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KICK OFF | 

5:00

流通経済大学サッカー場

SHIBUYA CITY FC

流通経済大学ドラゴンズ龍ケ崎

6
0

2026シーズン 関東サッカーリーグ1部

2026年5月2日

GAME RESULT

ゴール

42

min

ゴール

59

min

GENYA HANDA

選手交代

64

min

YUTAKA ITO

SHOI YOSHINAGA

IN

OFF

選手交代

64

min

YOSEI OZEKI

GENYA HANDA

IN

OFF

選手交代

74

min

KOKI GOTODA

HIROTO OKOSHI

IN

OFF

選手交代

74

min

MAO HAMANA

MIZUKI MIYAGAWA

IN

OFF

ゴール

84

min

YUTAKA ITO

選手交代

86

min

ICHITA HANYA

HIKARU ISHIGAMI

IN

OFF

ゴール

91

min

KOKI GOTODA

ゴール

92

min

ICHITA HANYA

ゴール

94

min

YOSEI OZEKI

​STARTING XI

FW

GENYA HANDA

26

RYO UEMATSU

8

SHOI YOSHINAGA

36

MF

HIKARU ISHIGAMI

66

KOKI GOTODA

37

KENYA HONDA

11

MIZUKI MIYAGAWA

10

DF

ASAHI YAMADE

5

SHUSEI YAMAUCHI

30

YUI SHIKIDA

15

GK

TAKUYA ATSUMI

1

GAME REPORT

SCFC ZINE


冷静に構え、大胆に潰す。背番号30が導く、完封勝利への道筋


“良い”調子の乗らせ方をしてしまえば、1点、また1点と、気づけば飲み込まれてしまう。大学生を相手にする怖さは、そこにある。前節の東京23FC戦では、相手の蹴り合うサッカーに付き合わされたように、明日の流通経済大学ドラゴンズ龍ケ崎戦でも、相手の勢いに付き合いすぎてしまえば、自分たちのリズムを崩す可能性は十分にある。崩れた試合の中で、本来の強みを出し切るのは簡単ではない。


現在2試合連続でクリーンシートを記録している渋谷。黒星を喫した開幕戦の失点はセットプレーとPKからで、流れの中から崩された場面は多くない。チームとしての守備が機能しているとみた。だが、本当にそう言い切れるのか。


先週末、某大学とのトレーニングマッチに臨んだ渋谷は1−3で敗戦。公式戦とは状況もメンバーも異なるとはいえ、明日の相手も大学生。昨年の全社(全国社会人サッカー大会)予選で流経大ドラゴンズに0−3で敗れた記憶がある以上、過去を持ち込む必要はないが、かといってこれは見過ごせる結果ではない。


良い攻撃は良い守備があってこそ。いかに「自発的に」自分たちのサッカーを展開し、良さを存分に発揮するかは、DF山内舟征が模索していること。耐える展開にしても、攻勢に出る時間であったとしても、彼は明日もキーマンの一人になるであろう。


「去年の渋谷は失点が一番少ないチーム。そういうアイデンティティを受け継いでやっていきたい」



今季、JFL所属のいわてグルージャ盛岡から加入した背番号30は、開幕から3試合連続でフル出場を果たしている。2週間のインターバルを経て、メンバー編成に変化が予想される中でも、不動の存在だと言っていい。プレシーズンでの練習試合でも一度も先発の座を譲ることはなく、よほどのことがない限り、しばらくはこの定位置は揺らぐことはなさそうだ。


増嶋竜也監督からの信頼も得ていることについても、「それは薄々感じている」と自覚済み。出場機会に恵まれなかった昨年までと比べて、周囲からの「見られ方」も変化し、日を追うごとに自ずとコンディションが上がっているという自負がある。信頼に甘えている様子はなさそうだ。


183cmとフィールドプレーヤーではチーム随一の高さを誇りながら、スピードにも優れる。的確なカバーリングを見せるだけではなく、ボールを持てば前線の2シャドーへ突き刺すパスを送り込み、一気に攻撃のギアを上げる起点にもなっている。時には「そこに出すのか」と目を見張るような大胆なパスを通す場面もあり、パスミスからのカウンターを浴びるリスクを承知のうえで、局面を打開するための一本を狙い続ける。


