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KICK OFF | 

6:00

豊島区千早スポーツフィールド

SHIBUYA CITY FC

エリース豊島FC

2
0

2026シーズン 関東サッカーリーグ1部

2026年4月12日

GAME RESULT

ゴール

51

min

HIKARU ISHIGAMI

ゴール

67

min

GENYA HANDA

選手交代

75

min

TOKIHARU MASAMORI

YUTAKA ITO

IN

OFF

選手交代

75

min

YOSEI OZEKI

GENYA HANDA

IN

OFF

選手交代

87

min

MAO HAMANA

SHOI YOSHINAGA

IN

OFF

選手交代

87

min

RYOTARO MAEDA

HIKARU ISHIGAMI

IN

OFF

選手交代

87

min

KOKI GOTODA

HIROTO OKOSHI

IN

OFF

​STARTING XI

FW

YUTAKA ITO

99

GENYA HANDA

26

RYO UEMATSU

8

MF

HIKARU ISHIGAMI

66

KENYA HONDA

11

HIROTO OKOSHI

23

SHOI YOSHINAGA

36

DF

TOMOYA SUZUKI

12

ASAHI YAMADE

5

SHUSEI YAMAUCHI

30

GK

TAKUYA ATSUMI

1

GAME REPORT

SCFC ZINE


伝統と革新が激突するとき。深化した本能は解き放たれる


やはり、というべきか。「これが関東1部なのか」と言わざるを得なかった。望んでいた形ではなかった黒星スタートを切った渋谷にとって、明日の第2節・エリース豊島FC戦は、是が非でも勝ち点3を手繰り寄せたい一戦である。開幕戦の荒天を言い訳にするつもりはない。それでも、ここからが本領発揮だと言わんばかりに関東リーグ1部の舞台でその真価を示したい思いは、チームの総意としてあるだろう。


ディフェンディングチャンピオン・東京ユナイテッドFCと対戦したリーグ開幕戦。後半開始直後と試合終了間際に失点を喫し、0-2で敗れた。前半は攻守両面で球際の強さで上々の入りを見せた渋谷だったが、試合運びの巧みさ、そして勝負どころを仕留める完成度という点で相手に分があり、王者の風格をまざまざと突きつけられたゲームだった。


洗礼を存分に浴びたが、そのすべてを悲観する必要はない内容ではあったはず。むしろ前向きな材料として挙げたいのは、試合を通して自身に課された「タスク」を遂行しようと、終始ハードワークを貫いたFW伊藤雄教の存在である。


持ち味でもあるスペースでのボール保持、そして背後への抜け出しで相手にストレスを与えること。「始動日から毎日コツコツ、手を抜かずにやってきた」成果がその一端として表れ、先発の座を任されたことにも増嶋竜也監督からの期待の大きさが表れていたと言っていいだろう。



関東学院大学時代に叩き込まれた「雑草魂」を土台に、得点への嗅覚や球際でのガッツを発揮してきた。その伊藤を語るうえで見逃せないのが、そうした持ち前の資質だけではないことはここに記しておこう。彼にいま起きている変化は、自分のプレーをより細かく見つめ直しながら、自問自答を繰り返していること。言うなれば、進化というより「深化」の途上にあるということだ。


そのキーワードとなるのが、伊藤が何度も口にした「ポジショニング」について。今この瞬間もなお強く課題としているテーマであり、開幕戦の自己評価を「30、40点」と厳しく振り返ったのも、その問題意識が表れているからにほかならない。


「前線で体を張って相手に自由にクリアさせないことだったり、起点を何度か作れたことは自分の中での収穫でした。でも、収められたこともあったけど収め切れなかったことの方が多かった。シュートを打ち切れるようにプレーするというか、点を決められる『ポジショニング』をもっと増やさなければいけないと思いました」


