
KICK OFF |
13:00
味の素フィールド西が丘


SHIBUYA CITY FC

桐蔭横浜大学FC
3
3
2026シーズン 関東サッカーリーグ1部
2026年6月7日
GAME RESULT
GAME REPORT
SCFC ZINE
浮き出る決定力不足。現状を打破する“きっかけ”を、満員の西が丘でつかめ
3分の1を消化したリーグ戦。これが関東1部かとため息をついたのも束の間、いつしか夏のような暑さが訪れ、勝利の女神が振り向いてくれない現状に頭を抱えている。それでも、このリーグの難しさに揉まれている時間こそ、進化に必要なものなのかもしれない。
現在4位につける渋谷は、ここまで2勝2分2敗。なかなか勝点3を手繰り寄せてはいない割には、それほど悪い位置にいるわけではないのは事実。明日対戦する桐蔭横浜大学FCも同じ勝点で6位につけており、以前キャプテンの土田直輝が口にしていた「得失点差の戦いになるはず」という予測は今のところ当たっている。先行きはまだ読めないが、前節のEDO ALL UNITED戦で勝機を手繰り寄せながらも最後まで一点が遠かったことはかなりの痛手である(0−0)。
6月2日。前節から週が明け、最初の練習で増嶋竜也監督が選手たちに説いた言葉がある。
“Breakthrough”。
困難や障壁を突破すること。行き詰まった状況に対して、新しいアプローチや発想で前進をもたらすことを意味する言葉だ。
決して悪いゲーム運びをしているわけではない。むしろ好調である。最後のひと押しに欠けるだけだ。だからこそ、増嶋監督は何かを大きく変えようとは言わなかった。自分たちのやり方を捨てる必要はない。だが、このままやり続ける中で現状を動かす“きっかけ”を見つけなければならない。そう促していた。
その“きっかけ”になり得る、ならなければいけない存在が、MF濱名真央である。
「マジで悔しくて。早く今日の練習に行きたかったです」
この日の練習を誰よりも心待ちにしていた濱名。このままではいけないと、どうにかして糸口を模索している。
それもそのはず。前節の渋谷は後半20分に4枚の交代カードを切り、終盤にかけて幾度となくシュートチャンスを作り出した。濱名にもそのうちの3本の決定機が訪れたが、惜しくもゴールを射止めることはできなかった。

試合の2日前には体調不良に見舞われ「みんなの足を引っ張ってしまった」と明かしたが、それでもあれだけの好機を演出できたのは彼のポテンシャルゆえ。だからこそなのか、試合後はひどく落ち込んでいた。自由人であっけらかんとしている彼にしては少し珍しい姿であり、「いや、もうやべえなと。この間はマジでチャンスだったので」と振り返る。
「なんかもう、珍しくかわからないけど、マジで周りが見えていなくて。体調が悪かったのもあったから、とりあえずもうゴールを決めなきゃみたいな。もう何も考えていなくて、無心でした。
あの日はいつもより『決めに行かなきゃ』と力んでいましたね。だから、いつも見えていたりするところが見えていなかったので、もうちょっと冷静にプレーしたらまた変わっていたのかなと思います。みんながパスを繋いでくれていたし、そこで本当に『決めなきゃ』となっていた」
途中出場早々の後半23分、左サイドのスローインから得意のドリブルで相手を1枚かわしたが、中央に持ち出したところでボールを失い、カウンターを食らった。最後はフリーの相手にシュートまで持ち込まれたが、ここはDF敷田唯が食い止めた。そのシーンについて「みんなに救ってもらった」と感謝し、「まず入り方があまり良くなかったので、それが力みにつながってしまった。取り返そうとしすぎた」と、いつもの視野や余裕が失われていた原因を語る。