「自分発信でビルドアップができるような流れにするところは、自信を持って積極的にやっている」


高い身体能力と技術は言わずもがな、試合を通してみても焦りの色を見せない点も魅力である。精神的にもタフであり、そうした評価に対してもキョトンとした顔で「どうなんやろ?そう見えてんなら、それでええんちゃう」と笑っていた。「(ミスをした時は)『あ、やべ』って思うけど、それはしゃあないし、『もう全員でカバーしてくれ』って感じやな。それがいいか悪いかは知らんけど」と割り切るメンタリティと浮き沈みの少なさは、守備陣としての資質を感じさせる部分がある。



CBの中央という、渋谷に加入するまでは馴染みの薄かった「ど真ん中」のポジション。高校1年時まではFWとして「犬のように追いかけ回り」、CBにコンバートしてからは右の位置でプレーすることが多かっただけに、少しばかりの新鮮さを感じつつも「責任を持ってやっている」と気を引き締める。


「フィールドで最後にカバーするのは、俺がいれば最悪防げるし、自分が集中して守れたらより失点する可能性も低くなると思う」


最後尾で構える者としての自覚は十分だ。ただ、山内にしろ、他の守備陣にしろ、明日を迎えるにあたってあらためて確認したのは、相手の中盤をどこで受け止め、どこで潰すかという課題である。東京23FC戦でも上述の練習試合でも、ボランチの脇に潜り込んできた相手に対して、CBがアタックしきれないシーンが多かった。相手の攻撃の芽を摘むためには、前段階のポジショニングが欠かせない。全員が連動してスライドし、必要であればCBの1枚が相手の攻撃の芽を摘む意識を徹底している。


「そこは勇気を出して、怖がらずに出る。俺が出れば横2枚がカバーに入るし、逆にCBの右左が出た時には、しっかりカバー入ることがちゃんとできているから、そこはあまり心配はいらんかな」


心配がいらないのであれば、明日は改善の成果が表れるはず。無難な安定を求めるのではなく、いかにゴール前へつながるチャンスを創り出すか。守備の一歩がゴール前へ向かう一歩になり、「メンバーが変わったとしても、CBには前で潰せる人が多い。そこのカバーは俺がするから、誰が出てもやれる」と仲間への信頼と自己の役割を明確に口にする。



勝ち点1を「3」に変えられるかどうかは、最後の局面にかかっている。一歩への意欲は良いだけに得点に結びついていない現状は気がかりであり、山内もそこを懸念している。


「シンプルにシュートをもっと打つとか、『点を取ってくれ』って思ってるから。公式戦でリスクを考えて『ちょっと怖いな』って思う節もあると思うし、俺がやりたいと思っても、周りが『蹴っていいんじゃね?』って思っていたらつなぐ意味がない。やっぱりそこはもっと、全員がビルドアップをやる意識を持ちながらやらなあかん」


兎にも角にも泥臭く前へ仕掛け、ゴール前で振り切ること。そしてチーム全員で同じ絵を持つこと。試合中にもボランチの本田憲弥と「もう少しボールを持ちたい」と言葉を交わす場面もあったそうで、無理につながなくとも、「立ち上がりの10分までははっきり蹴って、どんどんやっていい」と現状の物足りなさに拍車をかける。


加えて、ポケットへ侵入しCKを獲得するのも一つの形だ。前節の東京23FC戦では、相手のCKが1本だったのに対し、渋谷は9本を得ながら無得点に終わった事実は痛く、先週の練習後には増嶋監督が「“渋谷といえばセットプレーだよね”と言われるチームに」と選手たちに強く促していた。もちろん毎週の如くその練習はメニューの中に組み込まれているが、なかなか勝負の場で結果として表れていない。


「判断の迷いというよりかは、(ボールが)来たところにちゃんと人が入れてて、その上でそいつが外したならそいつの責任やし、ボールが来ないならキッカーの責任。そこはもうお互いが精度上げるしかない。キッカーが中にしっかり入れて、中の選手がしっかり決めきる。全員が質を上げてやるしかない。