課題の下地にあるのが、昨年のリーグ第2節・東京国際大学FC戦で負った左膝外側半月板損傷の大怪我と、それに伴う半年以上に及ぶ長い離脱期間だ。戦列を離れた時間があったからこそ、「ここに動いていれば、本当は動けたのか」と自分のプレーをより俯瞰して捉える視点が養われていった。


不幸中の幸いの中で得た気づきと自覚に拍車をかけているのが、日々の練習で三原雅俊コーチから口を酸っぱくして求められている「常にゴールを取れるポジショニングを取れ」という要求である。その言葉に押されるように、一度の動き出しはともかく、相手のセンターバックを困らせるように、何度も何度も背後へ入り直す。そうした執拗さは、以前より明らかに強まっている。


かつては「どこに立てばよかったのか、自分の試合勘がなくなってしまった」と悩む時期もあった。それでも今はそうした感覚のズレを忘れるほどに、本来の嗅覚を取り戻しつつある。身体だけでなく、頭も使いながらプレーすることは、当然ながら消耗も大きい。けれども、その負荷を繰り返し経験し、思考ごと身体になじませていければ、やがては無意識のレベルで最適なプレーを選び取れるようになる。伊藤が目指しているのは、まさにその領域である。


「やっぱり上にいけばいくほど、考えないと簡単にボールを受けれなかったり、潰されてしまう。上のカテゴリーに上がれば上がるほど、考えながらやらないとダメだと思いました」


感覚だけに頼らず、思考的にプレーできるようになった大学4年時以降、伊藤の思考は「年々」深みを増しているという。代名詞である「雑草魂」を形作る要素として、我々はこれらの側面を見落としてはならない。“思考のハードワーク”においても一切の妥協を排しているからこそ、伊藤雄教というFWに期待しないほうがおかしいだろう。



絶賛特訓中の伊藤の変化が、明日の一戦でどこまで形にできるかは見どころのひとつ。もっとも、そう簡単に事が運ばないのが関東リーグ1部の厳しさだ。


昨季はリーグ8位でシーズンを終えたエリースだが、今季は大幅なメンバー刷新と監督交代を経て、ずいぶんと様変わりした。今季から手腕を振るう小寺真人監督は、昨年まで九州リーグ・ヴェロスクロノス都農を4年間にわたって率い、全国地域サッカーチャンピオンズリーグ3位という結果を残した実力者だ。紙一重の悔しさを味わった教訓と、スペイン仕込みのエッセンスを持ち込み、これまでとは一風違うチームになっている。前節では東邦チタニウムを相手に0−4の大敗を喫しており、死に物狂いでの修正を施し、態勢を立て直してくるに違いない。


渋谷と同じく、ボールをつなぎながら前進し、攻守の切り替えを重視するエリースとの一戦は、ミラーゲームの様相を呈する。小寺監督は「ポゼッションしながら前進するスペース、味方を使って相手の守備をどんどんブレイクしてゴールに迫る」ことを志向しており、そのぶつかり合いは攻守両面で激しいせめぎ合いを生むはずだ。であれば、真っ向勝負で局面の強度とハードワークで上回るのは当然の任務であり、そのうえで個人のデュエルを制する姿勢もまた、前節から継続して示していきたい。


「マスさん(増嶋監督)のミーティングでも言っていましたけど、チームの輪から外れるやつは、こういう集団でやるチームだったらなおさら良くないと思うので、とにかく自分はチームの勢いを増すような動きをとにかくできればなと思っています。


(自分は)とにかく前に、背後にかける動き出しであったり、みんながアバウトにクリアした『これは収められないだろう』というボールを収めること。そういうのでチームに勢いって増すと思うので。守備面だったらとにかく前からアグレッシブに、もっと前線からプレスにいって相手の選択肢を制限させて、守備陣がボールを簡単に取れるようにできれば、チームがすごく勢いに乗るんじゃないかなと思います」



創立50周年以上を誇るエリースの伝統と、革新でその壁に迫ろうとする渋谷。互いに似たスタイルと、勝利を欲する切実さが激突するこの一戦で、最後にものを言うのは伊藤も口にした「勢い」だろう。


