃいけないというわかりやすい状況。優勝するために絶対倒す。内容より結果にこだわっていきたい。

GAME REVIEW - 試合記録 -
降りしきる雨と強い横風で万全のピッチコンディションとは言えない環境の中キックオフされたSHIBUYA CITY FCとtonan前橋と一戦。昇格を目指すクラブとしてこれ以上勝ち点を落とすと状況が厳しくなる渋谷と下位との差を突き放したい前橋、両者気迫のこもったプレーが随所にみられる戦いとなった。

増嶋監督は、渡邉千真、小関陽星、岩沼俊介、木村壮宏の4選手を前節と入れ替え先発させた。そのほかにも、3バックの並びや植松亮を2トップの一角から一列後ろのポジションでスタートさせるなど、配置にも変化があった。
試合は前半開始とともに、水溜りもあるピッチの影響から互いにゴール前を目掛けてロングボールを蹴り込む展開が続く。渋谷は渡邉千真がタイミングの良いヘディングや足元に収める技術の高さを見せ、前橋のDF陣を苦しめる。
前半5分には、スローインの流れから楠美圭史のロングボールに渡邉千真、小関が絡み、最後は河波櫻士が左足でシュートを放つも僅かにゴール左に外れる。7分にも鈴木のクリアボールに反応した渡邉千真が抜け出し飛び出していたGKの位置を確認してロングシュートを狙うが枠を捉えきれない。開始早々の2本のシュートで渋谷にペースは傾く。
守っては、小関や植松がしっかりと相手にプレッシャーをかけ、良い状態でロングボールを入れさせない。渋谷陣地にボールが送られてきても、鈴木友也、志村滉、岩沼の3選手が高い集中力で、しっかりとボールを弾き返し、チャンスを作らせない。中盤では、キャプテンの土田、楠美、植松の3人がセカンドボールにいち早く反応しマイボールに収める作業を遂行させる。

前半20分には渋谷の左サイドから前橋が侵入し鋭いクロスをあげるも、GKの木村がしっかりとキャッチし、決定機を作らせない。前半半ば以降は、FKやCKから小関が質の高いボールを供給するも、あと一歩のところで合わせきれず、ゴールには至らない。39分には楠美のシュート性のボールに反応した植松がトラップし左足でゴールを狙うも僅かに左に外れる。
42分には前半最大の決定機が訪れる。50-50のボールに反応した土田が渡邉千真にボールを送るとペナルティエリアの外からドリブルで仕掛け、中央に走り込んだ植松にパス。植松が水溜りで減速したボールを絶妙な浮き玉でペナルティエリア内に落とすと、走り込んだ土田が合わせようとする。しかし、こちらも水溜りの影響でボールのバウンドが変化しシュートに持ち込めない。バウンドさえ合っていれば1点もののビッグチャンスだった。
雨の中の戦い方、守備の気迫と渋谷が常にペースを握った展開だったが得点を奪えず0-0で前半を折り返す。
ハーフタイムに渡邉千真に代わり政森宗治が投入され後半がキックオフ。前半の良い流れをそのままに、渋谷のペースで試合は進む。それでもここまで4試合で2失点の強化な守備を誇る前橋も集中力を切らさない。後半の立ち上がりはお互いになかなかシュートまで持ち込めず、中盤での激しい球際での攻防が続く。
54分、木村のロングパスに河波が反応すると政森との連携から左サイドを抜け出す。ワンタッチでクロスをあげるが、中に走り込む選手が間に合わずシュートを打てない。しかし、流れたボールを拾い、右サイドで二次攻撃を組み立てると志村のクロスが河波に渡り、DFの中間ポジションをうまく取っていた小関に丁寧なパス。すぐさまターンしゴールを向いた小関がDFを揺さぶり左足を振り抜くとボールはサイドネットに突き刺さり、渋谷が55分に待望の先制点を挙げる。

その後も手を緩めない渋谷。59分、土田のラストパスに反応した政森と飛び出したGKが交錯、そのボールに反応した植松が柔らかいボールをゴール前に送るが最後は前橋がかき出しCKに逃れた。後半は、土田が相手DFの左右の裏にボールを送り込み、抜け出した政森や河波、佐藤が起点となる攻撃が機能。相手の体力も徐々に削られていく。
66分、渋谷陣内でFKを獲得した前橋はGKとDFの間に良いボールを送るも、ボールの軌道を冷静に見極めた木村が冷静にキャッチする。68分には佐藤に変わり大越寛人、楠美に変わり本田憲弥が交代でピッチイン。リードした状態での試合運びを託される。
迎えた72分、渋谷が大きな追加点を決める。この日初めてゴールキックからビルドアップを試みた前橋のDFラインに猛プレッシャーをかけると、そのまま相手のミスを誘い、飛び出していたGKの頭上を越す華麗なループシュートを政森が放つ。ボールはネットに転がり込み貴重な2点目となった。直後の74分には河波に変わり青木竣を入れ、サイドの活性化を図る。80分にはその青木竣からゴール前に鋭いクロスが入るも最後が合わせきれない。81分には前橋が渋谷の左サイドを攻め込みクロスを挙げるが、植松がしっかりとペナルティエリア内までプレスバックしクリア。攻守に渡りチームを助ける走力とポジショニングが光るプレーをみせた。さらに82分にも前橋のミドルシュートが枠に飛ぶがここは木村がコーナーに逃れるセーブ。雨の日にも関わらず、木村は前橋のクロス、セットプレー、シュートに冷静に対応し、チームを救った。

