
サッカーも、ビジネスも、そして人生も。挑戦を止めない二人の選択
2025年4月3日
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SHIBUYA CITY FCでプレーする積田景介選手と、かつてSHIBUYA CITY FC(当初はTOKYO CITY F.C.)でプレーし、現在は2024シーズンオフィシャルトップパートナーである株式会社Re-grit Partnersでコンサルタントとして活躍する玉川由氏。二人には、共通のキャリアとしてJリーグ・FC琉球とSHIBUYA CITY FCでの経験がある。
今回は、FC琉球時代の思い出からSHIBUYA CITY FCとの関わり、そして現在の仕事における学びまでを振り返りながら、彼らがどのようにサッカーと仕事を両立し、自らの道を切り拓いてきたのかを語ってもらった。
(聞き手:SHIBUYA CITY FC 取締役 酒井 翼)

積田 景介(つみた けいすけ)
1993年生まれ。千葉県出身。市立船橋高校、駒澤大学を経て、2016年にJリーグ・FC琉球に加入。GKとして8シーズン在籍し、J2昇格も経験。選手会長として6年間にわたりクラブの組織作りにも関与した。2024年にSHIBUYA CITY FCへ加入し、サッカーと仕事の両立にも挑戦。現在はベンチャー企業に勤務しながらプレーを続けている。

玉川 由(たまがわ ゆう)
1996年生まれ。東京都出身。FCトリプレッタユースからエスペランサSCを経て、2017年にJリーグ・FC琉球へ加入。その後、エスペランサSC、TOKYO CITY F.C.(現SHIBUYA CITY FC)を経て現役引退。現在は、SHIBUYA CITY FCのオフィシャルトップパートナーである株式会社Re-grit Partnersに勤務。
FC琉球時代の厳しい日々と成長
── お二人はFC琉球で1年間共にプレーしていました。当時の印象やエピソードを教えてください。
積田選手:2017年に一緒にやっていましたね。フィジカルトレーニングの時に、非常に負荷の高い腕立て伏せジャンプのようなトレーニングメニューがあって、隣でタマ(玉川氏)が鼻血を出していたのを覚えています(笑)。
玉川氏:確かに! あのフィジカルトレーニングは本当に地獄でした。監督とフィジカルコーチがとにかく厳しくて、練習量も相当多かったですよね。
積田選手:週に2〜3回は2部練習があって、朝9時から1時間のフィジカルトレーニング、その後2時間のボールトレーニング、さらに居残り練習。実質5、6時間はグラウンドにいましたね。特に沖縄の暑さの中での練習はかなり過酷でした。
玉川氏:しかも当時のチームは若手が中心で、大卒2年目くらいの選手が多かったので、その基準で練習が組まれていて大変でした。僕は21歳になる年に加入したので、チーム内でも下から3番目くらいの立場でしたね。

── 積田選手はFC琉球で選手会長を6年間務めていましたが、その経験について教えてください。
積田選手:もともと選手会長になるつもりはなかったんですが、気づいたら周囲から任されるようになっていました。毎年、そろそろ次に譲ろうと思っていたんですが、若手がどんどん抜けてしまって結局続けることに(笑)。
年に何回かJリーグ全クラブの選手会長が集まる会議もあり、他のクラブの話を聞く機会があったのは貴重でしたね。すべてをチームに還元することは難しかったですが、「他のクラブではこんな取り組みをしている」といった情報を琉球に持ち帰ることができたのは良かったです。
SHIBUYA CITY FCへの加入と新たな挑戦
── FC琉球を離れた後、SHIBUYA CITY FCと関わることになった経緯を教えてください。
玉川氏:琉球を離れた後、一度エスペランサSCに戻りました。大学に復学し、就活もしていたのですが、親から「TOKYO CITY F.C.(現SHIBUYA CITY FC)の試合があるよ」と聞いて、問い合わせフォームから連絡を取ったのがきっかけです。
── 2019年はちょうどクラブが法人化し、東京都2部に昇格して連続昇格を目指していた時期。そんな中でクラブ初の元Jリーガー加入になったので驚きでしたね。
玉川氏:当時、僕は大学3年生で、エスペランサで1年間プレーした後にサッカーをやり切ったつもりだったんですが、TOKYO CITY F.C.の試合を見て興味を持ちました。最初は「どんなクラブなんだろう?」という好奇心からのスタートでした。

── 積田選手は、なぜSHIBUYA CITY FCを選んだのでしょうか?
積田選手:琉球を退団した後、Jリーグのチームを探していたんですが、なかなか決まらず、サッカーを辞めることも考えました。ただ、いくつかの社会人チームから声をかけてもらい、その中で「働きながらプレーできる環境」を考えた時に、SHIBUYA CITY FCが最も魅力的でした。
── SHIBUYA CITY FCに加入してからの経験について教えてください。
積田選手:SHIBUYA CITY FCに加入して驚いたのは、クラブの運営スタイルでした。地域との関わりが強く、選手がイベントやスポンサーとの交流を通じてクラブを支える仕組みが整っていました。プロとしてプレーしていた頃とは違い、ピッチの外でも自分たちがクラブを作り上げる意識が求められたのは新鮮でしたね。
玉川氏:僕も在籍していた頃は、仕事とサッカーの両立にチャレンジする環境が刺激的でした。社会人としてのキャリアを考えつつ、トップレベルのサッカーに関わり続けられることが、SHIBUYA CITY FCの大きな魅力だったと思います。