「去年一年間はほとんど何もしてないので、“去年一年分”と言ったらあれですけど、 結果以外にも声を出すところであったり、引っ張っていくところはやっていかないといけないです。あとは自分はFWなので、今年はとにかく点を取ることをやりたい。点のことしかもう頭にないので。去年はFWがなかなか点が取れなかったので、今年こそはFW陣が奮起して、絶対に点を量産したいなと思います」


昨季の第2節で苦杯をなめたチームにとっても、そして伊藤にとっても、明日はただならぬ意味を持つ戦いだ。研ぎ澄ますその深化を、今度は勝利という結果で示したい。




取材・文 :西元 舞

写真   :福冨 倖希

編集   :畑間 直英




GAME REPORT


関東サッカーリーグ1部第2節・エリース豊島FC戦。春らしい風が吹く千早スポーツフィールドで、両者開幕戦の黒星を塗り替えるべく、今季初の白星を懸けた一戦に臨んだ。


渋谷は先週の開幕戦から先発を変更し、キャプテンの土田直輝に代えて半田ゲンヤを投入。ベンチメンバーには政森宗治、眞方大輔が入り、前節と変化の少ない布陣で敵地に乗り込んだ。



高さを生かしながら最終ラインから丁寧につなぐエリースに対し、渋谷は前線から強度の高いプレスをかけて主導権を握りにいく。互いに似たスタイルの両者の攻防は、立ち上がりからミラーゲームを繰り広げた。相手がウイングバックの背後をシンプルに狙い前進を試みれば、渋谷は奪ったあとの前進で応戦した。


前半のうちに先手を取ろうと、渋谷は球際や1対1の局面で激しいバトルを制し、主導権争いで一歩も引かない。相手のサイドを使ったシンプルな攻撃にも落ち着いて対応した。サイドと中央を使い分けながらゴール前への侵入を試みたが、相手の5枚で構える堅い守備を崩し切るには至らない。2本のコーナーキックも獲得したものの、互いに決定機で明確な差をつくるまでには至らず、前半はスコアレスで折り返した。


試合が動いたのは後半6分。立ち上がりから前線で強烈なプレッシャーをかけ続けていた伊藤雄教が、背後に出たボールにいち早く反応してボールをつなぐ。そこにゴール前に走り込んだ植松亮が冷静に落とすと、最後は石上輝が押し込みゴール。開幕戦から攻守にわたってタクトを振るってきた石上が、シーズンチーム初の得点を記録した。前線からの圧力が、そのまま結果に結びついた、狙い通りの一撃だった。


アシストを記録した植松が、そのまま自らフィニッシュに持ち込むかと思われた場面だった。これに石上も「(植松)亮が打つかと思った」と驚きの表情を見せた。それでも、副キャプテンは一歩も足を止めなかった。


「(植松)亮がシュートを外す可能性もあるし、何かが起こりそうだなと思ったので、頑張ってペナルティーエリアまで走ったのが良かったなと思う。本当にふかさないことだけを意識して、あとは絶対に枠に打とうと思った」


「絶対に入る」と信じて振り抜いた一撃がネットを揺らすと、会場は待ち望んだ歓喜に包まれた。



さらに渋谷の攻撃はそれだけでは終わらない。後半22分、またしても起点となったのは、試合を通してハードワークを続けていた伊藤雄教だった。左サイドの吉永昇偉にボールを落とすと、吉永はファーサイドを駆け上がっていた半田ゲンヤへクロスを送る。半田が左足で振り抜いたシュートは相手GKに阻まれたものの、こぼれ球に素早く反応して自ら押し込み、貴重な追加点を奪った。前半から高い強度で攻守に関わり続けていた半田が、その働きを結果でも示し、リードを2点に広げた。