やっぱり前日練習の雰囲気も試合に影響してくるし、前日練習でポンポン失点してるようじゃ、本番なんかもっと殺気ついて相手が攻めてくる。だから、しっかり練習から試合だと思ってやらなあかん」


練習で再現できないものが、本番で突然生まれるはずもない。いかに質の高いプレーを、再現性を持ってできるか。精度の高いボールを供給できるプレースキッカーが揃っているだけに、あとはゴール前のもうひと押しであろう。



どんな形であれ、明日の流経大戦で求めるのは「勝利」の二文字。あわよくば、セットプレーからの得点が理想的であり、かつ確実に無失点で締めくくることができれば、その次に控える南葛SC戦でも堂々たるプレーをできるはずだ。


前節、東邦チタニウムを相手に0−4の大敗を喫した流経大ドラゴンズ。試合勘はまずまずといったところだが、結果はどうあれ良い選手、質の高い選手は揃っているはず。相手をいなしつつも、受け手に回るのではなく強度をもう一段階上げること。そして山内の言う「ガッと1発目で潰しに行って、勢いを消すぐらいの守備」で完封勝利を収めたい。ここで勝ちきることができなければ、その先に待ち構える強豪数多には到底及ばないだろう。


「変わらずカバーや潰しに行くところはやるし、相手が大学生やと、余計に冷静にやりたいなとは思う。アツアツになって変なところでファウルするのはいらんし。そうなる選手もいると思うから、冷静にやりながらそこはコントロールしたい。チームの士気的なところは(山出)旭くんとかが勝手にやってくれると思うから、『任せます』って感じ笑」


最後の一言は彼らしい割り切りであり、信頼の証でもある。余計な力みを削ぎ落とし、自らの任務にフォーカスする。かつ、それを高いパフォーマンスで完遂してみせる。それだけの自信はある。


「もちろん俺も士気を高めてやっていくけど、チーム全体を鼓舞して『点を取り行こう』とか『守るぞ』と言った声かけは(他の選手が)率先してやってくれると思うから、そこに乗りつつ、冷静に後ろでどっしり構えてやりたい」


「ほんま、天職やと思うわ」と胸を張って誇るポジションで、明日のゲームでも、状況を俯瞰する冷静さと、均衡を破る大胆さを同居させたプレーを披露してくれるに違いない。すでにチームには欠かせない地位を築きつつあるが、日に日に増す信頼をさらに強固なものにしてみせる。




取材・文 :西元 舞

写真   :福冨 倖希

編集   :畑間 直英



GAME REPORT


勝ち星を取り戻したい渋谷と、今季初勝利を狙う流通経済大学ドラゴンズ龍ケ崎が対戦した関東サッカーリーグ第4節。前日の雨模様から一転、会場は夏を思わせる陽気に包まれた。


渋谷は前節から先発を2名変更。左CBには鈴木友也に代わって敷田唯が入り、左ウイングには宮川瑞希を起用。ともに今季初スタメンを飾った。最前線には吉永昇偉がスライドし、2週間のインターバルを経て、変化を加えた布陣で臨んだ。



立ち上がりから2度のCKのチャンスを獲得した渋谷。いずれも相手にクリアされたものの、開始直後から敵陣でプレーする時間を作り、幸先の良い入りを見せた。


相手に攻撃を仕掛けられる場面でも、ディフェンスラインが落ち着いて対応。大学生特有の勢いに飲まれることなく、球際でも優位に立ち、終始マイボールの展開へ持ち込んでいく。


その中で存在感を放ったのが、今季初先発となった宮川。開幕から3試合は出場機会は限られていたが、その鬱憤を晴らすかのように、持ち味であるドリブルで左サイドからチャンスを創出。縦への仕掛けだけではなく、後半には自らシュートを狙う場面が目立ち、ゴールへの意欲を見せた。



その宮川のプレーが先制点を呼び込む。前半42分、左サイドでボールを受けた宮川がゴール前へクロスを送り込む。ファーサイドにいた吉永が合わせにいったが、その動きに反応した相手DFのヘディングが、そのままゴールへ。前半終盤に貴重な先制点を手にし、試合を優位に進める形で折り返した。


