top of page
MatchResultBg (1).png

KICK OFF | 

9:00

アミノバイタルフィールド

SHIBUYA CITY FC

東京ユナイテッドFC

0
3

2026シーズン 関東サッカーリーグ1部

2026年7月11日

GAME RESULT

選手交代

46

min

KENYA HONDA

MAYAHKA CHUI HIROMU

IN

OFF

選手交代

64

min

GENYA HANDA

RYO UEMATSU

IN

OFF

選手交代

64

min

MAO HAMANA

MIZUKI MIYAGAWA

IN

OFF

選手交代

64

min

SHOI YOSHINAGA

HIROTO OKOSHI

IN

OFF

失点

79

min

選手交代

80

min

YOSEI OZEKI

YUTAKA ITO

IN

OFF

失点

82

min

失点

89

min

​STARTING XI

FW

MAYAHKA CHUI HIROMU

24

YUTAKA ITO

99

RYO UEMATSU

8

MF

NAOKI TSUCHIDA

40

HIKARU ISHIGAMI

66

HIROTO OKOSHI

23

MIZUKI MIYAGAWA

10

DF

TOMOYA SUZUKI

12

SHUSEI YAMAUCHI

30

YUI SHIKIDA

15

GK

KEISUKE TSUMITA

17

GAME REPORT

SCFC ZINE


7位に沈む渋谷が迎える後半戦の再出発。逆境でこそ燃えるその意志を、勝利という結果で示せ


気づけばリーグ戦は折り返しを迎え、前期で対戦したチームと再び相まみえる。明日ホームに迎えるのは、2位につける東京ユナイテッドFC。開幕戦で2失点を喫した相手とのリベンジマッチとなる。


渋谷の現在の勝ち点は9。第4節・流通経済大学ドラゴンズ龍ケ崎戦を最後に勝利から見放されており、前節は東邦チタニウムを相手に敗戦。リーグ優勝だけを見据えるなかで、首位との勝ち点差は11に広がってしまった。巻き返しへ向けた第一歩を踏み出すためにも、明日の一戦の持つ意味は極めて大きい。


ゴール前のクオリティ向上も急務であるが、何より優先すべきは守備の修正だ。先月30日にはラインメール青森FCより藤本裕也が加入し、ディフェンダー陣は10人体制に。競争が増したがゆえにベンチメンバーの充実はプラス材料だが、直近3試合はいずれも複数失点を招いている。前節の2失点はいずれも中盤でのミスを起点に先手を取られたが、その直後の対応次第ではピンチの芽を潰すことはできたはず。


第4節ぶりに先発復帰を果たした鈴木友也は、CBとしての責任をこう口にする。


「少なからず後ろの3枚がもっと前に運ぶことができれば、中盤二人(土田、本田)はもっと自分の良さを活かせたと思う。自分たちの前に運ぶ力が足りないから、負担をかけてしまっているというのは分かっている。2失点目なんかは(本田)憲弥がボールロストしたけれど、その後に後ろ3枚でカバーできる失点だったというのは何回見ても思う。でもあれで後ろからつなぐのをやめたら、ここまでやってきたものが意味なくなってしまう。そこはやめずに続けていくべき。


やっぱりラインを上げれば上げるほど、自分たち後ろ3枚の背後のスペースは空くわけで。一本裏に蹴られて、もし自分たちが間に合わなかったら失点につながる戦術だからリスクはあるけれど、俺らが回収できたらそれだけで前の選手は守備をしなくて済むし、逆に後ろ3枚はみんな足も速いしカバーできる選手。回収できる自信があるからチャレンジするべきだと思う」


ボールを握りながらリズムを作り前進していくスタイルに変わりはないが、三原新監督のもとでは攻撃の考え方に変化も見られる。増嶋竜也前監督がポケットへの侵入など、特定のエリアを取ることを重視していたのに対し、三原監督が求めるのは「よりゴールを奪うための手段」だ。「別にそこ(エリア)を取らなかったらダメとかもないし、取らずに決めれるんだったら他の選択肢を取ってゴールに向かっていくことの方が正解だから、よりそれを求められている」と、鈴木。前節も両サイドを起点に相手を揺さぶりながら、状況に応じて自由度の高い攻撃を見せた。ただ、ファイナルサードでの判断と精度はもう一押しである。