ゴールシーンについて半田は、「ワンチャンスは来るかなと思ったので、とりあえず気持ちでねじ込んだ」と安堵の表情を浮かべ、続けてこう振り返る。


「(吉永)昇偉からボールが来て、練習でも大外を狙う形はチームとしてやっていた。いつもだったらもう一個内側に入るが、おそらく大外にこっしー(大越寛人)が間に合っていないのかなと思って、感覚で少し外に流れながら入っていった。自分のマークを越えていたので、左足でとりあえずファーを狙った。でも思ったより相手がカバーに入ってきて『マジで?』と思ったけれど、うまく自分のところにこぼれてきたので、あとは思いっきり打った」



その後はエリースに押し込まれる時間もあったが、渋谷は最後まで集中を緩めない。後半30分には半田と伊藤を下げて小関陽星、政森宗治を投入し、終盤には濱名真央、後藤田亘輝、前田亮太朗もピッチへ。交代選手を含めて強度と運動量を保ち続け、試合の流れを渡さなかった。


後半アディショナルタイムには、相手CKから一気にカウンターを仕掛け、小関がフィニッシュまで持ち込んだが、シュートはGK正面を突く。それでも相手の反撃をゼロに抑え込み、そのまま2−0で試合終了。前半の拮抗した展開を耐え抜き、後半は前線の守備と鋭い切り替えを得点へと結びつけた渋谷が、今季初勝利をクリーンシートでつかみ取った。


しかし、試合後に石上が見据えていたのは、勝利の先にあるさらなる完成度だった。


「欲を言えば、前半のうちに先制点を取りたかった。チャンスはあったので、そこで決めていればもっと楽に試合を運べたと思う。シュートを打てる場面ではもっとシンプルに足を振ってゴールを狙うこと。あとは、クロスを上げられるタイミングでどんどん上げていくこと。その回数を増やすほうが相手は嫌だと思う。チャンスがあるのにシュートを打てなかったり、クロスを上げられなかったりするシーンが結構多かったので、そこは増やしていくことが大事。それは中のFWとの共通認識だと思うので、練習でもっと突き詰めていくしかない」


次節は1週間後、アミノバイタルフィールドで東京23FCとの一戦に臨む。石上は勝利への執着をこう口にした。


「これだけ人生も時間もかけているので、何よりも勝たないといけないし、勝つことに貪欲になること(を大事にしたい)。マスさん(増嶋竜也監督)がいつも言っているけれど、絶対に勝つ気持ちだけを試合で表現したい」


今シーズン初のホームゲームで、渋谷は自分たちの試合をつくり出せるか。注目の一戦は、来週18日(土)14時に繰り広げられる。



SCFC ZINE


伝統と革新が激突するとき。深化した本能は解き放たれる


やはり、というべきか。「これが関東1部なのか」と言わざるを得なかった。望んでいた形ではなかった黒星スタートを切った渋谷にとって、明日の第2節・エリース豊島FC戦は、是が非でも勝ち点3を手繰り寄せたい一戦である。開幕戦の荒天を言い訳にするつもりはない。それでも、ここからが本領発揮だと言わんばかりに関東リーグ1部の舞台でその真価を示したい思いは、チームの総意としてあるだろう。


ディフェンディングチャンピオン・東京ユナイテッドFCと対戦したリーグ開幕戦。後半開始直後と試合終了間際に失点を喫し、0-2で敗れた。前半は攻守両面で球際の強さで上々の入りを見せた渋谷だったが、試合運びの巧みさ、そして勝負どころを仕留める完成度という点で相手に分があり、王者の風格をまざまざと突きつけられたゲームだった。


洗礼を存分に浴びたが、そのすべてを悲観する必要はない内容ではあったはず。むしろ前向きな材料として挙げたいのは、試合を通して自身に課された「タスク」を遂行しようと、終始ハードワークを貫いたFW伊藤雄教の存在である。