後半の立ち上がりは、攻撃のギアを上げた流経大ドラゴンズがサイドへ展開し、渋谷の守備を揺さぶりにかかる。57分には左サイドからの速いクロスを起点にミドルシュートを浴びる場面も。それでも渋谷は局面で粘り強く対応し、流れを渡さない。


すると59分、渋谷が追加点を奪う。裏に入ったボールを吉永が収め、フリーの位置にいた植松亮がシュートまで持ち込む。そのこぼれ球に素早く詰めた半田ゲンヤが押し込み、今季2得点目を挙げた。


2点差となってからも、渋谷は5枚の交代カードを切りながら前線の強度を保ち、相手の背後を狙い続ける。84分には、後藤田亘輝のスローインから伊藤雄教が背後へ抜け出し、数的不利の状況でも冷静に流し込み3点目。前線からの献身性でチームに貢献してきた末の、待望の今季初ゴールを挙げた。



アディショナルタイムは5分。ここから渋谷の怒涛の攻撃は止まらず、91分に後藤田亘輝、92分に半谷一太、そして極め付けは小関陽星が試合終了間際にネットを揺らした。終盤の3得点はいずれも今季初ゴール。途中出場の選手たちが存在感をアピールし、チームの総合力を示し、6−0の大勝を挙げた。


相手の応援団も多く駆けつけた完全なアウェイの地でつかんだ勝利。その中で、試合後にひときわ喜びを見せていたのが、5点目を挙げた半谷一太だった。


後半アディショナルタイム2分、PKを獲得した小関陽星。自ら蹴ると思わせたが、キッカーを務めたのは流経大出身の半谷。振り抜いた一撃はGKに反応されるも、古巣のゴールに吸い込まれた。ネットが揺れると、勢いそのままにスライディングで喜びを爆発させた。


「(小関からは)『ハン、行け』って言われて、『あ、いいんすか?じゃあ』って。いただきます、ということで決められるところは決められたのでよかったです」と安堵の表情で振り返った。



相手応援団からの「愛あるブーイング」を掻き消すかの如く、古巣のゴール前でも遠慮はなかった。メンバー発表で自身の名前を見つけた前日の夜の時点で、気持ちは高まっていたという。


「流経大ドラゴンズには、自分が大学2年と3年のときに所属していました。田中信也監督にもすごくお世話になったので、成長した姿を見せたいと考えていたし、いつもご飯を食べていた元チームメイトと試合ができるワクワク感もあったので、すごく楽しみでした。(交代時に)名前を呼ばれた時は、シンプルに嬉しかったです」


86分に、ゲームキャプテンの石上輝に代わってピッチへ向かったが、その初出場は思わぬ形で始まる。石上がピッチを出る前に入ってしまい、交代の不備でイエローカード。渋谷での公式戦初出場は、いきなり警告を受けるスタートとなった。


「初出場ということもあって普通に緊張もして、飛び出たらピッチの真ん中でハイタッチしてて『違和感あるな?』と思ったら試合が止まっていました。ずっと今日に懸ける思いがあって、『早く出たい』っていう気持ちが昂りすぎて、足を踏み入れていました」


ただ、そのアクシデントがかえって緊張をほぐし、「それで逆にリラックスできたし、ベンチにいた先輩たちからも『大丈夫、気にすんな』って言ってもらえました」と笑顔を見せた。


開幕から3試合は出場なし。熾烈なポジション争いに食い込めず歯痒い時期を過ごしたが、「いつかチャンスは来る」と自分を信じ、日々のトレーニングに向き合ってきた。その積み重ねが、古巣相手の今季初出場、そして初ゴールという形で報われた。


流経大の田中監督とも言葉を交わしたそうで、「『お前、昨日のTikTok見たよ』って言われました」と恩師とのやり取りを明かし、再び笑顔を見せた。


「日々の練習だけが僕のできることだったので、それが結果としてゴールにつながった。まだ始まったばかりだけれど、これを機にもっと点も決めて試合に絡めるように頑張ります」



次戦は2週間後の第5節・南葛SC戦。リーグ屈指の強豪との一戦を前に、まずはチーム内の競争を勝ち抜くことが求められる。この一戦で結果を残した半谷にとっても、この1点を次につなげられるかが問われる。