攻撃のバリエーションが広がりつつあることは好材料だが、数試合続く先制点を許す展開は避けなければならない。追いかける立場となれば、交代カードを切りながら主導権を握り返さなければならず、その試合運びは明日対戦するユナイテッドの思うつぼでもある。開幕戦ではボールを保持しながらも実際には持たされている状況に陥り、ゲームコントロールの面で相手の戦略にハマってしまった。鈴木も「(関東)1部は先制したら守りきる力がどこのチームにもある。そこが2部との差」だと話し、試合を進める経験値の高さに警戒を示す。


試合運びのしたたかさはもちろん、やはり勝敗を分けるのは「個」のクオリティ。開幕戦を振り返り、「前期対戦した中では、個の力もチームとしての力も一番強度を高く感じた試合だった」と語る。天候面の不安が少ない明日こそは、互いの力をより存分に発揮できるはずだ。「本当に全員が頑張るし、かといって一人一人が勝手なことしてるわけじゃなく統一されたチーム」に対して、臆することなく仕掛けること。まずは一点、そしてもう一点。自ら試合を動かしてこそ、勝利を得られるだろう。



台風の影響で延期となった第8節・日本大学N.戦を含め、リーグ戦は残り10試合。全勝したとしても優勝には他会場の結果が絡む厳しい状況に追い込まれており、「一人一人がもうリーグ戦しかないというこの状況に、もっと危機感を持たなきゃいけない」と、鈴木。ただ、彼の考える「危機感」に対する見方は他とは違う。


「やばいと思ったらきっと行動は変わるはず。ただ単にビビるとか不安になるとかそういうことじゃなくて、『もっとこうした方がいいんじゃないか』とか『この判断でいいのか』など、より思考する時間が増えると思う。今もみんな落ち込んでるわけじゃないし前向きな選手は多い。それでも結果が伴わないのは一人一人の覚悟はあるだろうけど、『本当にこれしかない』という頑固たる思いを感じないから。それは練習をやっていても思うところだから、そこが足りない部分」


全社予選を含めて5試合はベンチスタートとなっていた鈴木だが、置かれた場所がどこであれ、やるべきことを徹底してきた。前節は的確なポジショニングと安定したビルドアップで、第4節以来の先発とは思わせない働きを披露した。個人の局面においても、高さのある相手に堂々たるプレーで一歩も引けを取っていなかった。


「自分のやるべき仕事は、毎試合チームの失点を限りなく0にすること。この状況だからこそ、みんなへの声かけなどの守備の意識は、自分からもっと周りに対して発信していかないといけない。自分が全部合ってるわけでもないけれど、仮に間違ってたとしても守備に対して思ったことは誰かが言わなかったらダメだし、それで失点したとしても俺が責任を取ればいいだけ。『友也のせいで負けた』と言われたとしても、自分はそれだけのことを練習からやっているつもり。準備から練習中、ベンチの時もそうだし、チームのためにやっている自負があるからこそ、自分から発信することを恐れていないし、守備のことは俺が責任を取るつもりでいつもやっている。そこが前よりもより強く思っていること。


前期までやってきて少なからず積み上げてきたものがあるし、毎試合良いものは取り入れて、悪かったものはちゃんと向き合って改善していく。一試合一試合に対する思いを前向きな力に変えて、一人でもそういう選手が集まれば強い集団になると思うから。もちろん全勝を目指すけれど、まずは一試合一試合にまず目を向けてやらなきゃいけない」


在籍4年目を迎えた背番号12。ピッチ内外でチームを支える思いは年々強さを増してきた。出場機会を問わず積み重ねてきた準備と発信、そして仲間を叱咤激励する雄弁な姿勢。「気持ちで技術も補える」という確固たる信念を、今こそ遺憾無く発揮してみせる。



チームは危機に瀕しているが、まだすべてが決まったわけではない。むしろ、窮地に陥った今だからこそ底力を発揮できる。順風の中で強さを示すのではなく、逆境だからこそ、ここからの一勝はより価値を増す。


「危機感というものが人を変える」。


他力でも何でも構わない。掲げてきた「JFL昇格」という目標は、一度たりともブレていない。誰一人として諦めていないその覚悟を、明日の90分で証明してみせる。渋谷の快進撃は、ここから始まる。