持ち味でもあるスペースでのボール保持、そして背後への抜け出しで相手にストレスを与えること。「始動日から毎日コツコツ、手を抜かずにやってきた」成果がその一端として表れ、先発の座を任されたことにも増嶋竜也監督からの期待の大きさが表れていたと言っていいだろう。



関東学院大学時代に叩き込まれた「雑草魂」を土台に、得点への嗅覚や球際でのガッツを発揮してきた。その伊藤を語るうえで見逃せないのが、そうした持ち前の資質だけではないことはここに記しておこう。彼にいま起きている変化は、自分のプレーをより細かく見つめ直しながら、自問自答を繰り返していること。言うなれば、進化というより「深化」の途上にあるということだ。


そのキーワードとなるのが、伊藤が何度も口にした「ポジショニング」について。今この瞬間もなお強く課題としているテーマであり、開幕戦の自己評価を「30、40点」と厳しく振り返ったのも、その問題意識が表れているからにほかならない。


「前線で体を張って相手に自由にクリアさせないことだったり、起点を何度か作れたことは自分の中での収穫でした。でも、収められたこともあったけど収め切れなかったことの方が多かった。シュートを打ち切れるようにプレーするというか、点を決められる『ポジショニング』をもっと増やさなければいけないと思いました」


課題の下地にあるのが、昨年のリーグ第2節・東京国際大学FC戦で負った左膝外側半月板損傷の大怪我と、それに伴う半年以上に及ぶ長い離脱期間だ。戦列を離れた時間があったからこそ、「ここに動いていれば、本当は動けたのか」と自分のプレーをより俯瞰して捉える視点が養われていった。


不幸中の幸いの中で得た気づきと自覚に拍車をかけているのが、日々の練習で三原雅俊コーチから口を酸っぱくして求められている「常にゴールを取れるポジショニングを取れ」という要求である。その言葉に押されるように、一度の動き出しはともかく、相手のセンターバックを困らせるように、何度も何度も背後へ入り直す。そうした執拗さは、以前より明らかに強まっている。


かつては「どこに立てばよかったのか、自分の試合勘がなくなってしまった」と悩む時期もあった。それでも今はそうした感覚のズレを忘れるほどに、本来の嗅覚を取り戻しつつある。身体だけでなく、頭も使いながらプレーすることは、当然ながら消耗も大きい。けれども、その負荷を繰り返し経験し、思考ごと身体になじませていければ、やがては無意識のレベルで最適なプレーを選び取れるようになる。伊藤が目指しているのは、まさにその領域である。


「やっぱり上にいけばいくほど、考えないと簡単にボールを受けれなかったり、潰されてしまう。上のカテゴリーに上がれば上がるほど、考えながらやらないとダメだと思いました」


感覚だけに頼らず、思考的にプレーできるようになった大学4年時以降、伊藤の思考は「年々」深みを増しているという。代名詞である「雑草魂」を形作る要素として、我々はこれらの側面を見落としてはならない。“思考のハードワーク”においても一切の妥協を排しているからこそ、伊藤雄教というFWに期待しないほうがおかしいだろう。



絶賛特訓中の伊藤の変化が、明日の一戦でどこまで形にできるかは見どころのひとつ。もっとも、そう簡単に事が運ばないのが関東リーグ1部の厳しさだ。


昨季はリーグ8位でシーズンを終えたエリースだが、今季は大幅なメンバー刷新と監督交代を経て、ずいぶんと様変わりした。今季から手腕を振るう小寺真人監督は、昨年まで九州リーグ・ヴェロスクロノス都農を4年間にわたって率い、全国地域サッカーチャンピオンズリーグ3位という結果を残した実力者だ。紙一重の悔しさを味わった教訓と、スペイン仕込みのエッセンスを持ち込み、これまでとは一風違うチームになっている。前節では東邦チタニウムを相手に0−4の大敗を喫しており、死に物狂いでの修正を施し、態勢を立て直してくるに違いない。