「南葛SCは誰もが思っていると思いますけど、強いチーム。パスサッカーというところで、個の戦いが勝負になると思っています。そこで絶対に負けないように、チームのために貢献できるようにハードワークして、最後は笑って終われるように頑張ります」


出場機会を待つだけではなく、与えられた時間で結果を残す。半谷の今季初ゴールは、大勝の終盤を彩る1点であると同時に、次のメンバー争いへ向けたアピールにもなった。


結果だけを見れば申し分ないが、この勝利を一過性のものにしてはいけない。先発に入った選手が流れを作り、途中出場の選手が試合を決め切ったことは、チーム全体にとって大きな収穫だ。今節で得た自信と、まだ伸ばせる余地をどこまでチームの力に変えられるか。渋谷の成長曲線に期待がかかる。



SCFC ZINE


冷静に構え、大胆に潰す。背番号30が導く、完封勝利への道筋


“良い”調子の乗らせ方をしてしまえば、1点、また1点と、気づけば飲み込まれてしまう。大学生を相手にする怖さは、そこにある。前節の東京23FC戦では、相手の蹴り合うサッカーに付き合わされたように、明日の流通経済大学ドラゴンズ龍ケ崎戦でも、相手の勢いに付き合いすぎてしまえば、自分たちのリズムを崩す可能性は十分にある。崩れた試合の中で、本来の強みを出し切るのは簡単ではない。


現在2試合連続でクリーンシートを記録している渋谷。黒星を喫した開幕戦の失点はセットプレーとPKからで、流れの中から崩された場面は多くない。チームとしての守備が機能しているとみた。だが、本当にそう言い切れるのか。


先週末、某大学とのトレーニングマッチに臨んだ渋谷は1−3で敗戦。公式戦とは状況もメンバーも異なるとはいえ、明日の相手も大学生。昨年の全社(全国社会人サッカー大会)予選で流経大ドラゴンズに0−3で敗れた記憶がある以上、過去を持ち込む必要はないが、かといってこれは見過ごせる結果ではない。


良い攻撃は良い守備があってこそ。いかに「自発的に」自分たちのサッカーを展開し、良さを存分に発揮するかは、DF山内舟征が模索していること。耐える展開にしても、攻勢に出る時間であったとしても、彼は明日もキーマンの一人になるであろう。


「去年の渋谷は失点が一番少ないチーム。そういうアイデンティティを受け継いでやっていきたい」



今季、JFL所属のいわてグルージャ盛岡から加入した背番号30は、開幕から3試合連続でフル出場を果たしている。2週間のインターバルを経て、メンバー編成に変化が予想される中でも、不動の存在だと言っていい。プレシーズンでの練習試合でも一度も先発の座を譲ることはなく、よほどのことがない限り、しばらくはこの定位置は揺らぐことはなさそうだ。


増嶋竜也監督からの信頼も得ていることについても、「それは薄々感じている」と自覚済み。出場機会に恵まれなかった昨年までと比べて、周囲からの「見られ方」も変化し、日を追うごとに自ずとコンディションが上がっているという自負がある。信頼に甘えている様子はなさそうだ。


183cmとフィールドプレーヤーではチーム随一の高さを誇りながら、スピードにも優れる。的確なカバーリングを見せるだけではなく、ボールを持てば前線の2シャドーへ突き刺すパスを送り込み、一気に攻撃のギアを上げる起点にもなっている。時には「そこに出すのか」と目を見張るような大胆なパスを通す場面もあり、パスミスからのカウンターを浴びるリスクを承知のうえで、局面を打開するための一本を狙い続ける。


「自分発信でビルドアップができるような流れにするところは、自信を持って積極的にやっている」


高い身体能力と技術は言わずもがな、試合を通してみても焦りの色を見せない点も魅力である。精神的にもタフであり、そうした評価に対してもキョトンとした顔で「どうなんやろ?そう見えてんなら、それでええんちゃう」と笑っていた。「(ミスをした時は)『あ、やべ』って思うけど、それはしゃあないし、『もう全員でカバーしてくれ』って感じやな。それがいいか悪いかは知らんけど」と割り切るメンタリティと浮き沈みの少なさは、守備陣としての資質を感じさせる部分がある。