取材・文 :西元 舞

写真   :福冨 倖希

編集   :畑間 直英


GAME REPORT


関東サッカーリーグ第10節は、現在2位につける東京ユナイテッドFCとの一戦。リーグは後半戦に突入し、開幕戦で黒星を喫した前回王者とのリベンジマッチとなった。前期は厳しい豪雨の中での対戦だったが、今節は一転して暑さに見舞われ、夕暮れのアミノバイタルフィールドでキックオフを迎えた。


渋谷は前節から先発を3名変更。中盤の底には石上、右シャドーに植松、右ウイングには大越が入り、それぞれ先発復帰。また、リザーブには負傷から復帰した吉永が、第5節以来となるメンバー入りを果たした。



前半は、互いにボールを保持しながら機をうかがう落ち着いた展開となった。渋谷は右サイドの狭いスペースで前進できなければ、無理に突破を試みることなく逆サイドへ展開。三原監督が志向するサイド攻撃を軸に、セカンドボールを回収しながら相手陣内へ押し込む形を作った。「スペースはあったし、負けている気が全然しなかった」と、左ウイングの宮川。8分には石上からの展開を受け、クロスを供給。15分には鈴木のロングフィードをタッチライン際で頭で収め、そのまま敵陣深くまで持ち込んだ。1対1の局面から迷わずクロスを選択したもののボールはファーサイドに流れ、味方には合わず。



30分には自陣でボールを奪った宮川が自ら運び、ミドルシュートを放つ。ゴール前の人数がそろわない中で選んだ一打だったが、どれも攻撃を完結させられないもどかしさが残った。「最近はシュートを全然打てていなくて、クロスしか上げていない。本当はもっとシュートに行きたい。もちろん、クロスを上げられる状況だからクロスを選んでしまうこともあるけれど、それで点が入っていないし、やっぱり自分でシュートに行きたい悔しさはある」と、切実な悔しさを口にした。


両者互いにゴール枠内を捉えるシュートチャンスまで持ち込めない中、肝心のセットプレーのチャンスでは、前節から先発に名を連ねる真也加がキッカーを担当。利き足の左足で精度の高いクロスを供給してみせた。もともとキッカーを務めていた宮川と、その都度声を掛け合い、どちらが蹴るのか直前まで判断を委ねる場面も見られた。


「自分より(真也加)チュイの方がキックは上手いと思っているし、練習からめっちゃ良いボールを上げていた。『チュイ、蹴る?』と聞いたら『蹴りたい』と言われたので、チュイに蹴ってもらった。でもやっぱり自分も蹴りたかったので、『蹴る?』と聞かれた時はコーナーキックは自分が蹴るようにした」(宮川)



前半43分のフリーキックのチャンスでは、真也加にボールを託すと、自らはキッカーの近くに残らずゴール前のスペースへ走り込む。「あれはもう割り切っていた」と、宮川。「チュイが蹴ると言ったので、相手を引きつけるためにも自分が裏へ出たかったし、自分としてもボールが欲しかった」と語り、どの局面においても得点に絡もうとする貪欲さを垣間見せた。


前半はスコアレスで終えた渋谷だが、一貫して攻撃のスタイルは変えることはなかった。ハーフタイムには「どんな形でもいいから、点を取らなければいけない」(石上)と意思を共有。開始19秒には右サイドの植松が速いクロスを送り、本田がゴール前へ飛び込む。後半47分にも植松が左の宮川へ大きくサイドチェンジするシーンが見られ、渋谷は後半の早い時間帯での先制点を狙いにいった。


しかし、互角にボールを握れていた展開から一転、時間の経過とともに攻撃のスイッチを入れた昨年王者の圧力に押し込まれていく。じわじわと渋谷は自陣から前進する術を失っていった。後半19分には3枚替えで攻撃に新たな推進力を加えようとしたが、前へ急ぐ意識が強まるあまり、本来つなぐべき場面でもロングボールを選ぶ状況が続いた。


「(濱名)真央とかに足元でボールを渡したかったけれど、チームの雰囲気として前に蹴ってしまっていた。その意思統一というか、やっぱり蹴ってるだけだったら渋谷は勝てない。勝つためには、嫌な方だったとしても選択しなくてはいけなかった」(山内)。