今季は途中出場から流れを変えるジョーカー的な役割を担っているが、その本音は「もう少し時間は欲しい」と自身の見せ場を増やしたいのはもちろん、「今年は途中出場というのもあって、やっぱりコンディションが100%ではないと思うけど、その中でも自分はやれると思っているし、やらなきゃいけないとも思っている」と、なんとしてでも結果を残さなければいけない責任感を持っていることは言うまでもない。
前節では「冷静さ」を欠いていたと後悔の念を口にした。吸い付くようなボールタッチと相手を翻弄するドリブルを武器とする濱名にとって、勢いは生命線であるが、熱量が判断を鈍らせればその怖さは危うさに変わる。そのバランスをいかに取るかに四苦八苦している。
「変に落ち着いてしまうより、ああやって貪欲にゴールに向かっていくのは大事だと思う。それをやって欲しくてマスさん(増嶋監督)は僕を出しているはず。シュートを打つ前に冷静になれたら、もっとシュートコースも見えていたと思うので、姿勢を変えずに冷静にプレーできたらもっといいかなと。それは練習でも変えられる。
練習では割と決めているし、チャンスの数というか、シュートの回数が明らかに違う。練習後のシュート練習もやっているしゴールは入っているけど、そのシュート練習にリアリティさがないのかなと思っていて。ドリブルでちょっと運んでからシュートを打つとか、試合に寄せたい」

狙い定めるものはただ一つ。最後の局面で仕留められるかどうかという課題は、「もう、そこだけ」と誰よりも自覚している。あとはもう、目の色を変えて存在価値を証明するのみだ。
「いつも通りやることが一番良いプレーができると思う。チームとしては観客をたくさん入れる目標はあるので、そういうのは楽しみながら、気負いせず。でも、やっぱりゴールに向かう姿勢は忘れずにやっていきたい。
もう、点取ることしか貢献できるところがないので。そこをみんなも求めていると思うし、見たいと思う。早く一点取って、まずは一点取る」

昨年7月に開催された日立ビルシステム戦以来となる、味の素フィールド西が丘でのホームゲーム。あの頃の渋谷は順風満帆ではなかったからこそ、今度は最高の景色で上書きをしたい。相手が強豪だろうが、大学生であろうが、自分たちのサッカーに、そして細部にどれだけこだわれるか。その積み重ねの先にこそ、きっと勝利の女神は振り向いてくれるはず。
クラブ歴代最多動員数を目指す、“満員”のホームで実現すべきものは、ともに戦うファン・サポーターの笑顔と、試合後に分かち合う歓喜だけ。渋谷に勝利以外はふさわしくない。地に這いつくばってでも、ただひたすらに狙い定め、打って、食ってかかるのみだ。
“Breakthrough”。
停滞を打ち破るきっかけは、明日の西が丘でつかむ。
取材・文 :西元 舞
写真 :福冨 倖希
編集 :畑間 直英
GAME REPORT
敗色濃厚の空気を、終盤の猛攻で振り払った。最後の最後まで、サッカーは何が起こるか分からない。この一点に尽きるゲームであった。
クラブ史上最多となる1,012人の来場者数を記録した味の素フィールド西が丘で行われた、関東サッカーリーグ第7節・桐蔭横浜大学FC戦。今季3度目のホームゲームはこれまで以上の熱気に包まれ、同じ勝ち点で並ぶ、6位の大学生クラブと上位進出を懸けて激突した。
渋谷は開始早々、ロングスローの流れで痛恨の先制を許すと、後半10分には中央を崩され、ループシュートで追加点を奪われる。大学生らしい勢いに加え、第4節の流通経済ドラゴンズ龍ケ崎戦とはまた違う巧みさとスピードに苦しみ、2点を追う苦しい展開となった。
だが、ここからがドラマの始まりだった。
後半29分、後藤田亘輝に代わって山出旭がピッチイン。その直後にはCKのチャンスから小関陽星のボールに、フリーで待っていた山出がヘディングで合わせて今季初ゴール。昨年7月に大怪我を負った西が丘のピッチで、苦い記憶を歓喜へと塗り替えてみせた。

しかし、その2分後には今度は桐蔭横浜のCKから、ニアサイドで相手に頭で合わせられ、またもや2点差に突き放される。ようやく高まった反撃ムードは一気に落胆に変わった。それでも渋谷の逆襲は、ここからだった。
後半アディショナルタイム1分、濱名真央のクロスにファーサイドの小関陽星が競り合いながら反応。ゴール前へ落としたボールを、最後は半田ゲンヤがヘディングでゴール左へ流し込み1点差に詰め寄り、第4節以来となる今季3点目。会場のボルテージは一気に上がったが、ラストワンプレーでさらにその熱は高まった。

