【INTERVIEW】菊岡拓朗「渋谷のクラブ、それだけで魅力的」。J通算316試合出場の男が自ら望んだ都リーグ挑戦
2022年2月9日
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水戸ホーリーホックや東京ヴェルディ、栃木SC、コンサドーレ札幌(当時)で稀代のテクニシャンとして鳴らし、Jリーグ通算316試合出場を誇る菊岡拓朗が SHIBUYACITYFCの一員となった。JFLのラインメール青森から東京都社会人サッカーリーグ1部のクラブへの異例の移籍は、いかにして実現したのだろうか。CITY加入後初のインタビューで新たな挑戦への思いを聞いた。
――JリーグやJFLで長くプレーしてきた菊岡選手にとって、今回は大きくカテゴリーを落とす移籍になります。SHIBUYA CITY FCへの加入を決めた理由を教えてください。
「昨シーズン限りでラインメール青森を契約満了となりましたが、カテゴリーや環境に関係なく、とにかくプロサッカー選手としてプレーし続けたいと思っていました。また、関東での生活が長かったので、ちょうど帰ってきたいと思っていたんです。
そのタイミングで知人から『こんなクラブがあるよ』とSHIBUYA CITY FCを紹介していただいて、僕の方からアプローチして加入が実現しました。いろいろ面白いことをやっていて、まず渋谷区にサッカークラブがあるというのは、それだけで魅力的ですよね。
たくさんの方々の協力があって今回のCITY加入が実現したので、僕のことを受け入れてくれた小泉(翔)社長をはじめ、クラブに関わるみなさんに関東リーグ昇格という結果や自分のプレーで恩返ししていけたらと思っています」
――練習に合流されて、チームの雰囲気はどう感じていますか?
「今回の移籍にあたってイチからスタートしたいという思いもあったので、チームメイトには若い選手も多いですし、すごく新鮮な気持ちでサッカーできていて楽しいです。Jリーグで対戦したことがあるのも(宮崎)泰右と(鈴木)崇文くらいで、元々知り合いだった選手がほとんどいない環境は初めてなんですよ。しかも人見知りで、以前は移籍したばかりの時期に苦労したこともありましたけど、CITYではみんなが積極的に話しかけてくれたので、うまく入っていけたと思います」
――阿部翔平選手兼監督や戸田和幸コーチが目指しているサッカーは、菊岡選手の目にどのように映っていますか?
「プレミアリーグなどで主流のポジショナルプレーが戦い方のベースになっていて、すごく面白いサッカーができるんじゃないかと思っています。阿部さんも戸田さんもサッカーをよく知っていると思うので、彼らの目指していくスタイルに適応して、自分もまだまだ成長しなければいけないと感じています」
――CITYには菊岡選手のようにプロ経験の豊富な選手のみならず、全くプロでの経験を持たない大卒1年目の若手など、様々なバックグラウンドを持った人材が集まっています。その中で見せていきたいプレーや、伝えていきたいことはありますか?
「プロサッカー選手として戦ってきて、パスやキックは自分にとって絶対に譲れない武器です。加えてゴールに絡むプレーには自信がありますし、それらをチームの勝利にどう結びつけるかを、周りにもうまく伝えていければと思っています。
サッカーでは少しの差がゆくゆくは大きな差になりますし、小さいことの積み重ねがすごく大事になってきます。試合の中でも、ちょっとしたミスや、ほんの数メートルの動きなど細かいところが勝負の最後の分かれ目になります。
細かいところを大事にしながら勝負にこだわるためにはどうすべきか。90分間を通してどうやったら勝てるのかを考えて、サッカーを大局的に見られるようになってくると、目標に近づけるのではないかと思います。そういう細かいところをチームメイトたちに伝えていきたいですね」
――CITYへの移籍は菊岡選手にとって大きな挑戦になるのではないかと思います。最後に今シーズンの目標を教えてください。
「プロサッカー選手として仕事ができることに感謝の気持ちをもって、CITYを関東リーグに昇格させることが目標です。個人としては怪我なく、1年間試合に出て、昇格に貢献できるようなプレーをしたいと思います。
加入したからにはCITYの成長を手助けしたいですし、僕自身もまだまだ選手として成長し続けたいと思っているので、クラブと一緒に一歩ずつ段階を踏んで前に進んでいきたいです。プレー以外では子どもたちへの指導にも興味がありますし、クラブと協力しながらピッチ外でもいろいろなことに挑戦していきたいと思います」