それでも後半34分、渋谷にこの日最大の決定機が訪れる。相手のスローインからボールを奪い、本田から縦パスを受けた半田が最終ラインの背後へ抜け出す。相手キーパーとの1対1の局面を迎えたが、わずかに先にボールへ触れられ、流し込むことはできなかった。



そして、その直後に悪夢が訪れた。カウンターから渋谷の左サイドを突破され、中央の折り返しをダイレクトで押し込まれて先制点を献上。自分たちが先に試合を動かしてもおかしくない場面を逃し、反対に相手の一撃で均衡を破られた。


さらに3分後には、ビルドアップの局面で相手のプレスを受けると、ボールを渋谷陣内深くまで蹴り込まれる。背後から寄せられた山内が対応したものの、相手にスローインを与え、そこからボックス内の侵入を許した。最後は中央で送り込まれたボールがオウンゴールを誘い、2失点目を許してしまう。わずか数分のうちに、渋谷は試合の主導権を大きく手放した。


右CBの山内は最初の失点シーンについて、中央でボールを受けた相手へのカバーに入りながらも、最初の一歩が届かなかったと悔やんだ。


「(1失点目は)全力で戻ってスライディングしたけれど、ファーにも走り込んでいた選手がいて(ボールが渡っていたら)多分決められていたと思う。だから『(ニアで)止めてくれ』と思いながら滑ったけれど、やられてしまった。やれることはやったかなとは思うけれど、もう1個早くカバーしていれば間に合ったはず。やっぱり勢いに負けてしまっているなと思ったので、そこは弱いところ。2失点目もチーム全体でどうしたいのか統一できてなかったからこそ、イージーミスをした後に変なスペースが空いて、そこからずれて、ずれて失点という形だった」


せめて1点を返し、逆転のチャンスをモノにしたかった渋谷だが、44分には痛恨のPKのチャンスを与えてしまう。相手キッカーに逆を突かれ、試合を決定づける3点目を奪われた。先制の好機を逃した直後に失点し、追いかける終盤にはトドメを刺される。渋谷ベンチからは「冷静に!」と声が飛んだものの、決めるべき場面で仕留めたユナイテッドが、この日もしたたかに、かつアグレッシブに試合を締めくくった。



「悪くないけれど、結果が出ていなかったら何も変わらない」(宮川)。まさに、その言葉どおりのゲームだった。随所に狙いと積み上げは見せながらも、開幕戦の雪辱を果たすどころか、前回対戦を上回る失点での敗戦。副キャプテンの石上も「すべてにおいて相手の方が上回っていた、完敗」と振り返った。前半に中盤でボールを握れていたことは一定の手応えを感じながらも、「後半になったらほぼ相手のゲームだった。一試合通して何もできなかった。相手の出だしも早かったし、守備の集中力も高かった」と、90分を通した力の差を潔く認めた。


今節を経て、東京ユナイテッドは勝ち点を20に伸ばした一方、渋谷は9のまま。ここからズルズルと連敗が続けば、残留争いも現実味を帯びてくる。


決して悪いゲーム運びはしていないが、やはり関東1部リーグはそう簡単には上手くいかないのは確か。宮川は「おそらくみんな燃え尽きていない。不完全燃焼。『もっとできるのに』と、一人一人が絶対に思っている」と語る。石上も「一人一人の試合や練習に対する姿勢はもちろんそうだし、誰一人手を抜いている人はいない」と断言したうえで、「何かがうまく噛み合っていなくて、結果が出ないところは少し歯がゆい」と、胸中を明かした。



それでも、副キャプテンは前を向く。


「こういう時期は絶対に誰にでもあるし、乗り越えていかないといけない。これはやり続けないと意味ないし、やるのをやめたらそこで終わり。自分たちのことを支えてくれたり、応援してくれる人たちがいる限りやり続けるしかない。


サッカー選手をやっている以上は、チームの勝利のために目の前の試合で全力を尽くすことだけ。あとはチームみんなで一回ちゃんと話をして、自分たちがどこを目指してやるのか、どのようにやるのかというところを明確にする必要があるなと思う。コミュニケーションを取りながら、一人一人の気持ちをすり合わせて1週間過ごせればいいなと。じゃないと次に繋がらない。次のエリース戦でベストのパフォーマンスを出すために、今この瞬間から次に向けてまた準備するだけかなと思う」