岩沼俊介のフィードから山出が折り返すと、そのこぼれ球に反応したのはファーサイドへ走り込んでいた青木竣。今季初出場の背番号14は利き足の左足で流し込み、劇的同点弾を挙げた。

最後の最後でゴールへの執念を見せた渋谷。勝利という形でファン・サポーターに歓喜を届けることはできなかったが、相手のわずかな綻びを逃さず、貴重な勝ち点1を手繰り寄せた。
とはいえ、決定力不足がなかなか解消しきれないのは事実。90分を通しても前節同様チャンスはあり、フル出場を果たしたDF敷田唯は「各々分かっていると思うけれど、勝たなければいけない試合だった」と振り返る。
「最後に追いついたので、チームの強さみたいなところは少し表現できた。ただ、『こんなもんじゃないな』とはみんな思っているので悔しさが残る試合だった。(相手は)大学生らしいところを随所に見せて、かつ上手さもあったので、試合前から難しくなるだろうなとは感じていた。それを込みにしても、上回らなきゃいけなかったのかなと思う」と苦い表情を浮かべた。
得意のデュエルで幾度も相手の攻撃の芽を摘み取った敷田。第4節からスタメン出場を果たしており、コンディションも良好。それゆえ自信を持ってプレーできている一方で、最初の2失点には自身のミスも絡んでいた。もちろんそれは自覚済みであり、「ミスをどれだけ少なくできるか、かつチームに対して何が与えられるかというところはまだまだ伸びしろの部分」と語る。

「精神的に苦しかったところもありつつ、大前提、自分たちで苦しくさせてしまった試合展開だったけれど、中ではそんなにネガティブになるより『もうやるしかない』とうまく切り替えられてたとは思う。ただ、どこかでミスが増えたり、なかなか点が入らずチームとしてはすごくマイナスな見られ方だった。良くも悪くも、試合の運び方やメンタルの持ち方は、チームとしても個人としても伸びしろだと思う」
2点を追う展開から同点まで持ち込んだことは間違いなくプラス材料。ベンチメンバー含めた総合力の高さと、最後までゲームを捨てない全員の当事者意識は示された。ただそれだけでは満足できない。
1週間後には、第62回全国社会人サッカー大会関東予選が始まる。JFL昇格を目指すにあたって勝利は必須。リード時の振る舞い、失点後の心の持ちよう、そして勝ちきるための細部。トーナメント特有の重圧を背負う準備が求められる。
昨季まで所属した東京23FCでの決勝トーナメントで、JFL昇格の壁の高さを身に染みて感じた背番号15は、次の一戦への重要性をこう語る。
「負けたら終わり。サッカーをやっていたらトーナメントを経験してきた選手が多いので、そこの難しさは言葉にしなくてもわかると思う。レギュレーション上、40分ハーフだったり、即PKなどリーグ戦にはないものが出てくる。1点の重みもそうだし、失点の重みがものすごく関わってくる。内容ももちろんこだわりたいけれど、やっぱり勝ち切るところが一番大事。どんな形でも勝てればいい。どれだけうまくいかなくてストレスをめちゃくちゃ抱えていても、最後に勝てればいいと思っている。
それこそゴール前の崩しの質だったり、フィニッシュの質を攻撃陣はこだわらなきゃいけないし、守備陣は最後のゴール前で何が何でも失点しないことを、来週からの2週間で突き詰め続けないといけない」
一つのミス、一つの好機、一つの球際。最後に勝敗を分けるのは、そうした細部の積み重ねかもしれない。リーグ戦は今月下旬まで空くが、戦いは終わらない。次に待つのは、負けた瞬間に道が閉ざされる一発勝負。今節で見せた執念を、今度は勝利という結果に変えたい。
注目の1回戦の相手は、関東2部所属の厚木はやぶさFC。6月14日(日)、韮崎中央公園で13時半キックオフ。