83分には最後の交代枠として殊勲の小関に変わり水野が入り、試合をクロージングさせる時間帯へと突入する。しかし88分、中盤での球際の争いに隙を見せ、ペナルティエリア内に侵入されると前橋のシュートがゴールに突き刺さりスコアが2-1となる。またしても失点を喫し、シーズン初のクリーンシートはお預けとなった。アディショナルタイムを含めて5分あまりの戦い、勝ちを手繰り寄せるためには絶対に失点が許されない状況となる。
「何がなんでも勝利する」「内容より結果」選手や監督が口にしていたこの言葉を、渋谷はこの5分間で見事に体現する。ハイボールの競り合い、前線からの守備、鬼気迫る球際、最後は追加点を取りに行くというよりも1点を死守し勝ち切るチームとしてのプレーに徹し、アディショナルタイム4分をしのぎ切って今シーズン2勝目を手にした。
これでリーグ5試合を戦い2勝2分1敗で勝ち点8。
次節は、因縁の相手EDO ALL UNITED。今までリーグでの戦いでは勝ったことのない相手との重要な一戦となる。今後昇格争いに食い込むためにも、勝ち点3が是が非でも必要になるタイミングに不足のない相手との試合は激戦必須。
今日のような高い集中力と組織としての戦い、個人の特徴を出す試合を展開できれば自ずと良い結果がついてくるはず。注目の第6節は5月31日に開催される。

GAME HIGHLIGHTS - 試合ハイライト -
PLAYER'S INTERVIEWS - 試合後 選手インタビュー -
77 小関 陽星/ MF
ーー心がけていたことは
楽しもうという思いと、ピッチに立ったら誰にも負けたくないという想いは常にある。この試合に強い想いを持っていたというより、いつも通り、目の前の相手に負けたくないという想いでプレーした。
ーー得点シーンを振り返って
常に一緒にいる相棒の櫻士(河波)からいいパスが来たので、これをアシストにしないとだめだと思い、ドリブルしてシュート打ったら入った。
ーー今後の意気込み
これまで思い描いた通りにいかず、もどかしい日々を送っていたが、色々な人の支えや先輩方のおかげで今は良い状態でプレーできている。ここからは自分の力でチームを昇格に導けるように、良い準備をしていきたい。
8 植松 亮/ MF
ーーどのような気持ちで試合に臨んだのか
やるのはピッチの選手。チームスタッフが色々提案をするが、最後の決断は選手自身でやらなければいけないというのは前節で感じた。今日は難しい状況で、より選手たちが集中しなければいけない中で、全員がしっかり自分自身で決断できたと思う。
ーー意識していたことは
難しいのは分かっていたし、蹴り合いの中でどこかで落ち着かせる場面が必要だった。自分の上手さはこういう雨の中で出ると思っている。試合前にスタッフが水かきをしてくれて良いピッチになったので、あとは自分の技術を出すだけだった。
ーー次節の意気込み
(相手は)昇格組のEDOだが、僕たちにとって目の前の一試合であることに変わりはない。次もホーム。(今日も)これだけ多くのサポーターが来てくれて、色々なサポートがある。勝ち点3を届けるのは選手たちがやらなければいけないので、それに向けてまた良い準備をしたい。
BOSS'S INTERVIEWS - 試合後 監督インタビュー -
増嶋 竜也 / 監督
ーー意識していたことは
始まる前に水たまりが全体的にあったのでいつもの戦い方はできない、割り切った中でチャンスをものにしようという話をミーティングでしていた。選手はいつもの形ではない中でも力強く最後までやってくれたので、本当に勝ててよかった。
ーーハーフタイムの交代の意図は
前半に千真(渡邉)が一生懸命、最初のボールに対してアタックしてくれていた。後半もう少し動きが欲しいという中で、全体的なプッシュアップとサポートの質、前の推進力を上げることを図った。トキ(政森)は僕らの期待以上に流れを良くしてくれた。代わって入った選手が頑張ってくれた。
ーー次節に向けて
我々は勝ち続けなければいけないチームだし、勝って自信をつけていくと思う。今までなかなか勝てない試合が続いたが、今日みたいな試合ができれば間違いなく選手ももっとできると思うので、この勢いを無駄にしないように、2週間かけて次の試合に向けやっていきたい。