CBの中央という、渋谷に加入するまでは馴染みの薄かった「ど真ん中」のポジション。高校1年時まではFWとして「犬のように追いかけ回り」、CBにコンバートしてからは右の位置でプレーすることが多かっただけに、少しばかりの新鮮さを感じつつも「責任を持ってやっている」と気を引き締める。


「フィールドで最後にカバーするのは、俺がいれば最悪防げるし、自分が集中して守れたらより失点する可能性も低くなると思う」


最後尾で構える者としての自覚は十分だ。ただ、山内にしろ、他の守備陣にしろ、明日を迎えるにあたってあらためて確認したのは、相手の中盤をどこで受け止め、どこで潰すかという課題である。東京23FC戦でも上述の練習試合でも、ボランチの脇に潜り込んできた相手に対して、CBがアタックしきれないシーンが多かった。相手の攻撃の芽を摘むためには、前段階のポジショニングが欠かせない。全員が連動してスライドし、必要であればCBの1枚が相手の攻撃の芽を摘む意識を徹底している。


「そこは勇気を出して、怖がらずに出る。俺が出れば横2枚がカバーに入るし、逆にCBの右左が出た時には、しっかりカバー入ることがちゃんとできているから、そこはあまり心配はいらんかな」


心配がいらないのであれば、明日は改善の成果が表れるはず。無難な安定を求めるのではなく、いかにゴール前へつながるチャンスを創り出すか。守備の一歩がゴール前へ向かう一歩になり、「メンバーが変わったとしても、CBには前で潰せる人が多い。そこのカバーは俺がするから、誰が出てもやれる」と仲間への信頼と自己の役割を明確に口にする。



勝ち点1を「3」に変えられるかどうかは、最後の局面にかかっている。一歩への意欲は良いだけに得点に結びついていない現状は気がかりであり、山内もそこを懸念している。


「シンプルにシュートをもっと打つとか、『点を取ってくれ』って思ってるから。公式戦でリスクを考えて『ちょっと怖いな』って思う節もあると思うし、俺がやりたいと思っても、周りが『蹴っていいんじゃね?』って思っていたらつなぐ意味がない。やっぱりそこはもっと、全員がビルドアップをやる意識を持ちながらやらなあかん」


兎にも角にも泥臭く前へ仕掛け、ゴール前で振り切ること。そしてチーム全員で同じ絵を持つこと。試合中にもボランチの本田憲弥と「もう少しボールを持ちたい」と言葉を交わす場面もあったそうで、無理につながなくとも、「立ち上がりの10分までははっきり蹴って、どんどんやっていい」と現状の物足りなさに拍車をかける。


加えて、ポケットへ侵入しCKを獲得するのも一つの形だ。前節の東京23FC戦では、相手のCKが1本だったのに対し、渋谷は9本を得ながら無得点に終わった事実は痛く、先週の練習後には増嶋監督が「“渋谷といえばセットプレーだよね”と言われるチームに」と選手たちに強く促していた。もちろん毎週の如くその練習はメニューの中に組み込まれているが、なかなか勝負の場で結果として表れていない。


「判断の迷いというよりかは、(ボールが)来たところにちゃんと人が入れてて、その上でそいつが外したならそいつの責任やし、ボールが来ないならキッカーの責任。そこはもうお互いが精度上げるしかない。キッカーが中にしっかり入れて、中の選手がしっかり決めきる。全員が質を上げてやるしかない。


やっぱり前日練習の雰囲気も試合に影響してくるし、前日練習でポンポン失点してるようじゃ、本番なんかもっと殺気ついて相手が攻めてくる。だから、しっかり練習から試合だと思ってやらなあかん」


練習で再現できないものが、本番で突然生まれるはずもない。いかに質の高いプレーを、再現性を持ってできるか。精度の高いボールを供給できるプレースキッカーが揃っているだけに、あとはゴール前のもうひと押しであろう。



どんな形であれ、明日の流経大戦で求めるのは「勝利」の二文字。あわよくば、セットプレーからの得点が理想的であり、かつ確実に無失点で締めくくることができれば、その次に控える南葛SC戦でも堂々たるプレーをできるはずだ。