取材・文 :西元 舞
写真 :福冨 倖希
編集 :畑間 直英
SCFC ZINE
浮き出る決定力不足。現状を打破する“きっかけ”を、満員の西が丘でつかめ
3分の1を消化したリーグ戦。これが関東1部かとため息をついたのも束の間、いつしか夏のような暑さが訪れ、勝利の女神が振り向いてくれない現状に頭を抱えている。それでも、このリーグの難しさに揉まれている時間こそ、進化に必要なものなのかもしれない。
現在4位につける渋谷は、ここまで2勝2分2敗。なかなか勝点3を手繰り寄せてはいない割には、それほど悪い位置にいるわけではないのは事実。明日対戦する桐蔭横浜大学FCも同じ勝点で6位につけており、以前キャプテンの土田直輝が口にしていた「得失点差の戦いになるはず」という予測は今のところ当たっている。先行きはまだ読めないが、前節のEDO ALL UNITED戦で勝機を手繰り寄せながらも最後まで一点が遠かったことはかなりの痛手である(0−0)。
6月2日。前節から週が明け、最初の練習で増嶋竜也監督が選手たちに説いた言葉がある。
“Breakthrough”。
困難や障壁を突破すること。行き詰まった状況に対して、新しいアプローチや発想で前進をもたらすことを意味する言葉だ。
決して悪いゲーム運びをしているわけではない。むしろ好調である。最後のひと押しに欠けるだけだ。だからこそ、増嶋監督は何かを大きく変えようとは言わなかった。自分たちのやり方を捨てる必要はない。だが、このままやり続ける中で現状を動かす“きっかけ”を見つけなければならない。そう促していた。
その“きっかけ”になり得る、ならなければいけない存在が、MF濱名真央である。
「マジで悔しくて。早く今日の練習に行きたかったです」
この日の練習を誰よりも心待ちにしていた濱名。このままではいけないと、どうにかして糸口を模索している。
それもそのはず。前節の渋谷は後半20分に4枚の交代カードを切り、終盤にかけて幾度となくシュートチャンスを作り出した。濱名にもそのうちの3本の決定機が訪れたが、惜しくもゴールを射止めることはできなかった。

試合の2日前には体調不良に見舞われ「みんなの足を引っ張ってしまった」と明かしたが、それでもあれだけの好機を演出できたのは彼のポテンシャルゆえ。だからこそなのか、試合後はひどく落ち込んでいた。自由人であっけらかんとしている彼にしては少し珍しい姿であり、「いや、もうやべえなと。この間はマジでチャンスだったので」と振り返る。
「なんかもう、珍しくかわからないけど、マジで周りが見えていなくて。体調が悪かったのもあったから、とりあえずもうゴールを決めなきゃみたいな。もう何も考えていなくて、無心でした。
あの日はいつもより『決めに行かなきゃ』と力んでいましたね。だから、いつも見えていたりするところが見えていなかったので、もうちょっと冷静にプレーしたらまた変わっていたのかなと思います。みんながパスを繋いでくれていたし、そこで本当に『決めなきゃ』となっていた」
途中出場早々の後半23分、左サイドのスローインから得意のドリブルで相手を1枚かわしたが、中央に持ち出したところでボールを失い、カウンターを食らった。最後はフリーの相手にシュートまで持ち込まれたが、ここはDF敷田唯が食い止めた。そのシーンについて「みんなに救ってもらった」と感謝し、「まず入り方があまり良くなかったので、それが力みにつながってしまった。取り返そうとしすぎた」と、いつもの視野や余裕が失われていた原因を語る。