次節は1週間後の18日(土)、第11節・エリース豊島戦。修正に充てられる時間はさほど長くない。今節のゲーム内容を踏まえれば、立て直しには小手先の修正ではなく、攻守両面において明確な再構築が必要になる。残留争いを遠ざけ再び上を向くためにも、必要なのは言わずもがな勝ち点3。積み上げたものを貫くだけではなく、勝つための変化を示せるか。渋谷にとって、ここからの行方を左右する一戦となる。


取材・文 :西元 舞

写真   :岡元 紀樹

編集   :畑間 直英

SCFC ZINE


7位に沈む渋谷が迎える後半戦の再出発。逆境でこそ燃えるその意志を、勝利という結果で示せ


気づけばリーグ戦は折り返しを迎え、前期で対戦したチームと再び相まみえる。明日ホームに迎えるのは、2位につける東京ユナイテッドFC。開幕戦で2失点を喫した相手とのリベンジマッチとなる。


渋谷の現在の勝ち点は9。第4節・流通経済大学ドラゴンズ龍ケ崎戦を最後に勝利から見放されており、前節は東邦チタニウムを相手に敗戦。リーグ優勝だけを見据えるなかで、首位との勝ち点差は11に広がってしまった。巻き返しへ向けた第一歩を踏み出すためにも、明日の一戦の持つ意味は極めて大きい。


ゴール前のクオリティ向上も急務であるが、何より優先すべきは守備の修正だ。先月30日にはラインメール青森FCより藤本裕也が加入し、ディフェンダー陣は10人体制に。競争が増したがゆえにベンチメンバーの充実はプラス材料だが、直近3試合はいずれも複数失点を招いている。前節の2失点はいずれも中盤でのミスを起点に先手を取られたが、その直後の対応次第ではピンチの芽を潰すことはできたはず。


第4節ぶりに先発復帰を果たした鈴木友也は、CBとしての責任をこう口にする。


「少なからず後ろの3枚がもっと前に運ぶことができれば、中盤二人(土田、本田)はもっと自分の良さを活かせたと思う。自分たちの前に運ぶ力が足りないから、負担をかけてしまっているというのは分かっている。2失点目なんかは(本田)憲弥がボールロストしたけれど、その後に後ろ3枚でカバーできる失点だったというのは何回見ても思う。でもあれで後ろからつなぐのをやめたら、ここまでやってきたものが意味なくなってしまう。そこはやめずに続けていくべき。


やっぱりラインを上げれば上げるほど、自分たち後ろ3枚の背後のスペースは空くわけで。一本裏に蹴られて、もし自分たちが間に合わなかったら失点につながる戦術だからリスクはあるけれど、俺らが回収できたらそれだけで前の選手は守備をしなくて済むし、逆に後ろ3枚はみんな足も速いしカバーできる選手。回収できる自信があるからチャレンジするべきだと思う」


ボールを握りながらリズムを作り前進していくスタイルに変わりはないが、三原新監督のもとでは攻撃の考え方に変化も見られる。増嶋竜也前監督がポケットへの侵入など、特定のエリアを取ることを重視していたのに対し、三原監督が求めるのは「よりゴールを奪うための手段」だ。「別にそこ(エリア)を取らなかったらダメとかもないし、取らずに決めれるんだったら他の選択肢を取ってゴールに向かっていくことの方が正解だから、よりそれを求められている」と、鈴木。前節も両サイドを起点に相手を揺さぶりながら、状況に応じて自由度の高い攻撃を見せた。ただ、ファイナルサードでの判断と精度はもう一押しである。



攻撃のバリエーションが広がりつつあることは好材料だが、数試合続く先制点を許す展開は避けなければならない。追いかける立場となれば、交代カードを切りながら主導権を握り返さなければならず、その試合運びは明日対戦するユナイテッドの思うつぼでもある。開幕戦ではボールを保持しながらも実際には持たされている状況に陥り、ゲームコントロールの面で相手の戦略にハマってしまった。鈴木も「(関東)1部は先制したら守りきる力がどこのチームにもある。そこが2部との差」だと話し、試合を進める経験値の高さに警戒を示す。