前節、東邦チタニウムを相手に0−4の大敗を喫した流経大ドラゴンズ。試合勘はまずまずといったところだが、結果はどうあれ良い選手、質の高い選手は揃っているはず。相手をいなしつつも、受け手に回るのではなく強度をもう一段階上げること。そして山内の言う「ガッと1発目で潰しに行って、勢いを消すぐらいの守備」で完封勝利を収めたい。ここで勝ちきることができなければ、その先に待ち構える強豪数多には到底及ばないだろう。


「変わらずカバーや潰しに行くところはやるし、相手が大学生やと、余計に冷静にやりたいなとは思う。アツアツになって変なところでファウルするのはいらんし。そうなる選手もいると思うから、冷静にやりながらそこはコントロールしたい。チームの士気的なところは(山出)旭くんとかが勝手にやってくれると思うから、『任せます』って感じ笑」


最後の一言は彼らしい割り切りであり、信頼の証でもある。余計な力みを削ぎ落とし、自らの任務にフォーカスする。かつ、それを高いパフォーマンスで完遂してみせる。それだけの自信はある。


「もちろん俺も士気を高めてやっていくけど、チーム全体を鼓舞して『点を取り行こう』とか『守るぞ』と言った声かけは(他の選手が)率先してやってくれると思うから、そこに乗りつつ、冷静に後ろでどっしり構えてやりたい」


「ほんま、天職やと思うわ」と胸を張って誇るポジションで、明日のゲームでも、状況を俯瞰する冷静さと、均衡を破る大胆さを同居させたプレーを披露してくれるに違いない。すでにチームには欠かせない地位を築きつつあるが、日に日に増す信頼をさらに強固なものにしてみせる。




取材・文 :西元 舞

写真   :福冨 倖希

編集   :畑間 直英



GAME REPORT


勝ち星を取り戻したい渋谷と、今季初勝利を狙う流通経済大学ドラゴンズ龍ケ崎が対戦した関東サッカーリーグ第4節。前日の雨模様から一転、会場は夏を思わせる陽気に包まれた。


渋谷は前節から先発を2名変更。左CBには鈴木友也に代わって敷田唯が入り、左ウイングには宮川瑞希を起用。ともに今季初スタメンを飾った。最前線には吉永昇偉がスライドし、2週間のインターバルを経て、変化を加えた布陣で臨んだ。



立ち上がりから2度のCKのチャンスを獲得した渋谷。いずれも相手にクリアされたものの、開始直後から敵陣でプレーする時間を作り、幸先の良い入りを見せた。


相手に攻撃を仕掛けられる場面でも、ディフェンスラインが落ち着いて対応。大学生特有の勢いに飲まれることなく、球際でも優位に立ち、終始マイボールの展開へ持ち込んでいく。


その中で存在感を放ったのが、今季初先発となった宮川。開幕から3試合は出場機会は限られていたが、その鬱憤を晴らすかのように、持ち味であるドリブルで左サイドからチャンスを創出。縦への仕掛けだけではなく、後半には自らシュートを狙う場面が目立ち、ゴールへの意欲を見せた。



その宮川のプレーが先制点を呼び込む。前半42分、左サイドでボールを受けた宮川がゴール前へクロスを送り込む。ファーサイドにいた吉永が合わせにいったが、その動きに反応した相手DFのヘディングが、そのままゴールへ。前半終盤に貴重な先制点を手にし、試合を優位に進める形で折り返した。


後半の立ち上がりは、攻撃のギアを上げた流経大ドラゴンズがサイドへ展開し、渋谷の守備を揺さぶりにかかる。57分には左サイドからの速いクロスを起点にミドルシュートを浴びる場面も。それでも渋谷は局面で粘り強く対応し、流れを渡さない。


すると59分、渋谷が追加点を奪う。裏に入ったボールを吉永が収め、フリーの位置にいた植松亮がシュートまで持ち込む。そのこぼれ球に素早く詰めた半田ゲンヤが押し込み、今季2得点目を挙げた。


2点差となってからも、渋谷は5枚の交代カードを切りながら前線の強度を保ち、相手の背後を狙い続ける。84分には、後藤田亘輝のスローインから伊藤雄教が背後へ抜け出し、数的不利の状況でも冷静に流し込み3点目。前線からの献身性でチームに貢献してきた末の、待望の今季初ゴールを挙げた。