渋谷と同じく、ボールをつなぎながら前進し、攻守の切り替えを重視するエリースとの一戦は、ミラーゲームの様相を呈する。小寺監督は「ポゼッションしながら前進するスペース、味方を使って相手の守備をどんどんブレイクしてゴールに迫る」ことを志向しており、そのぶつかり合いは攻守両面で激しいせめぎ合いを生むはずだ。であれば、真っ向勝負で局面の強度とハードワークで上回るのは当然の任務であり、そのうえで個人のデュエルを制する姿勢もまた、前節から継続して示していきたい。


「マスさん(増嶋監督)のミーティングでも言っていましたけど、チームの輪から外れるやつは、こういう集団でやるチームだったらなおさら良くないと思うので、とにかく自分はチームの勢いを増すような動きをとにかくできればなと思っています。


(自分は)とにかく前に、背後にかける動き出しであったり、みんながアバウトにクリアした『これは収められないだろう』というボールを収めること。そういうのでチームに勢いって増すと思うので。守備面だったらとにかく前からアグレッシブに、もっと前線からプレスにいって相手の選択肢を制限させて、守備陣がボールを簡単に取れるようにできれば、チームがすごく勢いに乗るんじゃないかなと思います」



創立50周年以上を誇るエリースの伝統と、革新でその壁に迫ろうとする渋谷。互いに似たスタイルと、勝利を欲する切実さが激突するこの一戦で、最後にものを言うのは伊藤も口にした「勢い」だろう。


「去年一年間はほとんど何もしてないので、“去年一年分”と言ったらあれですけど、 結果以外にも声を出すところであったり、引っ張っていくところはやっていかないといけないです。あとは自分はFWなので、今年はとにかく点を取ることをやりたい。点のことしかもう頭にないので。去年はFWがなかなか点が取れなかったので、今年こそはFW陣が奮起して、絶対に点を量産したいなと思います」


昨季の第2節で苦杯をなめたチームにとっても、そして伊藤にとっても、明日はただならぬ意味を持つ戦いだ。研ぎ澄ますその深化を、今度は勝利という結果で示したい。




取材・文 :西元 舞

写真   :福冨 倖希

編集   :畑間 直英




GAME REPORT


関東サッカーリーグ1部第2節・エリース豊島FC戦。春らしい風が吹く千早スポーツフィールドで、両者開幕戦の黒星を塗り替えるべく、今季初の白星を懸けた一戦に臨んだ。


渋谷は先週の開幕戦から先発を変更し、キャプテンの土田直輝に代えて半田ゲンヤを投入。ベンチメンバーには政森宗治、眞方大輔が入り、前節と変化の少ない布陣で敵地に乗り込んだ。



高さを生かしながら最終ラインから丁寧につなぐエリースに対し、渋谷は前線から強度の高いプレスをかけて主導権を握りにいく。互いに似たスタイルの両者の攻防は、立ち上がりからミラーゲームを繰り広げた。相手がウイングバックの背後をシンプルに狙い前進を試みれば、渋谷は奪ったあとの前進で応戦した。


前半のうちに先手を取ろうと、渋谷は球際や1対1の局面で激しいバトルを制し、主導権争いで一歩も引かない。相手のサイドを使ったシンプルな攻撃にも落ち着いて対応した。サイドと中央を使い分けながらゴール前への侵入を試みたが、相手の5枚で構える堅い守備を崩し切るには至らない。2本のコーナーキックも獲得したものの、互いに決定機で明確な差をつくるまでには至らず、前半はスコアレスで折り返した。


試合が動いたのは後半6分。立ち上がりから前線で強烈なプレッシャーをかけ続けていた伊藤雄教が、背後に出たボールにいち早く反応してボールをつなぐ。そこにゴール前に走り込んだ植松亮が冷静に落とすと、最後は石上輝が押し込みゴール。開幕戦から攻守にわたってタクトを振るってきた石上が、シーズンチーム初の得点を記録した。前線からの圧力が、そのまま結果に結びついた、狙い通りの一撃だった。