試合運びのしたたかさはもちろん、やはり勝敗を分けるのは「個」のクオリティ。開幕戦を振り返り、「前期対戦した中では、個の力もチームとしての力も一番強度を高く感じた試合だった」と語る。天候面の不安が少ない明日こそは、互いの力をより存分に発揮できるはずだ。「本当に全員が頑張るし、かといって一人一人が勝手なことしてるわけじゃなく統一されたチーム」に対して、臆することなく仕掛けること。まずは一点、そしてもう一点。自ら試合を動かしてこそ、勝利を得られるだろう。



台風の影響で延期となった第8節・日本大学N.戦を含め、リーグ戦は残り10試合。全勝したとしても優勝には他会場の結果が絡む厳しい状況に追い込まれており、「一人一人がもうリーグ戦しかないというこの状況に、もっと危機感を持たなきゃいけない」と、鈴木。ただ、彼の考える「危機感」に対する見方は他とは違う。


「やばいと思ったらきっと行動は変わるはず。ただ単にビビるとか不安になるとかそういうことじゃなくて、『もっとこうした方がいいんじゃないか』とか『この判断でいいのか』など、より思考する時間が増えると思う。今もみんな落ち込んでるわけじゃないし前向きな選手は多い。それでも結果が伴わないのは一人一人の覚悟はあるだろうけど、『本当にこれしかない』という頑固たる思いを感じないから。それは練習をやっていても思うところだから、そこが足りない部分」


全社予選を含めて5試合はベンチスタートとなっていた鈴木だが、置かれた場所がどこであれ、やるべきことを徹底してきた。前節は的確なポジショニングと安定したビルドアップで、第4節以来の先発とは思わせない働きを披露した。個人の局面においても、高さのある相手に堂々たるプレーで一歩も引けを取っていなかった。


「自分のやるべき仕事は、毎試合チームの失点を限りなく0にすること。この状況だからこそ、みんなへの声かけなどの守備の意識は、自分からもっと周りに対して発信していかないといけない。自分が全部合ってるわけでもないけれど、仮に間違ってたとしても守備に対して思ったことは誰かが言わなかったらダメだし、それで失点したとしても俺が責任を取ればいいだけ。『友也のせいで負けた』と言われたとしても、自分はそれだけのことを練習からやっているつもり。準備から練習中、ベンチの時もそうだし、チームのためにやっている自負があるからこそ、自分から発信することを恐れていないし、守備のことは俺が責任を取るつもりでいつもやっている。そこが前よりもより強く思っていること。


前期までやってきて少なからず積み上げてきたものがあるし、毎試合良いものは取り入れて、悪かったものはちゃんと向き合って改善していく。一試合一試合に対する思いを前向きな力に変えて、一人でもそういう選手が集まれば強い集団になると思うから。もちろん全勝を目指すけれど、まずは一試合一試合にまず目を向けてやらなきゃいけない」


在籍4年目を迎えた背番号12。ピッチ内外でチームを支える思いは年々強さを増してきた。出場機会を問わず積み重ねてきた準備と発信、そして仲間を叱咤激励する雄弁な姿勢。「気持ちで技術も補える」という確固たる信念を、今こそ遺憾無く発揮してみせる。



チームは危機に瀕しているが、まだすべてが決まったわけではない。むしろ、窮地に陥った今だからこそ底力を発揮できる。順風の中で強さを示すのではなく、逆境だからこそ、ここからの一勝はより価値を増す。


「危機感というものが人を変える」。


他力でも何でも構わない。掲げてきた「JFL昇格」という目標は、一度たりともブレていない。誰一人として諦めていないその覚悟を、明日の90分で証明してみせる。渋谷の快進撃は、ここから始まる。


取材・文 :西元 舞

写真   :福冨 倖希

編集   :畑間 直英


GAME REPORT


関東サッカーリーグ第10節は、現在2位につける東京ユナイテッドFCとの一戦。リーグは後半戦に突入し、開幕戦で黒星を喫した前回王者とのリベンジマッチとなった。前期は厳しい豪雨の中での対戦だったが、今節は一転して暑さに見舞われ、夕暮れのアミノバイタルフィールドでキックオフを迎えた。


渋谷は前節から先発を3名変更。中盤の底には石上、右シャドーに植松、右ウイングには大越が入り、それぞれ先発復帰。また、リザーブには負傷から復帰した吉永が、第5節以来となるメンバー入りを果たした。