今季は途中出場から流れを変えるジョーカー的な役割を担っているが、その本音は「もう少し時間は欲しい」と自身の見せ場を増やしたいのはもちろん、「今年は途中出場というのもあって、やっぱりコンディションが100%ではないと思うけど、その中でも自分はやれると思っているし、やらなきゃいけないとも思っている」と、なんとしてでも結果を残さなければいけない責任感を持っていることは言うまでもない。
前節では「冷静さ」を欠いていたと後悔の念を口にした。吸い付くようなボールタッチと相手を翻弄するドリブルを武器とする濱名にとって、勢いは生命線であるが、熱量が判断を鈍らせればその怖さは危うさに変わる。そのバランスをいかに取るかに四苦八苦している。
「変に落ち着いてしまうより、ああやって貪欲にゴールに向かっていくのは大事だと思う。それをやって欲しくてマスさん(増嶋監督)は僕を出しているはず。シュートを打つ前に冷静になれたら、もっとシュートコースも見えていたと思うので、姿勢を変えずに冷静にプレーできたらもっといいかなと。それは練習でも変えられる。
練習では割と決めているし、チャンスの数というか、シュートの回数が明らかに違う。練習後のシュート練習もやっているしゴールは入っているけど、そのシュート練習にリアリティさがないのかなと思っていて。ドリブルでちょっと運んでからシュートを打つとか、試合に寄せたい」

狙い定めるものはただ一つ。最後の局面で仕留められるかどうかという課題は、「もう、そこだけ」と誰よりも自覚している。あとはもう、目の色を変えて存在価値を証明するのみだ。
「いつも通りやることが一番良いプレーができると思う。チームとしては観客をたくさん入れる目標はあるので、そういうのは楽しみながら、気負いせず。でも、やっぱりゴールに向かう姿勢は忘れずにやっていきたい。
もう、点取ることしか貢献できるところがないので。そこをみんなも求めていると思うし、見たいと思う。早く一点取って、まずは一点取る」

昨年7月に開催された日立ビルシステム戦以来となる、味の素フィールド西が丘でのホームゲーム。あの頃の渋谷は順風満帆ではなかったからこそ、今度は最高の景色で上書きをしたい。相手が強豪だろうが、大学生であろうが、自分たちのサッカーに、そして細部にどれだけこだわれるか。その積み重ねの先にこそ、きっと勝利の女神は振り向いてくれるはず。
クラブ歴代最多動員数を目指す、“満員”のホームで実現すべきものは、ともに戦うファン・サポーターの笑顔と、試合後に分かち合う歓喜だけ。渋谷に勝利以外はふさわしくない。地に這いつくばってでも、ただひたすらに狙い定め、打って、食ってかかるのみだ。
“Breakthrough”。
停滞を打ち破るきっかけは、明日の西が丘でつかむ。
取材・文 :西元 舞
写真 :福冨 倖希
編集 :畑間 直英
GAME REPORT
敗色濃厚の空気を、終盤の猛攻で振り払った。最後の最後まで、サッカーは何が起こるか分からない。この一点に尽きるゲームであった。
クラブ史上最多となる1,012人の来場者数を記録した味の素フィールド西が丘で行われた、関東サッカーリーグ第7節・桐蔭横浜大学FC戦。今季3度目のホームゲームはこれまで以上の熱気に包まれ、同じ勝ち点で並ぶ、6位の大学生クラブと上位進出を懸けて激突した。
渋谷は開始早々、ロングスローの流れで痛恨の先制を許すと、後半10分には中央を崩され、ループシュートで追加点を奪われる。大学生らしい勢いに加え、第4節の流通経済ドラゴンズ龍ケ崎戦とはまた違う巧みさとスピードに苦しみ、2点を追う苦しい展開となった。
だが、ここからがドラマの始まりだった。
後半29分、後藤田亘輝に代わって山出旭がピッチイン。その直後にはCKのチャンスから小関陽星のボールに、フリーで待っていた山出がヘディングで合わせて今季初ゴール。昨年7月に大怪我を負った西が丘のピッチで、苦い記憶を歓喜へと塗り替えてみせた。

しかし、その2分後には今度は桐蔭横浜のCKから、ニアサイドで相手に頭で合わせられ、またもや2点差に突き放される。ようやく高まった反撃ムードは一気に落胆に変わった。それでも渋谷の逆襲は、ここからだった。
後半アディショナルタイム1分、濱名真央のクロスにファーサイドの小関陽星が競り合いながら反応。ゴール前へ落としたボールを、最後は半田ゲンヤがヘディングでゴール左へ流し込み1点差に詰め寄り、第4節以来となる今季3点目。会場のボルテージは一気に上がったが、ラストワンプレーでさらにその熱は高まった。