アシストを記録した植松が、そのまま自らフィニッシュに持ち込むかと思われた場面だった。これに石上も「(植松)亮が打つかと思った」と驚きの表情を見せた。それでも、副キャプテンは一歩も足を止めなかった。


「(植松)亮がシュートを外す可能性もあるし、何かが起こりそうだなと思ったので、頑張ってペナルティーエリアまで走ったのが良かったなと思う。本当にふかさないことだけを意識して、あとは絶対に枠に打とうと思った」


「絶対に入る」と信じて振り抜いた一撃がネットを揺らすと、会場は待ち望んだ歓喜に包まれた。



さらに渋谷の攻撃はそれだけでは終わらない。後半22分、またしても起点となったのは、試合を通してハードワークを続けていた伊藤雄教だった。左サイドの吉永昇偉にボールを落とすと、吉永はファーサイドを駆け上がっていた半田ゲンヤへクロスを送る。半田が左足で振り抜いたシュートは相手GKに阻まれたものの、こぼれ球に素早く反応して自ら押し込み、貴重な追加点を奪った。前半から高い強度で攻守に関わり続けていた半田が、その働きを結果でも示し、リードを2点に広げた。


ゴールシーンについて半田は、「ワンチャンスは来るかなと思ったので、とりあえず気持ちでねじ込んだ」と安堵の表情を浮かべ、続けてこう振り返る。


「(吉永)昇偉からボールが来て、練習でも大外を狙う形はチームとしてやっていた。いつもだったらもう一個内側に入るが、おそらく大外にこっしー(大越寛人)が間に合っていないのかなと思って、感覚で少し外に流れながら入っていった。自分のマークを越えていたので、左足でとりあえずファーを狙った。でも思ったより相手がカバーに入ってきて『マジで?』と思ったけれど、うまく自分のところにこぼれてきたので、あとは思いっきり打った」



その後はエリースに押し込まれる時間もあったが、渋谷は最後まで集中を緩めない。後半30分には半田と伊藤を下げて小関陽星、政森宗治を投入し、終盤には濱名真央、後藤田亘輝、前田亮太朗もピッチへ。交代選手を含めて強度と運動量を保ち続け、試合の流れを渡さなかった。


後半アディショナルタイムには、相手CKから一気にカウンターを仕掛け、小関がフィニッシュまで持ち込んだが、シュートはGK正面を突く。それでも相手の反撃をゼロに抑え込み、そのまま2−0で試合終了。前半の拮抗した展開を耐え抜き、後半は前線の守備と鋭い切り替えを得点へと結びつけた渋谷が、今季初勝利をクリーンシートでつかみ取った。


しかし、試合後に石上が見据えていたのは、勝利の先にあるさらなる完成度だった。


「欲を言えば、前半のうちに先制点を取りたかった。チャンスはあったので、そこで決めていればもっと楽に試合を運べたと思う。シュートを打てる場面ではもっとシンプルに足を振ってゴールを狙うこと。あとは、クロスを上げられるタイミングでどんどん上げていくこと。その回数を増やすほうが相手は嫌だと思う。チャンスがあるのにシュートを打てなかったり、クロスを上げられなかったりするシーンが結構多かったので、そこは増やしていくことが大事。それは中のFWとの共通認識だと思うので、練習でもっと突き詰めていくしかない」


次節は1週間後、アミノバイタルフィールドで東京23FCとの一戦に臨む。石上は勝利への執着をこう口にした。


「これだけ人生も時間もかけているので、何よりも勝たないといけないし、勝つことに貪欲になること(を大事にしたい)。マスさん(増嶋竜也監督)がいつも言っているけれど、絶対に勝つ気持ちだけを試合で表現したい」


今シーズン初のホームゲームで、渋谷は自分たちの試合をつくり出せるか。注目の一戦は、来週18日(土)14時に繰り広げられる。



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