前半は、互いにボールを保持しながら機をうかがう落ち着いた展開となった。渋谷は右サイドの狭いスペースで前進できなければ、無理に突破を試みることなく逆サイドへ展開。三原監督が志向するサイド攻撃を軸に、セカンドボールを回収しながら相手陣内へ押し込む形を作った。「スペースはあったし、負けている気が全然しなかった」と、左ウイングの宮川。8分には石上からの展開を受け、クロスを供給。15分には鈴木のロングフィードをタッチライン際で頭で収め、そのまま敵陣深くまで持ち込んだ。1対1の局面から迷わずクロスを選択したもののボールはファーサイドに流れ、味方には合わず。



30分には自陣でボールを奪った宮川が自ら運び、ミドルシュートを放つ。ゴール前の人数がそろわない中で選んだ一打だったが、どれも攻撃を完結させられないもどかしさが残った。「最近はシュートを全然打てていなくて、クロスしか上げていない。本当はもっとシュートに行きたい。もちろん、クロスを上げられる状況だからクロスを選んでしまうこともあるけれど、それで点が入っていないし、やっぱり自分でシュートに行きたい悔しさはある」と、切実な悔しさを口にした。


両者互いにゴール枠内を捉えるシュートチャンスまで持ち込めない中、肝心のセットプレーのチャンスでは、前節から先発に名を連ねる真也加がキッカーを担当。利き足の左足で精度の高いクロスを供給してみせた。もともとキッカーを務めていた宮川と、その都度声を掛け合い、どちらが蹴るのか直前まで判断を委ねる場面も見られた。


「自分より(真也加)チュイの方がキックは上手いと思っているし、練習からめっちゃ良いボールを上げていた。『チュイ、蹴る?』と聞いたら『蹴りたい』と言われたので、チュイに蹴ってもらった。でもやっぱり自分も蹴りたかったので、『蹴る?』と聞かれた時はコーナーキックは自分が蹴るようにした」(宮川)



前半43分のフリーキックのチャンスでは、真也加にボールを託すと、自らはキッカーの近くに残らずゴール前のスペースへ走り込む。「あれはもう割り切っていた」と、宮川。「チュイが蹴ると言ったので、相手を引きつけるためにも自分が裏へ出たかったし、自分としてもボールが欲しかった」と語り、どの局面においても得点に絡もうとする貪欲さを垣間見せた。


前半はスコアレスで終えた渋谷だが、一貫して攻撃のスタイルは変えることはなかった。ハーフタイムには「どんな形でもいいから、点を取らなければいけない」(石上)と意思を共有。開始19秒には右サイドの植松が速いクロスを送り、本田がゴール前へ飛び込む。後半47分にも植松が左の宮川へ大きくサイドチェンジするシーンが見られ、渋谷は後半の早い時間帯での先制点を狙いにいった。


しかし、互角にボールを握れていた展開から一転、時間の経過とともに攻撃のスイッチを入れた昨年王者の圧力に押し込まれていく。じわじわと渋谷は自陣から前進する術を失っていった。後半19分には3枚替えで攻撃に新たな推進力を加えようとしたが、前へ急ぐ意識が強まるあまり、本来つなぐべき場面でもロングボールを選ぶ状況が続いた。


「(濱名)真央とかに足元でボールを渡したかったけれど、チームの雰囲気として前に蹴ってしまっていた。その意思統一というか、やっぱり蹴ってるだけだったら渋谷は勝てない。勝つためには、嫌な方だったとしても選択しなくてはいけなかった」(山内)。


それでも後半34分、渋谷にこの日最大の決定機が訪れる。相手のスローインからボールを奪い、本田から縦パスを受けた半田が最終ラインの背後へ抜け出す。相手キーパーとの1対1の局面を迎えたが、わずかに先にボールへ触れられ、流し込むことはできなかった。



そして、その直後に悪夢が訪れた。カウンターから渋谷の左サイドを突破され、中央の折り返しをダイレクトで押し込まれて先制点を献上。自分たちが先に試合を動かしてもおかしくない場面を逃し、反対に相手の一撃で均衡を破られた。