アディショナルタイムは5分。ここから渋谷の怒涛の攻撃は止まらず、91分に後藤田亘輝、92分に半谷一太、そして極め付けは小関陽星が試合終了間際にネットを揺らした。終盤の3得点はいずれも今季初ゴール。途中出場の選手たちが存在感をアピールし、チームの総合力を示し、6−0の大勝を挙げた。


相手の応援団も多く駆けつけた完全なアウェイの地でつかんだ勝利。その中で、試合後にひときわ喜びを見せていたのが、5点目を挙げた半谷一太だった。


後半アディショナルタイム2分、PKを獲得した小関陽星。自ら蹴ると思わせたが、キッカーを務めたのは流経大出身の半谷。振り抜いた一撃はGKに反応されるも、古巣のゴールに吸い込まれた。ネットが揺れると、勢いそのままにスライディングで喜びを爆発させた。


「(小関からは)『ハン、行け』って言われて、『あ、いいんすか?じゃあ』って。いただきます、ということで決められるところは決められたのでよかったです」と安堵の表情で振り返った。



相手応援団からの「愛あるブーイング」を掻き消すかの如く、古巣のゴール前でも遠慮はなかった。メンバー発表で自身の名前を見つけた前日の夜の時点で、気持ちは高まっていたという。


「流経大ドラゴンズには、自分が大学2年と3年のときに所属していました。田中信也監督にもすごくお世話になったので、成長した姿を見せたいと考えていたし、いつもご飯を食べていた元チームメイトと試合ができるワクワク感もあったので、すごく楽しみでした。(交代時に)名前を呼ばれた時は、シンプルに嬉しかったです」


86分に、ゲームキャプテンの石上輝に代わってピッチへ向かったが、その初出場は思わぬ形で始まる。石上がピッチを出る前に入ってしまい、交代の不備でイエローカード。渋谷での公式戦初出場は、いきなり警告を受けるスタートとなった。


「初出場ということもあって普通に緊張もして、飛び出たらピッチの真ん中でハイタッチしてて『違和感あるな?』と思ったら試合が止まっていました。ずっと今日に懸ける思いがあって、『早く出たい』っていう気持ちが昂りすぎて、足を踏み入れていました」


ただ、そのアクシデントがかえって緊張をほぐし、「それで逆にリラックスできたし、ベンチにいた先輩たちからも『大丈夫、気にすんな』って言ってもらえました」と笑顔を見せた。


開幕から3試合は出場なし。熾烈なポジション争いに食い込めず歯痒い時期を過ごしたが、「いつかチャンスは来る」と自分を信じ、日々のトレーニングに向き合ってきた。その積み重ねが、古巣相手の今季初出場、そして初ゴールという形で報われた。


流経大の田中監督とも言葉を交わしたそうで、「『お前、昨日のTikTok見たよ』って言われました」と恩師とのやり取りを明かし、再び笑顔を見せた。


「日々の練習だけが僕のできることだったので、それが結果としてゴールにつながった。まだ始まったばかりだけれど、これを機にもっと点も決めて試合に絡めるように頑張ります」



次戦は2週間後の第5節・南葛SC戦。リーグ屈指の強豪との一戦を前に、まずはチーム内の競争を勝ち抜くことが求められる。この一戦で結果を残した半谷にとっても、この1点を次につなげられるかが問われる。


「南葛SCは誰もが思っていると思いますけど、強いチーム。パスサッカーというところで、個の戦いが勝負になると思っています。そこで絶対に負けないように、チームのために貢献できるようにハードワークして、最後は笑って終われるように頑張ります」


出場機会を待つだけではなく、与えられた時間で結果を残す。半谷の今季初ゴールは、大勝の終盤を彩る1点であると同時に、次のメンバー争いへ向けたアピールにもなった。


結果だけを見れば申し分ないが、この勝利を一過性のものにしてはいけない。先発に入った選手が流れを作り、途中出場の選手が試合を決め切ったことは、チーム全体にとって大きな収穫だ。今節で得た自信と、まだ伸ばせる余地をどこまでチームの力に変えられるか。渋谷の成長曲線に期待がかかる。



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