岩沼俊介のフィードから山出が折り返すと、そのこぼれ球に反応したのはファーサイドへ走り込んでいた青木竣。今季初出場の背番号14は利き足の左足で流し込み、劇的同点弾を挙げた。

最後の最後でゴールへの執念を見せた渋谷。勝利という形でファン・サポーターに歓喜を届けることはできなかったが、相手のわずかな綻びを逃さず、貴重な勝ち点1を手繰り寄せた。
とはいえ、決定力不足がなかなか解消しきれないのは事実。90分を通しても前節同様チャンスはあり、フル出場を果たしたDF敷田唯は「各々分かっていると思うけれど、勝たなければいけない試合だった」と振り返る。
「最後に追いついたので、チームの強さみたいなところは少し表現できた。ただ、『こんなもんじゃないな』とはみんな思っているので悔しさが残る試合だった。(相手は)大学生らしいところを随所に見せて、かつ上手さもあったので、試合前から難しくなるだろうなとは感じていた。それを込みにしても、上回らなきゃいけなかったのかなと思う」と苦い表情を浮かべた。
得意のデュエルで幾度も相手の攻撃の芽を摘み取った敷田。第4節からスタメン出場を果たしており、コンディションも良好。それゆえ自信を持ってプレーできている一方で、最初の2失点には自身のミスも絡んでいた。もちろんそれは自覚済みであり、「ミスをどれだけ少なくできるか、かつチームに対して何が与えられるかというところはまだまだ伸びしろの部分」と語る。

「精神的に苦しかったところもありつつ、大前提、自分たちで苦しくさせてしまった試合展開だったけれど、中ではそんなにネガティブになるより『もうやるしかない』とうまく切り替えられてたとは思う。ただ、どこかでミスが増えたり、なかなか点が入らずチームとしてはすごくマイナスな見られ方だった。良くも悪くも、試合の運び方やメンタルの持ち方は、チームとしても個人としても伸びしろだと思う」
2点を追う展開から同点まで持ち込んだことは間違いなくプラス材料。ベンチメンバー含めた総合力の高さと、最後までゲームを捨てない全員の当事者意識は示された。ただそれだけでは満足できない。
1週間後には、第62回全国社会人サッカー大会関東予選が始まる。JFL昇格を目指すにあたって勝利は必須。リード時の振る舞い、失点後の心の持ちよう、そして勝ちきるための細部。トーナメント特有の重圧を背負う準備が求められる。
昨季まで所属した東京23FCでの決勝トーナメントで、JFL昇格の壁の高さを身に染みて感じた背番号15は、次の一戦への重要性をこう語る。
「負けたら終わり。サッカーをやっていたらトーナメントを経験してきた選手が多いので、そこの難しさは言葉にしなくてもわかると思う。レギュレーション上、40分ハーフだったり、即PKなどリーグ戦にはないものが出てくる。1点の重みもそうだし、失点の重みがものすごく関わってくる。内容ももちろんこだわりたいけれど、やっぱり勝ち切るところが一番大事。どんな形でも勝てればいい。どれだけうまくいかなくてストレスをめちゃくちゃ抱えていても、最後に勝てればいいと思っている。
それこそゴール前の崩しの質だったり、フィニッシュの質を攻撃陣はこだわらなきゃいけないし、守備陣は最後のゴール前で何が何でも失点しないことを、来週からの2週間で突き詰め続けないといけない」
一つのミス、一つの好機、一つの球際。最後に勝敗を分けるのは、そうした細部の積み重ねかもしれない。リーグ戦は今月下旬まで空くが、戦いは終わらない。次に待つのは、負けた瞬間に道が閉ざされる一発勝負。今節で見せた執念を、今度は勝利という結果に変えたい。
注目の1回戦の相手は、関東2部所属の厚木はやぶさFC。6月14日(日)、韮崎中央公園で13時半キックオフ。

取材・文 :西元 舞
写真 :福冨 倖希
編集 :畑間 直英