さらに3分後には、ビルドアップの局面で相手のプレスを受けると、ボールを渋谷陣内深くまで蹴り込まれる。背後から寄せられた山内が対応したものの、相手にスローインを与え、そこからボックス内の侵入を許した。最後は中央で送り込まれたボールがオウンゴールを誘い、2失点目を許してしまう。わずか数分のうちに、渋谷は試合の主導権を大きく手放した。


右CBの山内は最初の失点シーンについて、中央でボールを受けた相手へのカバーに入りながらも、最初の一歩が届かなかったと悔やんだ。


「(1失点目は)全力で戻ってスライディングしたけれど、ファーにも走り込んでいた選手がいて(ボールが渡っていたら)多分決められていたと思う。だから『(ニアで)止めてくれ』と思いながら滑ったけれど、やられてしまった。やれることはやったかなとは思うけれど、もう1個早くカバーしていれば間に合ったはず。やっぱり勢いに負けてしまっているなと思ったので、そこは弱いところ。2失点目もチーム全体でどうしたいのか統一できてなかったからこそ、イージーミスをした後に変なスペースが空いて、そこからずれて、ずれて失点という形だった」


せめて1点を返し、逆転のチャンスをモノにしたかった渋谷だが、44分には痛恨のPKのチャンスを与えてしまう。相手キッカーに逆を突かれ、試合を決定づける3点目を奪われた。先制の好機を逃した直後に失点し、追いかける終盤にはトドメを刺される。渋谷ベンチからは「冷静に!」と声が飛んだものの、決めるべき場面で仕留めたユナイテッドが、この日もしたたかに、かつアグレッシブに試合を締めくくった。



「悪くないけれど、結果が出ていなかったら何も変わらない」(宮川)。まさに、その言葉どおりのゲームだった。随所に狙いと積み上げは見せながらも、開幕戦の雪辱を果たすどころか、前回対戦を上回る失点での敗戦。副キャプテンの石上も「すべてにおいて相手の方が上回っていた、完敗」と振り返った。前半に中盤でボールを握れていたことは一定の手応えを感じながらも、「後半になったらほぼ相手のゲームだった。一試合通して何もできなかった。相手の出だしも早かったし、守備の集中力も高かった」と、90分を通した力の差を潔く認めた。


今節を経て、東京ユナイテッドは勝ち点を20に伸ばした一方、渋谷は9のまま。ここからズルズルと連敗が続けば、残留争いも現実味を帯びてくる。


決して悪いゲーム運びはしていないが、やはり関東1部リーグはそう簡単には上手くいかないのは確か。宮川は「おそらくみんな燃え尽きていない。不完全燃焼。『もっとできるのに』と、一人一人が絶対に思っている」と語る。石上も「一人一人の試合や練習に対する姿勢はもちろんそうだし、誰一人手を抜いている人はいない」と断言したうえで、「何かがうまく噛み合っていなくて、結果が出ないところは少し歯がゆい」と、胸中を明かした。



それでも、副キャプテンは前を向く。


「こういう時期は絶対に誰にでもあるし、乗り越えていかないといけない。これはやり続けないと意味ないし、やるのをやめたらそこで終わり。自分たちのことを支えてくれたり、応援してくれる人たちがいる限りやり続けるしかない。


サッカー選手をやっている以上は、チームの勝利のために目の前の試合で全力を尽くすことだけ。あとはチームみんなで一回ちゃんと話をして、自分たちがどこを目指してやるのか、どのようにやるのかというところを明確にする必要があるなと思う。コミュニケーションを取りながら、一人一人の気持ちをすり合わせて1週間過ごせればいいなと。じゃないと次に繋がらない。次のエリース戦でベストのパフォーマンスを出すために、今この瞬間から次に向けてまた準備するだけかなと思う」


次節は1週間後の18日(土)、第11節・エリース豊島戦。修正に充てられる時間はさほど長くない。今節のゲーム内容を踏まえれば、立て直しには小手先の修正ではなく、攻守両面において明確な再構築が必要になる。残留争いを遠ざけ再び上を向くためにも、必要なのは言わずもがな勝ち点3。積み上げたものを貫くだけではなく、勝つための変化を示せるか。渋谷にとって、ここからの行方を左右する一戦となる。


取材・文 :西元 舞

写真   :岡元 紀樹

編集   :畑間 直英

bottom of page