サッカーと仕事の共通点
── お二人は現在、サッカーと仕事を両立されていますが、それぞれどんな仕事をされているのか教えてください。
積田選手:僕は今、転職支援を行う人材サービスの会社で働いています。税理士や社労士など、専門職の方々が新しいキャリアを見つけるためのサポートをする仕事で、主に転職希望者と初めに接点を持つ役割を担当しています。初回の面談で転職の意向を伺い、求職者の希望に沿ったキャリアの方向性を提案するのが僕のミッションですね。

玉川氏:僕は、SHIBUYA CITY FCの2024シーズンオフィシャルトップパートナーでもあるコンサルティングファームの株式会社Re-grit Partnersで働いています。主に大企業向けに業務改善やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の支援をしていて、クライアントの課題を整理し、解決策を提案・実行するのが仕事ですね。コンサルというと専門知識が必要そうに聞こえるかもしれませんが、実際はクライアントとの対話が非常に重要で、相手のニーズを深く理解することが求められます。
── サッカー経験が仕事に活きていると感じることはありますか?
積田選手:ゴールキーパーは試合に出る機会が少ないですが、常に準備をしておかないといけない。これは仕事でも同じで、「100回のうち90回は電話がつながらない。でも、10回のチャンスを生かせるかが大事」という考え方が生きています。
玉川氏:僕はフィールドプレーヤーでしたが、ディフェンダーからサイドハーフ、さらにはフォワードまでやることがあり、ユーティリティ性を求められることが多かったです。仕事でも「今、何が求められているか」を察し、柔軟に対応するスキルはサッカーから学びました。

── 仕事をする上で意識していることは?
積田選手:コミュニケーションの取り方ですね。試合中の声掛けが勝敗を左右するように、仕事でも話し方ひとつで相手のリアクションが大きく変わることを実感しています。話す相手に合わせて伝え方を工夫することが求められます。
玉川氏:コンサルの仕事では「察する力」が大事だと感じています。クライアントが何を求めているのか、言葉だけでなく行動や態度から読み取ることが必要です。サッカーでも監督やチームメイトの意図を察して動くことが求められるので、そこは通じるものがありますね。

── 仕事を通じて学んだことで、サッカーにも活かせることはありますか?
積田選手:仕事をすることで、試合中のメンタルの整え方が変わりましたね。社会人として働くことで視野が広がり、サッカーに対する考え方にも余裕が生まれました。今はプレーの質だけでなく、チーム全体のことをより考えられるようになっています。
玉川氏:サッカーでも仕事でも、「自分の役割を理解して、最適な動きをする」というのが共通して大切だと感じています。特にコンサルの仕事では、求められる役割が流動的なので、自分の強みをどこで活かせるかを常に考える必要があります。それはまさに、サッカーでポジションごとの役割を考えるのと同じですね。
今後の目標と展望
── 今後の目標を教えてください。
積田選手:チームとしては関東リーグ2部昇格を果たし、さらに上のカテゴリーを目指したいです。個人としても、サッカーだけでなく仕事でも成長し、将来的にどんな道を選ぶにしても、両方の経験を活かせるようにしたいですね。
玉川氏:仕事の面では、これからは広く学ぶだけでなく、自分の強みを深めるフェーズに入っていきたいと考えています。また、一昨年子どもが生まれたので、家族に誇れるキャリアを築いていきたいです。
── サッカーも、ビジネスも、そして人生も。常に挑戦を続ける二人の言葉には、未来を切り拓く力強さが宿っていました。新たな舞台でどのような活躍を見せるのか、これからも注目です。本日は貴重なお話をありがとうございました!

<株式会社Re-grit Partners>
リグリットパートナーズは、2017年に多様な業界のプロフェッショナルによって設立されたコンサルティングファームです。
「CxO firm」をビジョンに掲げ、クライアントや当社から次世代のビジネスリーダーを輩出することを目指しています。設立8年目を迎え、社員数は約400名に達し、急成長を遂げています。
Financial TimesとStatistaの共同調査による「FTランキング: High-Growth Companies Asia-Pacific 2023/2024」では、日本国内の急成長企業ランキング(Management Consulting部門)で2年連続1位を獲得。設立以来、プライム取引比率100%を維持し、DX推進、事業構築、BPR、人事改革など幅広いコンサルティングサービスを提供しています。主に金融、商社、製造、通信、建設業界のエンタープライズ企業を対象に、約600件のプロジェクト実績を有しています。
会社ホームページ:https://regrit-p.com/